第5−2:君とみた、あの丘で、もう一度桜を。
「俺は——」
その俺の回答は——。
その翌日、学校は午前で終了し、午後から、葵の家で俺と葵と葵の家族でホームパーティーをすることになった。
「葉涙ってやっぱ甘いもの好きだよね。スーパーに来ると必ず甘いもの買うし」
俺と葵は現在、ホームパーティーのための準備を行なっている。
「二人でお使いに行ってきてよ。好きなお菓子買ってきて。余ったお金はお小遣いにしていいから」
そう言われて買い出しに行くことになった。
「まあ、俺は昔から甘党だもんな……。遠見も買わないと多分文句言われる」
「そうだね、ポテトチップスでも買おっか」
そう言って買い物かごにお菓子を詰めていく。
「とりあえずこんなものでいいかな。レジに行こう」
「おう」
山盛りに積んだお菓子のカートをレジに運び、合計金額が一万円を超過して二人で驚愕したところなどもなかよしだからできることなのだろうと感じた。
「「ただいま〜」」
「お帰りなさい。ちょうどご飯ができたよ」
家に帰宅するなり、葵さんの母親が迎えに来てくれている。
「お母さんのご飯美味しいから好き」
葵が母親のいるキッチンに向かう。
「ありがとうね。葉涙くんもわざわざ荷物持ちありがとうね」
「いえ、一年の中の数ある楽しみなので。これくらい問題ないですよ」
葵のお母さんはいつになくお人よしだ。
「ありがとうね。じゃあ、小さなパーティーでも始めましょうか。今年も葉涙くんの両親さんが来れないのは残念だけどね」
葵のお母さんは今は不在の俺の両親まで心配してくれるぐらいに「聖母」と言うイメージが強い。
「両親もろとも多忙の身なので……。でもここまで育ててくれたことに感謝してます」
「葉涙くんはいい子なのね。葵もこの子に求婚して正解だったわね」
「そうでしょ」
葵は嬉しいことがあると即座に両親に連絡することを義務と感じているのか、葵が俺に求婚しているのは周知の事実だった。
ちなみに、葵のお母さんたちと俺の両親も連絡先が繋がっており、すでに知られていたりする。
連絡がしられたときは LINEで「よくあんないい子に求婚されたな」「あんたももう一人前だね」などとたくさん褒め言葉を頂戴した。
「それじゃあ、乾杯」
「「「乾杯」」」
そして一年の締めくくりに相応しいホームパーティーが始まった。
葵の両親はお酒を飲んだり、俺と葵はお菓子などを食べていたり。
そのまま時間が何時間か経過し、夜中も近く買ったところで。
「葉涙、私の部屋に行こう?」
「? うん」
なぜ急に葵が部屋に誘ってきたのだろうか。
よく分からないが、特に断る必要もないので、ついて行く。
「それで、なぜ部屋に? いつもなら入れないのに」
基本的に個々のプライバシーを重視している葵さんなので、葵さんが許可しない限り親でさえ侵入禁止にしているのだ。
自部屋に別途鍵を設置するレベル。
「葉涙のクリスマスプレゼント」
「うん」
「葉涙へのクリスマスプレゼントは私です☆」
「……は」
色んな意味で理解ができない。
プレゼントはわ・た・しってやつ?
なにそれ最高じゃん。
「……嫌だったかな」
「そんなこと滅相もございません」
「良かった」
そう入って葵さんは甘えたがりな猫のように擦り寄ってくる。
「葉涙くん……」
ゴロニャーと言わんばかりにとことん甘えてくる彼女がとても可愛い。
(くっ……頑張れ俺の理性……抑えろ……)
「葉涙、抑えなくてもいいんだよ」
「…………」
「あ、あと私の部屋のスペアキーあげる」
「???????」
「これから私は葉涙のものになるから。私が家にいる時はいつでも入っていいよ」
「あ,ありがとう……?」
色んな意味で今日は忙しくなった。
今日ぐらいは、彼女に甘えてもいいだろう。
彼女に触れたくなって彼女に手を伸ばす。
「葉涙って意外と静かだけど積極的だよね」
「……ナンノコトヤラ」
「今手がある場所とかそのままじゃん。わかりやすいよ」
そのまま彼女に溺れるように愛し合って、夜を明かした。
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