余裕の笑み
けれど相手は人である。
そして通常ならば屈強な男が二人もいるのだ。
どちらが不利であるかは見ればわかる事だろう。
落ち着きを取り戻し調子に乗り始める男子生徒たち。
この場を支配しているのは自分たちだと言いたげに声を荒げた。
「何言ってんだこいつ、俺はな、アヴァター適性の為に格闘技を習ってんだよッ」
「痛い目見たくなかったら、とっとと消え失せな」
その有頂天となった口調に遠崎識人は楽しそうに笑っていた。
脅し文句が通用しない様子だった。
「いいね、その気迫」
軽く手を叩く。
舞台の劇場を見ているかのような観客のようなリアクションを取っている。
それがどうにも鼻につく行為だった。
「俺も同じなんだ、ゲームでもリアルでも…戦う事はとても楽しい事だと認識している」
遠崎識人の言い分は自分も腕には自信があるという事だった。
お姉様にボディーガードとして活動している以上その実力は本物だ。
少なくとも彼らがいれば普通の生徒は病院送りにされてしまう。
多少痛い目を見せてやろうと思っている男子生徒たちに対して遠崎識人は指を向けると何度も繰り返すように折り曲げる。
「おいで、遊んであげるよ」
確実に遠崎識人の方が上であるという余裕を見せていた。
その態度が男子生徒たちの怒りを買った。
拳を固めて遠崎識人の顔面を殴ろうとする男子生徒。
「調子に乗るんじゃねぇッ、ぐぉッ」
即座。
遠崎識人が素早く足を上げる。
足首を伸ばしてつま先を伸ばす。
槍のような蹴りが男性の腹部に深くめり込んだ。
「か、はっ…おぁッ」
腹部に突き刺さった蹴り技に男子生徒は呼吸ができなくなって苦しみに問題ながら地面に倒れる。
素早い行動。
まぐれにしては迷いのない一撃だった。
明らかに何かしらの格闘技を受けている行動だった。
決して油断してはならないともう一人の男子生徒は確信した。
「おい、クソッ!!」
懐から一つの道具を取り出した。
腕を振り下ろすとその棒状は途端に長くなった。
警察などが使用している特殊警棒だった。
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