第2話 フェンリルお母さんの愛情と、思いつくリンク狩り
母フェンリルは、私が魔力に変換して肉を食べて居る事に気づくと、大量の魔物を狩ってきては食べさせるようになった。
兄弟たちも貪るように食べたが、直ぐに兄や姉たちは次々に旅に出されて生き、一番仲の良かった兄は名残惜しそうに私と体を摺り寄せ合ってから去っていったけれど、元気に旅立っていった。
残った私は毎日のように一人大量の肉を魔力に変えて食べて行った。
毛艶は兄弟の中では最も綺麗になったし、身体も大きくなった事から、母フェンリルからはヨシヨシと体を摺り寄せられ幸せだった。
嗚呼、最高のモフモフだよお母さん。
それから数日後、旅に出るように急かされ、お礼をするように頭を下げると私はまだ行った事も無いダンジョンらしき空間の外に出た。
(おお、ダンジョン内が巣だったのね。暗い……けど、大丈夫そう)
真っ暗なダンジョンをトコトコ歩きつつ、第一モフモフを探すべく旅に出る。
このダンジョンの事知りたいな……まずは【HPアップ】【MPアップ】を取ってからスキルツリーから【地図】をゲットする。
本当は旅に出る前に厳選したかったけど、急かされてゲット出来なかったのだ。
後で厳選出来るもは厳選しておこう。うっかり忘れないといいけど……私うっかりさんだからな、気を付けよう。
今いるのはダンジョンの最下層。
所謂ボス部屋だ。
そこから更に上に登っていくが……果てしなく遠い。
兄弟たちの赤い点も見える。けど、一匹減ってる……殺されたんだろうか?
まさか、お兄ちゃんじゃないよね……?
そんな事を思いつつダンジョン内を確認しながら敵の強さも確認すると【練習相手になりません】と出ていて、それでも【MPには変換可能です】と出ると急いで狩った。
少しでも【MPタンク】を多めにしておきたかったし、自分自身の身を何時守ることになるか分からないからだ。
死ねばMPは一時的に半分に減るらしく、下手に死んでられない。
死亡保障はまだ欲しくない。
とは言え、魔法陣を思い描いて漢字一文字で魔法を出すというのは気持ちがいい。
まだ洞窟な為、炎を出しても問題はなかったというのもあるし、倒した魔物は蜘蛛でも何でも【MPタンク】に吸収しつつ【食】と言う魔法陣を使って倒したり死んだ魔物からMPを霞を食べてるかのごとき状態で味を堪能する。見た目のグロテスクは目を潰ればなんとか……。
(ああ、お母さんの味つけ懐かしいな……こんな味だった)
記憶にある前世の母の味を霞みで堪能しながら満腹になると、残りはMPタンクにぶち込んでいく。
食べ切れない分はアイテムボックスに仕舞い込んで、そうやって進む中、アンロック解除となった【居住空間】に入って夜は休む。
中は元の世界風でいうなら、【ペットと暮らす今どきの家】と言った感じだった。
抜け毛等は綺麗に消える家らしく、自室に選んだベッドでスヤスヤと寝る時間は最高の癒しだった。
(近代的な生活最高……)
何より最高だったのはお風呂だ。
小さな魔力を通しさえすれば犬用のお風呂が満タンになり、そこでお風呂に入って体の汚れを落として犬用シャンプーで身体を洗い、更に水魔法で綺麗に流し風魔法で身体を乾かし、ついでにフワフワの毛も整えて何時でも美人なフェンリルよ。
腐っても女子高生。
見た目には気を使いますー。
そんなヌルゲーに近い日々を送りつつマップ移動を進めていると、また一人兄弟が死んだ。
可笑しい、私ですらこんなにヌルゲーだと思っているのに、何故兄弟は死んでるの?
駄目女神に通信したいけど、通信は死なないと出来ない。
加護があっても毎回駄女神と通信出来る訳では無いのだ。
そう言えば、オーディンを倒した後って、フェンリルはオーディンの息子に殺されたのよね。まさかそのオーディンの息子が兄弟を狩ってる?
――可能性は0ではない。
兄弟が死んだのは上層部。結構上に行ってからだ。
私はこのまま上層に行く道を諦め、地下から上に登る三層となっているいばらの道を選んだ。
簡単に上に登るなら階段を駆け上がっていく兄弟たちの方角だけど、この広いダンジョンを三層にして上に上がるのが上級者向けだったりする。
そっちを選べば……否応なしに強い敵とも遭遇する可能性はあるけれど、死ぬよりはマシな筈。
そう思い立った私は第一層を抜け、第二層に入った。
第二層の最初は氷山地区だったが、フェンリルの身体をもってすれば何とかなる。
道中、スランボとか言う草食獣だけど【計り知れない強さ】がいて飛び跳ねて隠れた。
アレとは戦ってはいけない。本能がそう叫んでいる。
ドラゴンに近いが獣にも近い……テイムしても殺される気がする。
私の持ってる【テイム】は同等の強さか下なら100%テイム出来るが、それ以上となると運が絡む。
美味しいものを食べれば猶更レベルが上がるという私は、日々霞で母の味を思い出しつつ、たまに食べたお菓子やジュースなんかも想像しながら食べているが、実際には口にしていない。
つまり、この異世界の美味しいものを食べ尽くせば私は最強と言う奴である!
ふはははは! 最強! 最高じゃん!
その為には獣人になってこちらの異世界の美味しいものを食べ尽くさねば!
スランボは避けて黒豹なんて魔物もいて、そいつらは同列の強さだったので魔法で倒してみたら、意外とすんなり勝てたので、ドンドン倒しまくった。
が、ゲームで言う所のリンクをした。
2匹相手は結構辛い。
こいつら結構攻撃力高いな、犬同士の喧嘩と思って舐めてたけど結構キツイ。
第一モフモフだけど可愛くない!
こういう時はズルでもしよう!
(【空中飛行】開始!)
心で叫んで大きく空に飛躍すると、そこから魔法で撃ち殺していく。
あ、こっちの方が断然楽。
敵は飛べないし、空を飛ぶ敵とさえ戦わなければ結構楽かも。
ただし【空中飛行】はそれなりにMPを持って行かれる。そう長く空中飛行は無理だなと判断。こういう時こそアイテムボックスに貯め込んだ肉を魔力変換だなと思い、二匹を倒し終わるとアイテムボックスに入れ込んで、敵がいないエリアを探してそこで一匹ずつ出してMP変換しながら霞を堪能する。
MPタンクはまだまだ満タンとまで行かないけれど、それなりに溜まり続けている。
しかし、私は気づいてしまったのだ。
(【空中飛行】はそれなりにMPを持って行かれるけど、大量リンクさせて魔法で倒していけば結構楽に、餌というか、MPゲットできるんじゃない?)
いわば禁忌の方法。
狩場荒らし。
でも、今なら一人勝ち状態である。
やらいない訳はない。
そうと決まれば今食べてるMPご飯を食べ終わったらガッツリ狩ってやろう、フフフフフフ……。
そんな事を思う日も私にはありました。
現実はそう上手くいくなんて事は無いのである。何故なら――先ほど戦っていた二匹はまだ使ってない技があったのだ。
それが私の前に立ちはだかるのは――それから直ぐである。
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