第4話 色々頼りになります! プリシアちゃん!!

 戦いと死亡でベチャベチャの身体を、まずはお風呂で綺麗に整える。

 一時期的に死んでいただけあって毛艶も良くないし、しっかりと湯に浸かり、身体はプリシアが丁寧にシャンプーしてくれた。



「かゆい ところは ございませんかー?」

「気持ちがいいよ~ありがとう~!」



 一人じゃないって素敵!

 会話できる相手がいるって素敵!

 ベビースライムだけど、力はレジェンド! プリシアちゃんに今後期待!

 後でスキルツリー見せて貰おう!

 そんな事を思いつつ丁寧に磨かれ、湯から上がりお湯で身体の泡を綺麗に流し終えると風魔法で水気を飛ばしてフワッフワな毛艶が戻った。

 ホッと一安心だわ。


 お風呂から出ると、ご飯を食べる場所に向かいモンスターを一匹ずつ出してMPを吸いつつ餌として食べる。無論一度自分で殺した相手はMPを吸っても経験値は入らない仕様の様で、本当にMPに変換するだけ。

 とは言え、殺されたのでMPは半分に減ってしまった。

 畜生イケメンサイコパス野郎め。

 こちとら死活問題やぞ?

 いつか奴隷の様に扱き使ってやるからな!


 そんな毒を心で吐きつつ、MP吸収しながら自分のスキルツリーを再度見た。

 細かいリストにしてみると――。


【HPアップ】【MPアップ】【素早さアップ】【攻撃魔力アップ】……とずらりと基礎能力が並び、特化して目立つのはやはり、【言語理解】は大きい。

 お陰でプリシアとも会話で来てるし、喋るのが難しくなる前で良かったわ。

 何より獣人化に向う為の第一歩がこの【言語理解】なのである。


 そこからツリーが伸びて行って【言語理解】【世界の基礎知識1】【世界の基礎知識2】があって後は【世界の知識応用】が3つは必須のようだ。

 また、【冒険者としての知識】や【薬草の知識】もあり、【モンスターの知識】と言うのもある。

 アイテムボックスに入っている肉は食べられる為、冒険者で生業をしていくのも悪くない。


 その他のスキルは枝分かれしているけれどそこまで。

 欲しい場合取ればいいという形の様で存在していた、【世界の料理】と【料理スキル】は是非取ろうと思う。

 その他に【彫金師】【付与師】【錬金術師】【木工職人】等々職業が並んでいるけれど、この世界で生きる為に必要な、就職スキルみたいなものだろうか?

 そればかりは色々レベル上げて取っていくしかないけれど。



「でもMP消費したなぁ。暫く居住空間で只管MP吸いかなぁ」

「いちど 殺されると たくさん 減るものね」

「本当、あのサイコパス野郎め」

「イライラは 美容の 天敵だわ」

「……そうね」



 深呼吸しなくちゃ、こういう時こそ深呼吸!

 それにしてもイライラするわ……あのサイコパス野郎。

 今度からは見つかってもホワイトウルフにしか見えないとはいえ、他人にはフェンリルに見えるもの。気を引き締めないとね。それに、フェンリルは全て倒したと思っている以上、私が生きているとは思わないだろうし……。


 安全と言えば安全なのかもしれないけど、あのサイコパスやってきそうな気がする。

【フェンリルの匂いがする】とか言ってきたら怖いわ。

 シャンプーの香り変えていこう……。


 そんな事を考えながら数日間MPを貯め続け、失った分は元に戻った。

 とは言え、随分とMPを吸い尽くした魔物だらけになったので、そろそろ新しく借りに行かねばならないけれど――。



「プリシアって戦える?」

「うん」

「スキルツリーみせて?」

「いいよ?」



 そう言って見せて貰ったスキルツリーは正に女神に愛されし子のステータス……。

 なにこれ、なにこれ。

【言語理解】が出来るから強いと思っていたけれど、私より断然強い。

【危険察知】【悪意察知】この辺は私も取ってるけれど、【叩き潰し】に【串刺し】に【絞め殺し】更には【アイアンメイデン】って……。それに【捕食】まである……。

 捕食……。



「プリシアちゃんの捕食って」

「敵 捉える 為だけよ?」

「そうなのね」

「いちぶ 溶かしちゃう けど」

「そっか! その捕食って、オーディンの息子にも効きそう?」

「斬鉄剣 あるから 無理かな?」

「おのれ斬鉄剣」



 父親の形見だと思われるけど、何て厄介な……。

 神話のオーディンの物語と言えば、人間の姫との恋愛が結構好きだったけど、まさか神話よろしくこちらでも子供まで作ってるとは思わなかったなぁ……。

 召喚獣でオーディンが好きで使っていただけに、そのオーディンの息子に命を狙われるとか最悪の事態だし……。


 でも、たまに斬鉄剣ってミスするのよね、あれって不具合だったのかしら?



「考えても仕方ないわ。女神の死亡保障もある事だし、そろそろMP吸える魔物捕まえに行かないと」

「そだね 手伝おうか?」

「お願いします」



 こうして心強い仲間であるプリシアを頭にのせて、いざ居住空間から出て歩き出す。

 此処で死闘を繰り広げて、ここで殺されたんだよなぁ……本当、あんだけ戦ったのにザシュン! って切られて……頑張った分だけ損した気分だわ。

 でも、漢字二文字までの魔法は使えるようになったから、大分楽になるわね。

 でも、雷くらいしか思いつかないぞ♪

 勉強不足だなぁ。こんな事ならもっと勉強に力入れておくべきだった。


 そんな事を思いつつプリシアもいる事だからとリンク狩りして黒豹みたいな敵をドンドン倒してはアイテムボックスに仕舞い込んでいく。

 途中毛が大量に生えた蜘蛛を見かけたけれど、アレは無しの方向にした。

 虫は嫌いなのよ……。出来るだけ戦いは避けたいわ。

 しかも同等の相手って最悪じゃない? アクティブだったら襲ってくるって事でしょう?



「蜘蛛は流石に……」

「でも あの蜘蛛 糸は 高く売れる」

「ううう……」

「糸まきまき しちゃお?」

「で、でも」

「もう 二匹 こっち きてるよ」

「いやああああああああああああ!」



 こうして蜘蛛との戦闘になり、吐き出された糸はプリシアが手で巻き取り「いーとーまきまき♪」 と言いながら無理やり吐き出させてる!?

 この間に攻撃……ああ、炎はダメね、氷かな!



「ある程度 まきまきしたら 上から ズドンの 串刺しでいいよ」

「ワー、トッテモタヨリニナルー!」

「うふふ うふふ」



 でも、高いアイテムなら仕方ないよね。プリシアちゃん意外と金銭面もしっかりしてる。多分異世界関係の知識を持っているからだろうけれど、私もその辺り持ってたら籠りに来るのかな……。だとしたら、プリシアちゃんに糸を巻いて貰って大量にゲットしてた方が良いかしら?



「そろそろ 吐き出し 終わりそう」

「了解、上からズドンと氷のツララ落としちゃうよー」

「はーい」

「せーの!」



 こうしてズドンズドン! と二体の雲の上に巨大ツララを突き刺すと蜘蛛たちは「ピキ――!!」と叫んでから絶命した。

 そしたら、ワラワラ蜘蛛がやってきて流石の私も足が震える。



「プププ……プリシアちゃんこれは」

「仲間 呼ばれちゃったね 頭 潰す方が良いよ♪」

「そうする♪」

「うふふふ」



 こうなったら高級素材と言う蜘蛛の糸をドンドン集めて貰おう!

 プリシアちゃんの腕はさらに増えて糸を出した瞬間絡めとってゲットし始める。

 その間は少しずつ攻撃魔法を当てながら蜘蛛のHPを減らしていくんだ。



「でも、綺麗な形で残しておいた方がお金は美味しいわよね」

「そう だね」

「無暗に攻撃するのは辞めておこう。何か魔法の実験はしたいけど」

「実験は いいと 思うの。 どんどん すると いいと 思うの」

「ならそうしようかな」



 まだ試していない光や闇、無属性といったものもある。

 光りは目を潰す程度の能力。

 闇は魂を高確率で抜く程度の能力。

 無属性は……良く分からなった。

 あ、無属性ならバフやデバフ効果にはなるんじゃないな? そう思ったくらいだ。

 それこそ【結界】とか。漢字二文字だしね。

 オーディンのバカ息子に結界が効くとは思い難いけど、一応現れたら結界張っておこう。

 そう思いながら、大量の蜘蛛から糸をゲットした後は頭を潰してアテムボックスに仕舞い込んだのだった。


 さて、氷のダンジョンもそろそろ終わりって所に差し掛かって来たけれど、そろそろ熱風も感じるようになってきたし、氷が無いエリアも増えてきた。



「ここからが灼熱の世界になるのかしら」

「ここから ドラゴン いっぱいの 世界だよ」

「ドドドドド……ドラゴン? え? 戦える?」

「地図 みてー」



 その一言に地図を見ると、どうやらこの灼熱世界は3つの層に別れている様だ。

 一番最下層は強いドラゴン密集地。確かに強そうな敵がうじゃうじゃいる。

 多分母フェンリルは此処からお肉を調達してきていたんだろう。

 母……無事だといいけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る