何を選ぶか


「あ…そ、そういう事か、それは分かったけど、…何を選択すれば」


説明を聞いて、白宮桃花は成程、と納得した。

しかし、急にアヴァター適性試験を申し込むとして、一体、どれに申し込めば良いのか、彼女は首を傾げていた。

事の発端、発言者に視線を送るのだが、彼は首を傾けて言う。


「適当に、なんでも良いんじゃない?」


「て、適当って…」


無責任にも程があった。

自由に選んでも良い、との事だが、逆にそれが難解な問題の様にもなる。



「遠崎は、500万円を使い切れって事、そのやり方はなんでも良い、そういう事でしょ?」


鞭野瑪瑙は簡単に言ってみせた。

自分の方が、遠崎識人の事を理解している様な発言だった。


「うん、理解が早くて助かるよ、鞭野」


そう言って、遠崎識人は鞭野瑪瑙の頭を軽く撫でる。

小さな体は、何処か愛でたくなる衝動に駆られてしまう。

当の本人は、頭を撫でられて満更でも無さそうに笑っていた。


「あ…えへへ」


その表情はとても無邪気なものだった。

しかしいくら貸し出すとはいえ500万円はさすがに大金だまるこれを遠崎識人にではなく彼女達に使用しろと言っている。


「…遠崎くんは、500万円は要らないの?」


自分達が使うよりも遠崎識人が使った方がいいのではないのかと彼女は言っている。

しかし彼女の心配とは裏腹に遠崎識人はそれを使う気がなかった様子だ。


「ん?あぁ…まあ使い道は無いかなぁ、適性試験も、俺には必要ないし…」


そもそも遠崎識人には必要ないのだ。

彼女達に知らせてはいないが遠崎識人はほとんどのキャラクターを使用する事が出来る。

なので試験など受ける必要性が皆無だった。


「そっか…じゃあ、私が、勝手に選んで良い、って解釈で良いんだよ、ね?」


改めて白宮桃花がそう聞いた。

自分の事は心配しないでいいと遠崎識人は優しく言う。


「うん、それで良いよ、学園のサイト近くに適性試験を希望する申込画面があるから、其処から希望する適性を選べば良い」


ある程度調べておいたのだろう。

遠崎識人は白宮桃花達に向かってそのように誘導した。

試験を受けるためには海外へ行く必要がある。

なのでそれなりの費用と期間が必要だった。

最低でも1週間以上はかかる。

その事に関してお嬢さんは不満の声を上げた。

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