第17話 お爺ちゃんとサトリちゃんのスキルツリー

 暫くすると2匹は目を覚ました。

 覚ました瞬間――。



「ワシは死んだのかのう? 余りにも恐ろしいとされるモンスターの亡骸を沢山見たんじゃ……」

「私もですお爺様……なんか、私が食べるなんて恐れ多いみたいな」

「恐れ多くも無いですし消費に手伝ってください。多すぎて大変なんです」

「「ひいいいいい!!」」



 そう言いつつも涎ダラダラの2匹……体は正直よ?

 ニコニコしつつ取り敢えず2つ程選んで差し出すと、暫く生唾を飲み込んでからガッツリと噛り付いた。

 もうそこからは一心不乱に食べ続ける2匹に、私も兄も大満足!

 食べ切れなかった分は明日食べたいとの事でアイテムボックスに仕舞い込み、まずはお風呂の時間となった。

 だって食事した後って口の周りとか手の回りとか血が皆凄いんだもん。



「お風呂は獣人になって入りましょう。私とサトリちゃんが先に入っていい?」

「ああ、構わないぞ」

「ワシも洗ってくれぇえええ!」

「アーバント爺は俺がしっかり皮がめくれるくらい洗ってやろう」

「お、お手柔らかにお願いするぞい……」

「いってきまーす」

「あの、お風呂って」

「プリシア が 綺麗に してあげる!」



 まず女子3人でまずはお風呂。

 広い人間用のバスタブにはお湯がタップリ入っていて、身体をまずは隅々まで洗って、サトリちゃんは初めてなのでプリシアが担当していた。

 そしてお湯にザブン! と入って「「「ほあ~~」」」と声が出る。



「お風呂……これがお風呂……天上の極楽の様です」

「わかるわぁ……。お風呂って最高よね」

「汚れも 落として 艶々 ぴかぴか」

「「「はあああん♡」」」



 思わず女性心がくすぐられる言葉を口にするプリシアに女子3人は頬に手を当てて艶々になった肌にウットリする。

 し・あ・わ・せ♡



「私、お風呂大好きになります」

「うんうん、一緒にお風呂入ろうね」

「はい!」

「そう言えば、第一層の隠し扉壊さなかったけど良かったのかな?」

「財宝を守るために会った場所ですから、財宝が無くなれば自然と消えます」

「そうだったんだ」

「あとで どんなのがあるか 見た方が良いね」

「そうね、どんなのがあったのか見てないから」



 初期スキルで【鑑定】は取っているので、アイテムを一つずつ鑑定していけばいいかな? 呪いのアイテムとかないといいけど。

 お風呂の時計を見るとそろそろ30分が経過、交代の時間だ。

 湯から上がり、身体をバスタオルで拭いてからネックレスを付けると獣人用のパジャマに着替える事が出来て可愛い!

 キャッキャと笑い合いつつ向かうと、次はお兄ちゃんとお爺ちゃんのお風呂だ。



「はぁあん! カオル、カオルウウウウウ!」

「アーバント爺、隅々まで洗ってあげよう」

「いやじゃあああ! カオル、カオルに隅々まで……ぎゃああああ!! 老体になんという力を使うんじゃあああ!!」



 と言う声が聞こえたけれど、「いってらっしゃーい」と見送って冷蔵庫にある牛乳を取り出す。なんでもこの牛乳減っても補充されるらしく、飲み切っても湧いてくるらしい。


 それをコップに入れて3人で飲みつつ女子トークを咲かせつつ、私はアイテムボックスのアイテム整理に入る。

 今日手に入れた金銀財宝を調べる為だ。



「宝石に金銀にプラチナ、この辺りは調べなくても分かるんだけど」

「問題はこちらですよね」

「そう、アクセサリーや装備の方ね。【鑑定】しながら見て行こうかな」

「それが いいかも」



 こうして1つずつ鑑定していくと、獣人用は無かったけれど人間用ばかり神々の世界から迷い込んだ代物が多い事が判明した。

 中でも珍しいのが此れである。



「獣人になれるネックレス……」

「誰が使うんですかね?」

「でも、下手に人間の手に渡るよりは良かったかも。悪用されたら困るもの」

「確かに ね」



 此れと言って目ぼしいものは無かったが、宝石だけは大量にあるので路銀には迷いそうにないと思う。多分だけど。

 どれも高品質だったので買いたたかれない限り大丈夫だろう。

 後は殆ど獣人には付けられない懐中時計だの、目の雰囲気を隠すメガネだの、人間の隠密が使うようなモノばかりあったのには驚いた。


 もし仲間に、万が一でも人間が入れば使おうかなと言う位だろうか?

 兄次第だが。



 そうこうしていると兄とお爺ちゃんがお風呂から上がってきて「いい湯じゃったわい」とホカホカしている所を見ると機嫌が良さそう。

 更に私たちが牛乳を飲んでいたので、兄とお爺ちゃんも牛乳を飲んでホッと一息つき、これからスキルツリーを見ていくのだ。



「まずはアーバント爺から見させて貰おうか」

「うむ、見るがいい」



 そう言って出したスキルツリーには、私たちが持っているもの以外でだと――。

【ドラゴンブレス】【咆哮】【風きりの刃】【隠密】【ダンジョンの知識】と言ったものがあった。

【ダンジョンの知識】……羨ましい。無論攻撃魔法は持っていたので、お爺ちゃんは後衛系のタイプだと理解した。



「お爺ちゃんは何故獣人化を取らなったの?」

「獣人化を取るとな、ダンジョンの知識が貰えなかったんじゃよ。長い時間いるのなら読み物があった方がええじゃろうと思ってな」

「なるほど」



 つまり、獣人化の代わりに【ダンジョンの知識】を手に入れたらしい。

 なんともお爺ちゃんらしい理由である。



「じゃが此れが今後役に立つかもしれん。カル坊、ワシは役に立つかもしれんぞ?」

「カルシフォンです。アーバント爺」

「ふふ、カル坊だなんて……。お爺様はお茶目なフェアリードラゴンなのですね」

「うーん、サトリはちょっとズレてるところがあるのかな?」

「でもサトリちゃんらしくて好き」

「カオルがそういうのならいいだろう。さて、サトリのスキルツリーはどうなっている」

「はい、こちらとなります」




 こうしてサトリちゃんのスキルツリーを見てみると――私たちが持っているスキルを省いてみてみると【聞き耳】【炎の咆哮】【水の咆哮】【氷の咆哮】【雷の咆哮】【砂塵の咆哮】【防御の咆哮】【攻撃の咆哮】【速度の咆哮】【風切りの刃】【癒しの風】とあった。

 流石ホワイトタイガーらしく物理攻撃もあったが、咆哮関係はちょっとした攻撃魔法みたいなもので、私の魔法とは違うらしい。また、【防御の咆哮】【攻撃の咆哮】【速度の咆哮】は、 周囲の防御力と攻撃力と速度が上がるそうだ。素晴らしい!



「サトリちゃんは万能タイプなんだね」

「えへへ」

「でも万能タイプが一匹でもいると助かる。これは大きいぞ」

「でも、冒険者に負けちゃいましたけどね……」

「今レベルは?」

「えっと、皆さんの仲間になる前は20レベルで、今は……65レベルです……」

「なんじゃと!? ホア! ワシも上がっとる!」

「追加スキル来てない?」

「来てますね。咆哮とかにはスキルは振れるみたいです」

「ワシもじゃな。取っておらなったスキルを今回は取るかのう」

「獣人は取れないんだよね?」

「うむ」



 残念。その後お爺ちゃんは取れなかった知識系を取って頭が痛いと言って寝込み、これは明日出発難しそうだという事で早めの就寝となった。

 知識沢山のお爺ちゃんって素敵じゃない?

 知的お爺様って事でしょう?

 そんな事を思いつつその日は眠りにつき、翌朝――。



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