エピローグ

 クリスマスの一夜を彼女とイチャイチャしながら過ごしたあとは、凄まじい勢いで時間が流れて言った。

 正月、受験シーズン、受験本番、合否判定、高校三年生の1年はあっという間だった。

 無事に、二人とも同じ大学に合格した所まで話が進む。

葉涙はるが私の希望する大学と同じでよかったね」

「そうだな。しかもやりたいことも同じだったと言うな」

「ほんそれ」

 二人のやりたいこと、それは具体的にSE、エンジニアだった。

 ただ、SEに対して興味がある程度なので、これから共に勉強していこうという話で完結した。

「でも、これからも一緒に住んでいきたいよね……。と思ったので、ここでを使用します!」

「げ、まだそれ覚えてたのか……」

 去年の勉強会にて、勉強を教えてもらう代わりに何でも言う事をひとつ聞くという権利を彼女に譲渡していた。

 それを今発動されるという事だ。

「ちなみに、なにを所望されるのですか?」

!」

「……はえ?」

「何か不満でもあった?」

「いや、そんなことでいいのかなと……」

「そんなこともなにも、わたしからしたら一大事なんだよ?」

 ぷう、と頬を膨らませる葵さん。

「なるほど……」

「……いい?」

「別に構わないが……」

「やったね!」

 ぴょんぴょんと跳ねる葵さんの姿が可愛い。

「ちなみに、生活費なんだけど、私と葉涙の両親がそれぞれに出すとか入ってた」

 あの親バカは……。

 どこもかしこも俺らに甘いんだから。

 でも、それは嬉しいことだ。

 すなおに受け入れようと思う。

「あ、あと明日高校の卒業式だけど、

「おう」

 あそことはなんとなく予想がつく。

「じゃあ、私は制服整えたりするするから、また明日ね」

「おう」

 その後、俺も制服のクリーニングを取りに行き、前夜祭りとしてまた葵の家にて豪華なご飯を食べ、高校卒業式の日になった。

「葉涙のご両親さん来れてよかったね」

「息子の卒業式に参加しない親がいますか!? ってブチギレたら休むことが出来たらしい」

「意外と葉涙のご両親って強いよね……」

「あの鬼強メンタルのおかげで会社でもバリバリだとよ」

 教室も喧騒している中で、先生がやって来る。

「ほらほら、卒業式だからって浮かれすぎんなよ。これから体育館に向かうからな」

 先生の一言で、体育館にぞろぞろと向かう。

 入場の拍手と同時に写真撮影すする人が大勢にいる。

 みんな気恥ずかしい様子で常に周りをキョロキョロしている。

「やっぱ親がたくさんいると落ち着かないね」

「たしかにな。ある意味、晴れ舞台だし仕方ないけどな」

「まあね」

 小声で会話をし、着々と卒業式が流れていく。

 うちの学校には卒業生・在校生の校歌斉唱は存在せず、吹奏楽部が校歌のリズムを刻むものとなっている。

「——以上を持ちまして、第〇〇回卒業式を終了いたします。一同、ご起立ください」

「礼」

 全員が頭を下げる。

「ご着席ください。これより、卒業生が退場いたします。拍手にてお送りください」

 盛大な拍手と吹奏楽部の演奏とともに体育館を後にした。

 もう、帰ってこない会場に。

 教室に戻るや否や抑えていた感情が吹き出すかのように女子たちが泣き出した。

 男子たちも何人か泣いている。

「ほら席につけ。お前らに贈呈品だ」

 それからは先生の話を聞くことになった。

「お前らには手を尽くしてきたが、最終的にはこんに立派になったもんだ。俺は嬉しいぞ……」

 先生も泣きそうになっている。

 でもここで泣いたら教師ではないと自覚してるからグッと堪えている。

「いつでも、帰ってこいよ。俺はしばらくここで待っているからな」

「「「「「先生!!」」」」」

 生徒が先生に感動した瞬間だった。

 生徒が一斉に先生とLINEを交換し出した。

 俺や葵ももれなく交換した。

 その後に解散となり、クラスメイトや家族と立ち会う時間が設けられた。

「葉涙、行こっか」

「おう」

 両親には「少し会うのが遅れる」とだけ連絡し、に向かう。

 学校の裏側に向かい、密林に向かう。

 丘を越え、雑木林の中を通りすがり、希望ヶ丘にやってくる。

 

「ここまでやってきたわけですが、何か用が?」

「卒業式で少し疲れたから。後、単純に甘えたくなった」

「急に可愛い生き物になったな」

 希望ヶ丘に座り、二人で甘い空間を過ごしていた。

 手を繋いだり、ハグをしたり。

「久しぶりに葉涙と二人の時間……」

「なんだかんだ二人きりの時間って少ないもんね」

「特に今年は受験があったからね。忙しすぎて甘える以前の問題だったもんね」

「そういうこと」

 そう言いながらだんだんと甘えるのが過激になっていった。

「ここはあくまで外だからね。家でならいいよ」

「じゃあ、最後に甘えるのに一つだけいいですか」

「なんだろう?」

「最後に、その、キス、だけ……」

 最後にはかいこうせんを出してきた。

 いつまでもてれながらキスがしたいという彼女が可愛いです。

 仮にここでNOと答えてみたらどういう反応をするのか気になるので、NOと言ってみる。

「んー、だめ☆」

「はい?」

 葵さんの目から光が消えた。

「ヒエッ……」

「今、なんて言った?」

「いやー、そのー、家でしないかなーって」

「家でもするに決まってんじゃん」

「あ、ハイ……」

 ここまで冷めた葵さんは初めてみた。

 そして葵さんが覆い被さっていた。

「キスさせろー!」

 葵さんがケモノになった瞬間だった。

「ぎゃあああああ」

「はわわ……」

「え?」

 少しの音も聴き逃さずに、葵が後ろを振り返ると、カシャ、という一つのシャッター音が響く。

「お、お二人はこんなみだらなかんけいになっていたんですね……!!」

「千佳ちゃん!?」

 そこにいたのは葵の友達の千佳ちゃんでした。

 のちに、その写真は学校のクラスラインに流出されて、俺と葵は大恥をかいて周りから「爆ぜろ」と祝われる結末になりました。


 でも、俺も葵もこの関係性が死ぬまで続くといいなと感じるのだった。





 了。

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