動画撮影の成功
鬼怒川は静かな部屋に座り、瞑想するように目を閉じている。
〈イデア〉による脳内デバイスが作動し、意識を集中させると、ウィンドウ画面が目の前に映し出される。
彼は指先を使うように、思考で画面をスワイプする感覚を味わう。
動画のアイコンが表示され、彼は心の中でそれに触れる感覚を持つ。
遠崎識人と、哭目香々の行為を録画された動画が再生されながら、彼の脳内に映像が映し出されていく。
「くくくッ、いいじゃねぇか、いいじゃねえかよォ!おい!!」
鬼怒川の表情が緊張から興奮に変わり、目がキラキラと輝き始める。
画面に映された内容が明らかになるにつれ、満足感が彼の中に満ちてくる。
彼は思わず微笑み、周囲が一瞬で消え去るかのような感覚を覚える。
動画の情報が次々と流れ込み、新たな計画の糸口が見えてくる。
鬼怒川は満ち足りた思いで目を開け、手のひらを軽く握りしめ、自信に満ちた微笑を浮かべる。
「これを使えば、奴を不純異性交遊で退学に持ち込んでやらぁ」
鬼怒川は近くにいた哭目を見つめ、鋭い目を向ける。
彼の表情には挑発的な微笑が浮かばせた。
「無能の癖にやるじゃねぇかよ、こんな簡単に奴の弱点を撮る事が出来るなんてな」
「…はい、ありがとうございます」
哭目は言葉には反応せず、視線を少し逸らす。
鬼怒川はその反応を見逃さず、さらに続けて聞くように問いかける。
「おい?なんでこれ、音声がついてない?」
鬼怒川の目が期待と疑念を交差させ、明確な答えを求める。
哭目は焦りを感じているが、それを見せないように必死に表情を保つ。
彼女は一瞬思考を巡らせた後、無言のままで明らかに意図的に目を背ける。
鬼怒川は彼女の視線を追い、彼女の態度に何か不自然さを感じ取る。
哭目は内心の動揺を隠すために、静かに思考を整理しようとする。
「なんだお前、何を隠してる?」
そう問い詰める鬼怒川。
彼女の肩を掴むと、そのままベッドへと押し倒した。
「さっさと答えろ、てめえは、俺が居ないと生きていけないんだろうが」
「…」
数多くの性行為の動画をネットに流された。
そんな彼女の顔は、既に多くの人間に知られている。
この学園ですら、彼女の動画を突き付けられて何度行為を強制されたか分からない。
鬼怒川が居なければ、彼女は今頃、学園内では安く買える玩具だっただろう。
ある意味、彼女が鬼怒川を裏切る事が出来ない。
彼女が最低な性格をしている鬼怒川に絶対服従をするのは、そういった方面もあるからだった。
「チィ!」
彼女の衣服を破く。
言いたく無ければ体に直接聞けば良いだけの話だ。
そうやって何度も彼女の心に消えない傷を作り続けた。
今回もそうしようとしたのだろうが。
「あぁ!?」
電話が鳴った。
脳内で響く音は、学生用連絡網アプリからだった。
電話先の相手は、遠崎識人だった。
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