第25話 領主様への挨拶と、ダンジョンでひと暴れ
慌てて案内された広い客室に驚きつつも、バタバタとやってきたのは髭の綺麗な犬の獣人さんだった。
彼がドルマ様らしく、全員で立ち上がり頭を下げると「いや、頭を下げなくて結構」とにこやかに言われた。
随分とお年を召した方の様で、お爺ちゃんと呼びたいくらいだ。
「リルフェルがあの暴れフェンリルと結婚したと聞いた時は冷や冷やしたが、そうか、君たちがその子供たちか」
「カルシフォンと申します」
「カオルと申します。こちらは私の従魔です」
「うむ、聞き及んでいる」
「それと、こちらが挨拶の品となります、ドラゴン肉です」
「おおおお! リルフェルが度々来ていた時食べていたが、また食べられる日が来ようとは……有難く頂こう」
「孤児院に間借りして拠点を作っておりますので、ドラゴン肉が必要な際はご連絡下しい」
「おお、それは助かる。マドンからも連絡を受けているが、クエストを受けてくれたようで助かる……魔力だまりのダンジョン3か所、それとシュベールの森の泉の水質調査と蜘蛛退治だったな」
「はい」
そう兄が返事を返すと、「流石リルフェルの子だな」と苦笑いしていた。
何でも、スタンピードを起こしそうだった魔力溜まりを母が浄化した事で、辺境伯の束ねるダンジョンは沈静化したことがあるらしい。
その為、母は美しさも相まって【フェンリルの女神】とまで言われていたらしく、大変親しまれていたらしい。
無論、冒険者な為あちらこちらと忙しそうにしてたそうだが、必ず手土産にドラゴン肉を持ってきてくれていたそうで、母はこの館で寝泊まりしていたそうだ。
母スゲェ。
「その子供たちともなれば、何時でもこの屋敷を使って貰っても構わんぞ」
「いえいえ、俺達は自分たちで【居住空間】というスキルを持っているので大丈夫です」
「レアスキルだな……」
「ええ」
「そこも、流石リルフェルの子供……と言ったところか。困ったことがあったら後ろ盾になろう。何時でも相談なさい」
「「ありがとうございます」」
こうして軽い挨拶は終わり、早速クエストへ向かう事になった私たち。
その前に腹ごしらえ~となったのだが、朝は軽めの朝食が多いのか、仕方なく私たちも軽めに食べてから出発。
とは言え、昨日雑貨屋のお兄さんから来たお店で、色々買いこんでいるので、最初のダンジョンまでの間に居住空間でパンケーキで腹を膨らませ、更に走る事になった。
「カオルの作る手料理は旨かったな!」
「ふふふ」
「調味料をどれだけ買うつもりだと思っていたが、こういう事だったか」
「ヴィーザルだって美味しそうに食べてたじゃない」
「初めて食べる甘味だったからな。だが腹も膨れて旨かった」
「私も蜂蜜たっぷりのパンケーキ最高でした~! また作ってくださーい!」
「ワシもじゃ! 蜂蜜多めでな!」
「はーい!」
そう会話しながら第一の問題のダンジョンに到着すると、獣の姿のまま中に入っていく。
最初のダンジョン付近は獣人達が戦闘していて、地図を開くと第5層まであるようだ。
問題の箇所はその第5層で、そこが問題で入れないエリアらしい。
「うう~~! ダンジョンと聞くと滾りますねぇ!」
「どんな敵がいるのじゃろうな!」
「最初の3層までは冒険者が多いみたい。私たちが狩るなら4層からかな?」
「なら4層までは敵も無視して突っ走るか」
「はーい」
こうして3日程かけてダンジョンを移動することになるのだけれど、殆どのモンスターは練習相手にもならず……襲ってくる事も無かった。
ただ、第3層ではお肉が旨いと評判の羊が沢山いたので、間引きも含めて40体程倒し、アイテムボックスへ。
毛皮も高く売れるそうで、これに関しては肉と毛皮は貰おうと思う。
そのまま第4層までたどり着くと、本当に冒険者がいなかった。
ソレもその筈。水のエリアだったのだ。
獣人は本来水を毛嫌いする傾向があるし、何より戦闘に不向きのエリア。
足を取られて戦えない等があるのだろう。
また、魔法生物が多く存在し、力業の獣人にとっては厄介な場所だと思う。
「魔法生物は核を破壊すれば死ぬが、落とすアイテムが魔石くらいしかなくてのう。旨味も無いんじゃろうな」
「それもうじゃうじゃいるね」
「間引かないとスタンピードが起きるな」
「魔法生物は体が大体スライムみたいなボヨヨンとしたのが多いんだっけ」
「とは言え、俺達の敵ではないな」
「スライム 強いんだぞ!」
「スライム バカにするな!」
「プリシアちゃんとラテも戦ってくれると助かるな~」
「もちろん!」
「やりますとも!」
こうしていざ、目に入る魔法生物退治となった。
確かにレベルが高レベルな私たちにとっては雑魚同然。
核破壊なんてお手の物。
ラテとプリシアちゃんなんて突き技だけで仕留めている。
その上落ちた魔石は二人が集めてくれているのでこちらは戦闘に集中できるのでドンドン狩りつくした。
津波のような攻撃魔法を仕掛けてくるレベルの高いモンスターもいたけれど、無属性魔法で結界を張ってやり過ごし戦う事も簡単だった。
更に3日程第4層の魔物を間引いてから、大量の魔石ジャラジャラで、明日から第五層に……となった。
「無属性魔法は有能だな」
「今まで無属性魔法の有能性を考えたことは無かったが、確かに便利だ」
「何でも無駄な力はないって事じゃな」
「使えない魔法無属性ちゃんがこんなに役立つなんて」
「ふふふー!」
そう言われると気分がいい。
さて、明日からは魔力だまりの浄化だ。
光魔法での浄化になるけれど、ついでにモンスターも叩くのが良いいいだろうし、早めに就寝となった。
ちなみに、ダンジョンにいる間は私が料理担当で、補助にプリシアちゃんが、ドラゴン丼とかドラゴン唐揚げとか色々作っているのだ。
今度イエスタに戻ったらまた調味料関係を大人買いしておこう。
味付けは日本に近い調味料がかなりあったので、そこだけは助かっている。
使い方の分からない調味料って怖いしね。
鑑定のお陰で何とかなっている。
ちなみにサトリちゃんは調理が壊滅的でした。残念。
「今日のご飯はドラゴン肉の南蛮焼きだよ! 沢山食べてね!」
こうして大量に作った肉を食べつつ……野菜を全く食べない我が肉食獣たちを羨ましそうに見つめながら、女神に呼ばれてご飯を別々に食べるヴィーザルには申し訳ないが……。
こればかりは肉食獣と草食獣の違い! 諦めてね!
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※新連載応援お願いしますm(__)m※
異世界うどん屋老夫婦の領地改革~亡き妻がうどんスライムになったので、店をしながら現地の生活を改善して住みやすくすることにしました~
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