新しいメンバー
「(もう無理、こんな生活…)」
これから先、遠崎識人に搾取され続けるのだろう。
彼女の負債は、遠崎識人に敗北した事により、多額の借金を抱え込む事となっていた。
その負債を返済するには途方も無い時間をかけるだろうと彼女は確信していた。
だから、遠崎識人の目を盗んで、上級生の教室へと駆け込んでいた。
「はっ…はッ…」
彼女が助けを求めるのは、部室だった。
上級生にもなると、〈
鞭野瑪瑙が慕うお姉様は、この部室を独占しており、彼女たちの私物を持ち込まれていた。
「(あんな、生活、もう耐えられない…、あいつの言葉が届かない内に、お姉様がたに、私の身分を買って貰わないと…)」
遠崎識人から100万ポイントで負債証書を買い直して貰おう。
そう思い、鞭野瑪瑙は部室の中へと入り込んだ。
部屋の中は、先日入ったのにも関わらず懐かしい臭いでいっぱいだった。
再び、この部屋に戻って来れた事に感動して胸がいっぱいになってしまう。
「お、お姉様ッ!鞭野、戻ってきました」
喜びの表情を浮かべながら、鞭野瑪瑙は言った。
上級生たちは鞭野瑪瑙を可愛がっていた。
彼女が登場するだけで黄色い声をあげては可笑しや髪の毛など触って来て、話を聞いてくれる。
優しい上級生に囲まれて彼女は幸せな気持ちに包まれる。
だが、今日は違った。
彼女が声を張り上げて部室に入っても、誰も歓迎の声を出さない。
「ん?…何か、音でもした?」
鞭野瑪瑙を一瞥して、即座に〈イデア〉の視界画面に視線を落とす。
他の上級生たちも、〈イデア〉を操作していて、鞭野瑪瑙に興味を移す事は無かった。
「えー?知らない知らない」
「私達のグループに、使えない子なんて居ないしね」
「そうそう、ましてや、奴隷落ちした子なんて知らないし」
彼女たちは鞭野瑪瑙を無視した。
自らのグループに、奴隷となった者が居るだけで恥であるらしい。
早々に関係を断ち、新しい使える女子生徒を、部室へと招き入れていた。
「ねー、本登ちゃん」
その女子生徒は、Eクラスの女子生徒だった。
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