規格外
「おや、三段警棒かい、武器は困るな…此方も、それ相応の対応をしなければならない」
相手が武器を取り出してきたのにも関わらず遠崎識人は相変わらず冷静だった。
叫びながら遠崎識人の方へと突進していく。
武器を持っているためか相手よりも優位性があると勘違いをしていた。
「ごちゃごちゃうるせぇんだよォ!!」
男子高校生の攻撃に対して遠崎識人は目で見切る。
そして振り下ろすと同時にあらかじめ作っていた手刀で三段警棒の真ん中を叩いて折り曲げる。
それと同時に男子高校生の手から三段警棒が離れるとそのまま地面に落ちた。
一瞬の出来事で反応に遅れる男子生徒。
自分の手のひらと地面に落ちた三段警棒を見比べる。
「は、あッ!?(手刀で、警棒を折りやがッ)ぐヴぇあッ!!」
その一瞬の隙を突いて遠崎識人の貫き手が男子生徒の首をめがけて突いた。
喉を攻撃されて痛みを訴える男子生徒。
すでに戦闘の意欲は削がれてしまったらしい。
「アヴァター適性の為に習い事をする人は多い、この零算学園でも、適性を増やす為に様々な施設があるけれど…精々、使えるアヴァターは三つくらい増えるだけだろう?」
遠崎識人はそう言った。
アヴァター適性とは、ゲームプレイヤーがアヴァターを選択する時に必要な要素だ。
人間の肉体とアヴァターは、キャラによって身長や体重、体格や、そもそも人体ですらないキャラクターデザインが多い。
手足が長いアヴァターを操作し続ければ、現実の肉体を動かした際に、仮想と現実との間に齟齬が発生してしまう。
なので、そうならない為に予めどのアヴァターが使用できるか、適性を検査しておくのだ。
零算学園では、アヴァター適性を増やすための特別カリキュラムもあり、高い試験料を払えばそれを受ける事が出来るのだ。
しかし〈
「…あぁ、ごめん、これはあまり話に出したらダメだったんだ、したり顔で、俺のアヴァター適性は二千だなんて言い掛けたよ、ごめんね、聞かなかった事にして欲しい」
人差し指を前に出して口元に抑える遠崎識人。
これは決して他言無用の話であった。
しかし彼女たちは遠崎識人の言葉を聞いていない。
それ以上に男子生徒たちの失態に対して怒りを浮かべていた。
「ちょ、何をしているんですか、たかが一人、こんな無様な姿をッ!!」
そのように男子生徒たちを叱咤する。
遠崎識人はゆっくりと歩きながら女子生徒の方へと向かって行った。
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