遅れて登場


「取り敢えず、あられもない姿になって貰いましょうか、写真にとって、それでお金を稼いで貰いましょう」


男子生徒たちが鞭野瑪瑙に近づいていく。

今まで男子生徒たちにも無礼な態度をとっていた鞭野瑪瑙は多くの生徒から恨みを買っていた。

その恨みの代金を体で支払わせようとしていた。


「あぁ、なんなら、特別仕様で働いて貰いましょうか、鞭野さんに冷遇されて恨みを持つ方は沢山いますからね…」


今回の事が終わったら。

写真を使い脅しながら男子生徒の相手をしてもらおう。

きっと彼女ならば多くの男子生徒が彼女を目当てに買いに来るはずだ。



「やだ…やめて、やめてよ、わ、私は…お姉様が、悦ぶから、そうした、だけ、だから…」


涙目を浮かべながら鞭野瑪瑙は懇願する。

しかし、深い憎しみを持つ彼女に対してその言葉は逆上を誘うようなものだった。


「何をいまさら…貴方を助ける人間なんて、この世に何処にも居ませんよ?」


極めつけに鞭野瑪瑙に対して心を乱す一言を付け加えた。


「だって貴方、嫌われているんですもの」


クラスの全員から嫌われて。

鞭野瑪瑙にすら見放された。

この学園で鞭野瑪瑙に味方をするものなど存在しない。

その事実を突きつけられてついに彼女の涙腺は決壊した。


「う、ぁ…ぁぁッ」


悲しみが涙となって溢れ出てくる。

その鞭野瑪瑙の表情ですら彼女の溜飲を下げる要因にはならなかった。


「それじゃあ、貴方たち、日頃の鬱憤を晴らして良いですよ」


そのように言うともう一つ付け加えて彼女は言った。


「でも、顔だけは止めてあげて下さいね、この後、デビュー作を撮る予定なんですから」


彼女の犯されている動画をSNSなどで売買する予定である。

本格的に鞭野瑪瑙の人生をめちゃくちゃにしてやろうと彼女は思っていた。

一人の 人生が台無しになるその瞬間に立ち会っている男子生徒たちは思い切り興奮しきっていた。


「へへ、悪く思うなよ?」

「俺のデカいからよ、ちっちぇえ体に収まり切れるかな?」

「ちゃんと泣き叫べよ?でないと、面白く無いからなぁ」


ズボンにテントを張りながら男子生徒たちは鞭野瑪瑙に近づいていく。

この校舎裏では逃げ場などなかった。

誰も彼女を助けようとすら思わないだろう。



「やあ」


ただし一人を除いてだ。

遠崎識人である。

鞭野瑪瑙を探していたのか遠崎識人が校舎裏へとやってきていた。


「あ?なんだお前」


「今は取り込んでんだ、後にしろ」


男子生徒たちは遠崎識人の顔を見てそう言った。

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