〈クロスエッジ〉撃破
〈クロスエッジ〉が迫る。
遠崎識人は〈オクトコンパス〉を操作すると、〈クロスエッジ〉に向けて鉤爪の触手を振り回し牽制する。
「(も、もう一度!)」
〈クロスエッジ〉に気取られ、此方を捌く事は難しいだろう。
そう思った鞭野瑪瑙は再びパチンコを使って相手に向けて弾丸を射出する。
回転する弾丸。
確実に視線は白宮桃花に向けられていた。
で、あるのに対して、遠崎識人は事前に予測していたかの様に攻撃を回避する。
「は、ぁ?!」
嘘だろう、そう言いたくなった。
一度目の弾丸の弾き返しはまぐれとも言えるだろう。
しかし、二度目。
今度は意識を逸らした状態での攻撃だ。
それを、遠崎識人は簡単に避けたのだ。
一般人が出来うる動きなどでは無かった。
「くっ、!」
〈
スキルによって攻撃速度が上昇している。
しかし、遠崎識人は彼女の連続攻撃を触手を振るって斬撃を弾いた。
「(なんで、攻撃、効かないの?!)」
白宮桃花は不思議だった。
彼の触手から生えている鉤爪が刃に触れて、攻撃が食らわない…と言うのは分かる。
だが、こちらは既に人間の速度では反応し切れない斬撃を振るい続けているのだ。
それが、触手を振るい弾き続けている、と言うのが可笑しい。
まだ、触手に攻撃を弾く防御用AIが働いているのならば納得するのだが、触手スキルの方は一切ランク上げしていない。
完全に、自分の反応速度と反射神経で弾いていた。
「(なんで、なんでッ、こんなッ!!)」
両手の剣を使い、精一杯、自分の腕力が続く限り〈
全速を出しての斬撃に、しかし、それでも尚、遠崎識人は触手を二本で捌きながら、遠崎識人は秒数を数えている。
「(30、29、28、27…)」
それは、自身に掛けられたバッドステータス〈脱水〉から〈枯渇〉に至るまでのカウントダウンだ。
〈オクトコンパス〉には予め時間が定められていた、今の遠崎識人は如何に〈枯渇〉を発症させるまでに彼女達を倒すか、と言う制限時間が設けられている。
「はッ…ッ!あッ」
如何に〈
全力で腕を動かし続ければ、肉体に対する疑似疲労が蓄積されていく。
二キロ近い二振りの〈
そして、攻撃の手が緩まった時を、〈オクトコンパス〉を操る遠崎識人は見逃さない。
「先ずは一本」
その言葉と共に。
触手を一本だけ動かして、彼女の刃を受け止めると、もう片方の触手で〈クロスエッジ〉の首筋に向けて鉤爪を引っ掛けた。
鋭く伸びた鉤爪は、人間の肉など容易に引き裂いて、動脈を切り裂いた。
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