第51話 【フェンリル乾燥フード店イエスタギルド店】とカスタニア領へ!
ウエスタン領で、まずは兄が【フェンリル教会】を救い。
私が【フェンリル乾燥フード店ギルド店】【フェンリル乾燥フード店1号店】【フェンリル乾燥フード店2号店】を出した。
続けて【フェンリルの憧憬】と言う料理店もオープンさせた。
取り敢えず、ここまでやれば女神化は大分抑えられたと思う。
【フェンリルの憧憬】は兎も角、イエスタでも【フェンリル乾燥フード店ギルド店】を作ってから、今度は海のあるカスタニア領に移動してはどうだろうかと言う話になったのだ。
定期収入と言うのはやはり大きい。
ましてや、孤児たちの仕事となる訳だし、危険な仕事につくよりは安全な仕事場に居た方が絶対良いだろうという話だった。
「確かに、乾燥おやつはイエスタでも出して良いかもですね」
「だろう? 女神化を抑える為にも一応保険としてあった方が良い気がするんだ」
「ふむふむ」
兄の言葉も最もだ。
保険はあった方が良い。
先日母が来た時「神格化は上がっていますが、何かしましたか?」と聞かれた為、料理店とお店をしていると言ったら、「料理店で幸福度が上がりすぎて神格化が上がったんでしょうねぇ」と言われたので、思わずゲッソリしたのだ。
ただそれでも、おやつの販売で抑えられているとの事だったので、やはり増やしていこうという事になった。
――と言う事で、現在イエスタの冒険者ギルドに来てウエスタンでの事を話し、売り込みに来ています。
「と、ウエスタンでは貴族も庶民も大好物なんです」
試食品を出して食べて貰いながら説明すると、ギルドマスターのマドンさんは目を輝かせながら食べている。
余程美味しいらしい。
「どうです? 置いてみません?」
「んぐっ! これはいい、携帯食にぴったりだ。是非卸して欲しい!」
「畏まりましたー! ご契約有難うございます! ただ、孤児院に事情を説明して協力をお願いするので少し待ってくださいね」
「おう、待つとも! 早めに頼むぜ!」
「了解しました!」
こうして、まずは冒険者ギルドにて「乾燥おやつ」もとい【フェンリル乾燥フード店イエスタギルド店】をオープンさせることが出来そうだ。
後は今孤児院に交渉へ行っている兄次第だが、私もそちらに向かう事へなった。
「そちらの首尾は如何ですか?」
「ああ、今説明が終わって許可を貰ったところだよ」
居住空間を使いイエスタの孤児院に向かうと、シスターたちも頷いてくれて「安全な仕事と定期収入が入るのでしたら是非に」と言う事になった。
そうだよね、定期収入美味しいよね。しかも子供達も就職する年齢になったら、うちで雇うか外で働けるか選べるものね。
至れる尽くせりですよ!
無論緘口令をお願いしているので外にバレる事も無い。
神様との約束は大事ですよー?
【乾燥付与】した袋は大量にミラーちゃんたちが作ってくれているので、段ボール2つ分置いて、後は【ネットスーパー】で多頭飼い用のお得セットを大量に購入した。
一通りのやり方を教えると、一端母権者ギルドに戻り事情を説明する。
納品用のアイテムは冒険者ギルドからアイテムボックス持ちが取りに来てくれることになった。
これで一応は何とかなりそうだわ。
「では、後にはギルド職員の方に従って納品は数を数えて終わりですので」
「分かりました。ああ、何から何まですみません……」
「いえいえ、私の為でもあるので!」
此れ以上女神化が進んで堪るか!
そしたら自由恋愛出来ないじゃん!
お見合いなんて絶対嫌!
私は大恋愛の末の結婚を目指しているんだから!
「取り敢えず、貴族や一般用の店はその内考えよう」
「そうですね、冒険者の方で広がってくれる事がまず一歩ですから」
「直ぐ広まりそうだがな。先に店だけ買っておいた方が良いんじゃないのか?」
と、ヴィーザルに言われて私も悩む。
確かに一理ある。
後で慌てるのもなぁ……でも出すにしても孤児の子供たちの少なさを考えると……。
「ここの孤児院子供の数が少ないんですよ。なので、冒険者支店だけで手一杯になると思います」
「ああ、確かに子供たちの人数が足りないか」
そうなのだ、入れ替えるにしても子供の数が足りない、圧倒的に足りない。
此ればかりは仕方ないので、諦めて貰おうと思う。
他の孤児院と提携するのも悩み所だしね。
もし本当に必要になったら、他の孤児院との提携も考えよう。
こうして、1週間後から【フェンリル乾燥フード店イエスタギルド店】をスタートさせることになったのだ。
孤児院の方にも兄が月に1回来て賃貸料を支払っていたそうなので、子供たちの暮らしも大分楽になっている様だ。
良かった……。
「さて、ここまで終わりましたし、そろそろ私たちも移動しますか!」
「そうだな、イエスタからカスタニア領に向かった方が早いしな」
「海の領か~。さぞや魚が美味しいんでしょうねぇ」
「旨い魚が食えるのはええのう!」
「私はお肉の方が好きですが~」
「魔力溜まり また ありそうね」
「でも 今は 兄妹で 出来るから 楽だよ」
そう、兄も光魔法のレベルを上げて魔力溜まりを吹き飛ばす事が出来るようになったので楽になったのだ。
そう言えば、カスタニア領にはどんなモンスターが居るんだろうか」
「カスタニア領にはどんなドラゴンがいるんですか?」
「ドラゴン前提か……」
「ははは、そうだな。イエスタが炎や火、ウエスタンは風が多かったかな。カスタニアは水だと思うよ」
なるほど、地域によってドラゴンが違うのか。
それはそれで楽しみ!
水属性が多いって事は魚系の魔物が多いという事だろうし、美味しく頂けるモンスターが沢山いればいいけど!
「ここから今の俺達なら全力で走って5日くらいでカスタニア領に着くと思うぞ」
「ではいつも通り」
「獣の姿に戻りまして~!」
「ワシは誰かに捕まっていくかのう」
「お爺ちゃんどうぞ~?」
「すまんのうサトリ」
「では、出発しましょう!」
と、一気に駆け出し始める私たち。
冒険者達も驚いていたけれど、物凄いスピードで走って行くのだ。
美味しい魚料理~♪
きっとお魚から出た出汁がまた美味しいに違いない。
今度お魚料理作りたいなぁ。
そう、魚と言えば刺身!
うーん、ネットスーパーでお刺身買っちゃおうかな!
そんな事を考えつつ只管走る事5日間。
海の香りを感じるエリアまで来ると、カスタニア領に入る関所に到着した。
猫獣人が多いというこのカスタニア領はどんな感じだろう、ワクワクする。
気まぐれがやっぱり多いのかな?
そんな事を考えつつ入国して、一番大きい街を目指して走る事2日。
カスタニア領の一番大きな町に到着し、獣人の姿になると中に入っていった。
漁師町と言うだけあって、様々な毛の猫獣人が!
短毛から長毛までそれはもう様々!
「うわあああああ……」
「猫だな」
「猫獣人はこんなものだろう?」
「他の領では禁止されておるが、カスタニア領では奴隷の販売がされておるらしい」
「え、奴隷?」
「そ奴らを見てみるのも勉強じゃろうな」
なるほど、知見を広げろって事ですか。
確かに奴隷……次第だけど、戦闘系は既に揃っているから、その他の内部を支えてくれる人が欲しいとは思っている。
付与魔法が使えれば御の字。
もしくは料理を私が作っておくから、イエスタとかで朝と昼売ってくれるアイテムボックス持ちも欲しい。
「うーん」
「なんじゃ、どうした」
「奴隷、欲しいなって。出来ればアイテムボックス持ち」
「え、奴隷買うんですか~?」
「イエスタの朝と昼用の料理関係で欲しいなと」
「確かにイエスタに行った時『料理の復活はまだですか!』って聞いてくる輩は多かったな」
「そうなんですよ……なので、この際いい人材がいたら買おうかなって」
「良いじゃないか? 奴隷の販売を禁止しているだけで、所持することは他の領でも禁止とは言っていない。到着したばかりだが奴隷市場でも見に行くか?」
「そうだね!」
こういう所もファンタジーなんだなぁ……って思ったけど、どんな人と出会えるのか今からワクワクするけれど、奴隷に落とされるって何をしたら落とされるんだろうか。
ヴィーザルも一応今奴隷だしな。
とは言え、何時も兄に着いて行っているし、一応奴隷しての動きをしているのかな?
うーん、自分に着いて歩いてくる奴隷……。
ちょっと憧れる。
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