第14話 【勅使河原 詩】は仲間を得る
「...話は分かりました...。そうですね...個人的には今すぐ別れたほうがいいかなと思うんですけど...まぁ、そんな簡単に別れられたら苦労しないですよね」
「...うん」
「この話をしたのは俺だけですか?」
「...そう...だね」
「今の話を俺の信頼できる友達二人に話してもいいですか?」
「...なぜ?」
「そりゃ、現状からの脱却のためです。正直、俺一人では力足らずというか...。大丈夫です。二人とも信頼できるので。というか、一人はてっしーさんの知ってる人ですから」
「...判断は国見に任せるわ」
そうして、俺は二人に連絡を入れる。
すると...すぐにやって来るのだった。
何やらもじもじしながら入ってきたのは現生徒会長である、四条雪花であった。
彼女を頼った理由はいくつかある。
第一に頼りがいがあること、そして第二に物事の解決能力が高いこと、そして第三に俺に借りがあること...ということで頼みやすさと信頼から彼女に声をかけたのだ。
「...い、いきなり図書室に...来いなんて...私はまだ...彼と別れてそんなに日が経ってないし...自分を安売りする気はないというか...その...ね?//」と、斜め下らへんを見ながらこちらに近づいてくる。
「...大丈夫?雪花」
会長のことは本人たっての希望でお互いに名前で呼び合うようになっていた。
そして、俺の声に反応してようやく顔を上げ、「...勅使河原先輩?」と、先輩の姿を視認すると険しい表情に変わる。
「ちょっと話を聞いてほしいというか、正確に言えば助けてほしいというか...」
すると、俺に近づいて見上げるように睨みつけてくる。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093084163387444
「え...何?...ほら、俺が困ったときに助けてくれるって言ってたから...」
「それはそういう意味じゃ...まぁ...いいわ。わかった...。そうよね。あなたってそういう人だものね。わかっていたわ」
「...なんかごめん」
「別にいいわ。それで?勅使河原先輩がどうかしたの?」
「話はもう一人が来てからでもいいかな?」
「...もう一人?」
すると、勢いよく扉が開く。
「おっは~!先輩から声をかけてくれるなんて珍しいですね!...って、生徒会長さん!...と?ん?どちら様ですか?てか、どういう集まりですか?」と言いながら近づいてくる。
「...ねぇ、星矢くん。あの子は誰?」
「えっと...じゃあ、紹介するね。えっと、とりあえず、こちらにいるのはみんな知ってると思うけど、現生徒会長の四条 雪花です」
「...どうも」
「初めまして!うっひょーまじで美人。そしてでかい。私もでかいほうだと思ってたんだけどな...」
「私は雪花とは顔見知りだから」
「んで、こっちが俺のバイト先の仲間であり1年の仙道 莉来」
「よろしくお願いします!なんで呼ばれたかよくわからないけど!」
「...よろしく」「よろしくお願いします」
「それじゃあ...自己紹介も終わったところでなんで二人を呼び出したかについてなんだけど...」
そうして、二人に事情を簡単に説明するのであった。
「ふーん...そう。事情は分かったし、勅使河原先輩には去年の生徒会でお世話になったし...助けるなんて大げさな言い方だけど、何かできることがあれば協力するわ」
「私も協力します!何ができるかわかりませんが!」
「...悪いな、二人とも。まぁ...ほら、俺が相談に乗った分のお礼だと思って...」
「まぁ、そうね。借りっぱなしは趣味じゃないから。けど、私を助けたように...いえ、きっと彼女のことも助けたのでしょう?だとしたら、その時みたいに一人で助けることもできたんじゃない?」
「...いや...さすがに今回のは一人じゃ無理かなって...。それに俺には頼れる友達がそんなに多いわけじゃないし...それも女子となれば尚更ね」
「...まぁ、その信頼はありがたく受け取っておくわ」
「それで!私たちは何をすればいいんですか?」
「まあ...まだ具体的な案はないんだよね。それも含めて考えたいんだ」
「そう。それなら詳しいことは生徒会室で話しましょう?図書室は過疎気味だけどそれでも誰も来ないという確信はないから」
そうして、俺たち4人は仲良く生徒会室に向かうのだった。
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