第4-2:これからも
葵にこってり絞られた次の日、葵の朝のラブコールで目が覚め、いつもの様に一緒に登校することにする。
「おはよ、
「おはよ、
「もうすっかり涼しいよね。この間までの暑さはどこに行ったのやら」
「それな。ここまで来ると一気に冬が来るって朝テレビで見た」
「そうなの? 冬は色んな出来事があるからね。色んな意味で落ち着かないよ」
たしかに九月になると冬まで一瞬だ。
クリスマスだの文化祭だの年末年始だの。
それに俺らは期末テストだってある。
油断はしていられない。
「そういえば」
「?」
「私と葉涙の関係をお母さんとお父さんに伝えたらめっちゃ喜んでたよ」
「あの両親だしそうだろうな」
「早く孫の顔が見たいって」
「気が早すぎる」
「男の子がいい? 女の子がいい?」
朝からカオスな単語を出さないでくれ。
頼むから。
「どっちでもいいけど、まだ朝だぞ」
「むぅ……。葉涙は連れない」
「ただ本音を言ってるだけなんだがな」
「でもたまにはノリで返してくれてもいいじゃん」
ノリで返すとあなた本気になるからダメです。
なんて事は葵には言えない。
「まあ、そのなんだ、また気が向いたらその話をしよう」
「葉涙の『気が向いたら』って覚えていたくない出来事だよね」
「ギクッ」
頬を膨らませて、不満を
「今はまだ、な」
そう言って葵の頭を撫でる。
「えへへ」
葵は満足そうにニマニマしている。
とてもかわいい。
「じゃあ、来年までに決めておいてね。これ、宿題だから」
「お、おう……」
かなり高難易度の宿題を出され、困惑するが、あまり気にしないことにした。
いずれ忘れるであろう。
「それよりも葉涙」
「なんだろう?」
「明日数学の小テストだけど平気なの?」
「…………」
終わった。
何も対策していない。
このままでは、夏休みをただ彼女と楽しんでいただけになってしまう。
確実に先生に怒られるルート確定だ。
「返事がないってことはかなりマズイってことだね?」
おっしゃる通りです。
かなりに危機感を感じます。
「葉涙に選択肢を与えてあげましょう」
「?」
「私に勉強を教えてもらう代わりに、何でも一個言うことを聞くか、ノー勉で行くか」
「…………」
こいつは、また小悪魔的な提案を出てきた。
葵の言うなんでもの範囲が性的な意味が必ず含まれるのでとても怖い。
「どうする?」
完璧な上目遣いと甘く
こいつは完全に俺を堕とす気だ。
でも、勉強を教えてくれることに変わりはないし、とても嬉しいことだった。
「お、お願いします……」
完璧に彼女に負けた瞬間だった。
それでも、俺の成績がよくなるのであれば自分の身にはされてもいいと思った。
自分の身と引き換えに、勉強を教えてもらうことになった。
その夜は、俺の部屋に集まって勉強会を開くことになった。
「じゃあ、勉強会を始めます。私のことは『先生』と呼ぶように」
「はい、先生!」
「……やっぱなんか違うのでいつも通りで」
「? はい」
そう言って葵も自分の勉強を始めた。
集中する葵の姿は、誰にも負けないぐらい美人に見えたのはここだけの内緒話である。
「…………」
この時間からお互いの吐息と紙をめくる音だけが聞こえる。
葵曰く、まずは自分でできる範囲でやってみて、一周が終わったらできていないところを集中的に解説するとのことだ。
ちなみに葵は隣で俺用だろうか、テスト問題を作成している。
そしてその時間は23時に到達したところで。
「はい、一旦休憩。その後にテストやってみるよ」
「はい」
葵は勉強になるととことんスパルタになるのだ。
そして葵が作成していた問題を解いてみると——。
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