視点、鬼怒川万次
教室に鬼怒川万次の姿はなかった。
遠崎識人と顔を合わせることになるので、授業に参加することなく男子寮の自分の部屋でサボっていた。
「あぁぁ…くっそイラつくぜ、あの野郎」
そう言いながら部屋に連れ込んだ女子生徒に自らの足をかけた。
女子生徒はうずくまりながら、鬼怒川万次に対して奉仕活動を行っている。
「折角、白宮を抱けたってのによぉ、横からかっさらっていきやがった、畜生がッ」
思い出すだけでも腹立たしいことだった。
気分を晴らすために鬼怒川万次がこれまで撮影した女性とのハメ撮り動画を〈イデア〉を使用し、視覚のウィンドウ画面から動画を複数再生していた。
殆ど規制されていない違法動画投稿サイトを利用し、自分の戦利品をグローバルネットに動画を流しており、再生数と海外からの称賛や妬みのコメントを見ながら精神的な癒しを得ていた。
そんな時通信アプリに誰かから連絡が入った。
「…あ?誰からだ、…へたくそッ!退けッ!!」
そう言って鬼怒川万次の為に喉を動かしていた女子生徒を蹴飛ばすとその連絡に鬼怒川万次は出た。
「誰だ!?」
せっかく気分が良かったのにこれでは台無しだった。気分を害す不届き者に対して怒りを帯びた声を通信アプリで送り返す。
『どうも、鬼怒川さん、本登です』
その声は自信に満ち溢れている。
上級生グループに入った事で他の女子生徒とは違う存在だと思っているのだろう。
だから、その声は多少の自尊心に満ち溢れている。
「だから誰だってんだよ!!」
しかし、鬼怒川万次にとってはどうでも良い事だった。
自分の娯楽を邪魔した相手でしかない。
怒り、それが女だと分かれば、侮辱とすら感じていた。
鬼怒川万次は、女性蔑視を行う男だった。
『お姉様の遣い、と言えばわかりますか?』
本登はそう言った。
その言葉を聞いて、上級生の顔を思い出す。
鬼怒川万次も、一応は上級生グループに誘われていた。
一度、上級生に手を出した為に、グループから敵視されてしまったが。
その事を思い出して、忌々しいと言った様子で歯軋りをする。
報復として、上級生グループに対して嫌がらせをした。
「あぁ…鞭野が居たグループの、てめぇん所のデリヘル、全然使えねぇから金払ってねぇわ、請求の話か?」
そう言うと、今回はその話では無いと、本登は首を左右に振った。
『いえ、今回は依頼のお話です、遠崎識人、彼の事をお姉様がたに話した結果…気に入らないから、退学にして欲しい、との事です』
と。
遠崎識人の退学依頼である。
鞭野瑪瑙を奉仕活動を強制させる計画を邪魔された。
それが、上級生たちにとっては気に入らない事だった。
だから、現状、実力のある鬼怒川万次に話を持ち掛けた、といった様子だ。
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