第54話 カスタニア領での行動開始!

 刺身の事は残念だったけど、取り敢えず食べられるのが私とアルだけと言う事は解ったのは大きな一歩としてみておくとする。

 やはり肉こそ正義なんだな。

 肉、ご飯、肉、ご飯! 時々焼き魚!

 肉ばかりじゃ飽きる私としては、時折焼き魚を食べているけれど……やはり皆は肉がいいらしい。

 私一人分だけ毎回魚料理を作るのが寂しかったので、アルが居てくれて良かった。


 ウサギの二人はお野菜系が大好物らしいので、野菜料理もレパートリーも考えよう。


 ともあれ、私たちはカスタニア領の一番大きな街に到着した。

 此処からは美味しい料理、海の幸を堪能するのだと思っていたが――。



「僕たちは遠慮するすよ」

「魚料理はちょっと~」

「ワシも魚は焼き魚ならまだ……」



 と言う事で、アルと私は食べ歩きに出かけた。

 兄たちは孤児院を調べ上げて賃貸をお願いするべく向かったので、後で合流しよう。

 しかし流石港街。

 こう、懐かしいアニメの風景。

 魔女の宅配屋が居ても可笑しくないような。



「結構近代的なんだね」

「古臭い街を想像してたのか? 残念ながら、意外と建築技術が進んでいて綺麗な街なんだ」

「へぇ……」

「俺は此処で売られたから色々と聞いているが、領主が改革を進めているらしい」

「なるほど」

「ここは猫族の街……。猫族が殆どを閉めるが、その他にも猛禽類の鳥獣人もいる」

「お、おう」

「後はクマ獣人も多い」

「どちらも出会うと一瞬身構える獣人達だね」

「はははは!」



 そう清々しく笑うアルを連れて、まずは1軒目。

 そこは魚介出汁が売りの店だったけど、やはりちょっと味が薄い。

 もう1つ味に工夫が欲しい所だった。

 2軒目も同じ感じで、3限目で私たちは首を傾げつつ「……なんか違う」と語り合う。


 美味しいには美味しい。

 だけどいい味を損なっている気がする。



「何だろうな、旨味が足りない」

「解る?」

「うん……。辛うじて旨味を感じるけれど、本当に引き出せてないんだ」

「だよね。お魚も新鮮なのに勿体ない。丼物とかないのかな」

「それは俺も見たことないし食べてみたい」

「今度アルと私の分作るね」

「おう。後は冒険者ギルドにおやつ卸さないのか?」

「猫用のおやつになつよね?」

「そうだな、猫の冒険者が殆どだからな」

「ふむふむ」



 それならば、猫の多頭飼い用のおやつがあった筈。

 後で確認に行かねば。

 猫と言えば違うペロペロするおやつも想像できたけど、それは無理だろう。

 ゴミ問題が発生する。



「猫獣人草は食べないの」

「食べない」

「そ、そうか」



 どうやら猫草は必要ないらしい。

 となると本当におやつが必要、一度居住空間に戻り、猫用のおやつを買ってみる事にした。

【にぼし】【かじきまぐろ】後は犬と大して変わらなかった。

 確かに魚系は多いかなと言う印象なだけで、多頭飼いの犬用と大して変わらない。



「これは、纏めてセット売りは出来ないなぁ」

「1つずつ入れるしかないな」

「涎が出てるよ」

「つい旨そうで」

「皆1人一袋ずつ持ってるから、後で作るか作ったらあげるよ」

「助かる!」

「アイテムボックスは使えるよね?」

「勿論だ」



 こうして後でそれなら一式上げようと思いつつ、ウサギのおやつは見つからなかったので残念だ。

 会ったのはドライ林檎くらいで、一応購入したけどどうなんだろうな。



 そんな事を想いつつ、ミラーちゃんの2人に猫用を『乾燥付与』の袋に入れて貰うようにして、林檎に関しては二人分なので直ぐに終わった。

 こちらはメルンちゃんとウィルに渡そう。

 今ウィルとメルンちゃんはお爺ちゃんとイエスタを案内され中で、売る為の露店の場所なども教えてきており、きっと目立っているだろう。

 まぁ、お爺ちゃんがいる事で「フェンリルの所の奴隷」と覚えて貰うのが一番なのだ。


 週に1回は段ボールと【乾燥付与】のついた袋を持って行っている為、どんな感じなのかは理解しているが、今の所問題は無さそうである。

 それに、【乾燥付与】の付いた袋は、中身が無くなればただの袋に変わるので、転売できない仕様だ。


 駄目、転売!


 それは兎も角として、お兄ちゃんたち遅いな……と思っていると、やっとこさ戻ってきた兄たちはゲッソリしていた。

 何でも、子供たちに絡まれて大変だったのだとか。

 好奇心旺盛な子供達にとって、他所の冒険者とは気になる素材だったらしい。

 とは言え、良い所を見つけて賃貸と、後は私が契約を進めやすい様に「おやつ」の話も冒険者ギルドでしてきてくれたらしく、商業ギルドに後は言って冒険者ギルドに卸す契約をすればいいだけらしい。



「なら今日今から行ってくるよ」

「シスターにはもう話は付けてある。遅くなってすまないな」

「ううん。ミラーちゃんから出来当たった分5つほど貰ってくね。後アルにも1セットで渡すから待っててね」

「おう、なら俺も行こう」



 こうしてアルを護衛に着けて商業うギルドで2つ程おやつを試食して貰い、即OKが出たので冒険者ギルドに向かい、契約を行いながらもぐもぐ食べてるギルマスに少しホッコリした。

 後は孤児院に帰り、仕事をするのは年上のお姉さんやお兄ちゃんたちばかりなので、緘口令をしてからアイテムを出して袋を手渡し、入れて貰う事になった。



「神との約束を破ったら罰がくだるので、気を付けてくださいね~」



 そう告げたが、さてどうなるやら。

 猫は好奇心旺盛だ、何かしらやらかすだろうなと思っているが、やらかした場合、孤児院にもしっかりとバツを与える事になっている為、シスターたちは「是が非でも言うんじゃないですよ! この孤児院が無くなります!」と脅していたので大丈夫だろう。


 とは言え、緘口令を出している間は口が喋りたくても喋れないようにしてくれているのがヴィーザルなので、問題はないのだけどね。

 猫獣人は気まぐれさんなので、ちょっと強めにはして貰っているのは内緒だ。



「1週間後には冒険者ギルド職員の方が受け取りに来るので、その時はお願いします」

「畏まりました」



 こうして一通り終わり、ホッとしたのでやるべきことは1つ。

 魚料理だ。

 食べ歩きしたけどイマイチ。

 魚の美味しさを引き出せていないのが許せない。

 解せない、旨いのに!



「魚はシンプルに丼物でいいのよね。ご飯の上に刺身盛り合わせ、そこに旨味をアップさせる醤油をシュワッと」

「なんだよそれ、食いてぇ!」

「私とアルはそれでいこう」



 こうなると台所が後1つ欲しくなる。

 寧ろ3か所。

 私たち用に2つ、販売用に1つ。

 それを兄に言うと、増築してくれることになった。



「スキルポイントが余ってたからどうしようかと思ったけど、居住空間をアップさせるのはいいね。多分カオルも出来ると思うよ。ポイントが溜まればね」

「なら、クエスト受けないとね」

「魔力溜まりのあるダンジョンが2か所あるらしい。そこは受けてるよ」

「了解です」

「明日は魔力溜まりのダンジョン攻略かな」

「ドラゴンが居るところ?」

「どうだろうな、カスタニア領を出る前に水系のドラゴンが出る所に行っても良いかも知れないな」



 何それワクワクする!

 そんな楽しみも増えたところで、明日から魔力溜まりの解除の為に冒険だ!

 その前に――。



「皆さん今日は何が食べたいです?」

「肉じゃな」

「お肉です」

「僕も肉」

「「お野菜が良いです」」

「ヴィーザルは?」

「俺は魚がそこまで苦手と言う訳ではないんだ、食べなれてなかったからビックリしただけで。だから丼物と言うのを食べたい」

「了解です!」



 さぁ、作ろか。

 夕飯の支度だ!

 丼物には大葉は欠かせないしね!

 鉄火丼繕う鉄火丼!

 後、もうこれ以上モフモフを揃えないよ!

 沢山いるからね!


 料理が間に合わない……ミラーちゃんが居て助かった……。

 そう思っていると――。



「アタシも料理手伝うわ」

「ウィルさーん!」

「うふふ、こう見えて料理は得意なのよ」



 そんな気はしてました!

 と、言う事でミラーちゃんも手伝って貰いつつ、ウィルさんと一緒に料理をする事になったのだった。



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