第4-5:これからも(おまけ)
葵からの求婚を正式に許可し(といっても求婚するのは男側だろう)、その後昼休憩をとり、教室に戻ったところ、大勢のクラスメイトに囲まれた。
「…………???」
「「「「「葵ちゃんと
「……は?」
全くもって意味がわからなかった。
だって、あの場には俺と葵しかいなったはずだ。
だれかがスパイを……?
と思ったが、それはないとすぐにわかった。
「あ、ごめんはる、嬉しくなりすぎて私が
「なるほど……?」
一方男子の方を見やると。
「なんであいつなんかが……!」
「ギルティイイイイイイ」
「高い麻縄買ってくるわ」
「アイツを血祭りにするには……」
相変わらず元気だな、お前ら。
そんなバカ共は放っておいて、俺は女子軍に祝われることに集中した。
「葵ちゃんはいつから葉涙くんに恋してたの?」
「ほんとうに幼少期からだね。保育園から同じだし」
「きっかけは? どうして葉涙くんに夢中になったの?」
「葉涙ってどこか放っておけないんだよね。世話がやけるというか。でも、そんな面倒くさい一面も好き」
周りから黄色い歓声が上がっているが、おい、聞こえているぞ。
だれが面倒くさいだ。
すると、一人の女子が俺の元にやってきた。
「葉涙くんは? 葵ちゃんのどこが好きになって婚約をオーケーしたの?」
うわ、聞かれると意外と恥ずかしいな……。
周りの女子も気になるようで、俺の方をじっと見つめている。
葵に至っては「回答によってはお前刺すぞ(ニコニコ)」と言わんばかりの笑顔の圧力を掛けている。
「……まぁ、なんだ。馴れ合っていくうちに段々とな。小学校の頃とかしょっちゅう喧嘩してたし、今もたまに喧嘩するけど、それは愛ゆえの喧嘩なんだなって思ったら別に恥じることでは無いなって思って。そう思っているうちにどんどんとな——やっぱ恥ずいわ……」
女子軍がキャーーと黄色い歓声を再びあげる。
葵も俺の言葉を聞いてなのか、死ぬほど恥ずかしくなって湯気が出るぐらいに顔を真っ赤にしている。
いつもの仕返しにすこしいじるぐらいは許されるだろう。
「葵さん、今の聞いて恥ずかしくなったの?」
「そ、そんなことないし……」
「でも、顔真っ赤だよ?」
「うるさいな……」
教室の周りが「イチャイチャしてるぞー」「いいぞもっとやれ〜」とヤジを飛ばしてくる。
おいそこうるさいぞ。
ある程度恥ずかしがっている姿に、バックハグを食らわせた!
「…………」
葵さんが両手で顔を覆って何も言わなくなってしまった。
「……好きだぞ」
トドメに言葉責め!
「…………」
葵さんが何も言わなくなったかと思えば、キッとこちらを睨んで叫んできた。
「うるさいなぁ! そんなに襲われたいのか!」
「…………すいません」
「ふん」
お怒りモードです。
なんかごめんなさい。
机に突っ伏しながら、そっと一言。
「…………うそだよ。だいすき」
周りが一気に盛り上がった。
俺もふと気がついたらハグをしていた。
そして、目の前の先生に全く気が付かず——
「お前ら、今何分だと思っているんだ?」
青筋を立てて般若顔の数学の先生がブチギレている先生を目の前に時計を確認すると、授業開始時刻を十五分過ぎている。
「こらああああああああ!!!」
「「「「「ごめんなさいいい!!」」」」」
そして皆が怒られたのは見える世界であった。
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