第4話

リンと女性が家の前に着く。リンは扉を開けてと頼むようにして引っ掻いている。女性は恐る恐るドアノブを回した。

扉が少し開いた瞬間、猫が素早く室内へと向かっていった。慌てて女性があとを追いかけると、居間の食卓に座る一人の老婆と、その近くで鳴き続けるリンの姿があった。老婆は

誰かの名前を呼んでいるようだったが、その目は虚ろで、とても生きている人間だとは思えなかった。女性は恐怖を感じ、リンを抱えて外へ飛び出した。

視界から遠ざかっていく木製の扉に向かって、リンはいつまでも鳴き続けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

繰り返す日々 @yakitori0414

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画