悪魔と契約
更衣室の静かな空間、壁に沿って並んだロッカーが静かに佇んでいる。
「それで、話ってなんだい?」
「…お願い、救けて欲しいの」
彼女は真正面で彼の顔を見ながら言った。
「助けて欲しい?何をだい?」
「私の身分を買った、鬼怒川から、助けて欲しい」
彼女の言葉に、遠崎識人は成程、と頷いた。
「あぁ、そういう事か、で、なぜ俺なんだい?」
「貴方が強いから…鬼怒川よりも、ずっと」
無表情で、無機質な声で彼女は言った。
「鬼怒川から解放されるのなら…あなたに全てを捧げてあげる」
彼女はゆっくりと制服のスカートを脱ぎ始める。
スカートが膝のあたりで止まり、一瞬の間が生まれる。
遠崎の冷静な視線が彼女に向かう中、哭目は動じることなく、さらなる動作を続ける。
次に、彼女が白いブラウスのボタンを一つずつ外していく。
繊細な指先が布地に触れ、その動作がまるで流れる水のように滑らかだ。
ブラウスが脱げ落ち、彼女の姿は影と光のコントラストとなる。
哭目は無表情のま、清楚な下着姿が見える。
彼女の目は遠崎を見つめているが、心の中の考えは誰にもわからない。
更衣室の外から微かな音が聞こえるが、二人の間には緊張感が満ちている。
哭目が心の準備を整えるように深呼吸し、その場を着替え始めた。
「たすけて、遠崎くん」
更衣室の静かな空間に、遠崎識人は落ち着いた姿勢で立っている。
周囲は薄暗く、蛍光灯の光が彼の顔を柔らかく照らしている。
彼は視線を前に向け、無表情の中にわずかな微笑を浮かべる。
その微笑みは、まるですべてを理解し受け入れているかのような余裕を感じさせる。
彼の目は冷静で、相手の行動を機敏に観察している。
「うん、いいよ、君が望むのなら…俺が鬼怒川から解放してあげるよ」
微笑みを浮かべたま、彼は一度軽く頷く。
その瞬間、彼の周囲の空気が和らぎ、緊張感が和らいで見える。
遠崎は胸を張り、余裕のある態度を崩さずに相手に向かう。
さらなるやり取りを期待させるかのように、彼の表情は自信に満ちている。
更衣室の静けさの中、彼の微笑が唯一の光となって輝いている。
「ありがとう」
そう言って、彼女は下着のホックを外した。
彼女は目を瞑りながら遠崎識人に全てを晒す。
(これで良い…後は、動画を撮れば…)
更衣室のロッカーの中。
通気口となっている隙間から、丁度良い位置で遠崎識人と哭目香々が映っていた。
旧式の代物だが、物的な証拠を抑えるには丁度良い代物である。
しかし彼女は知らない。
悪魔の様な男と契約してしまった事に。
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