第4−1:これからも

 夏休みがそろそろに終わるということで、葵に朝起きる訓練もしてもらい、新学期が始まった。

 新学期早々によくある、長ったらしい校長先生の話を聞くことになる。

 そのために整列をするのだが、女子列で、なんだか俺の名前が出てきているのでなんとなく察することはできるが、気にならないふうを装うと思う。

 ちなみに会話内容はこんな感じだ。

「結局葵ちゃんって葉涙はるくんに告白したの?」

「私はしてないよ。道中に不思議なことが起きた後に、葉涙から急に告白されてそのまま付き合うことになったよ」

 キャ〜と黄色の歓声が上がっている。

 楽しそうだなあ。

 と、思っていると、後ろのやつから声をかけられた。

「おい、葉涙。お前葵さんと付き合ったんだって?」

「お前のその情報網はどうなってんだよ」

「イエスかノーで答えろよ」

「……まあ、イエスだが」

「どこで告白したんだよ。タイミングは? 時間は? どっちから?」

「全部聞こうとするな」

「グボァ」

 一問一答全部聞こうとするので一回腹パンを軽めにかましてやった。

「何も殴ることはないだろ」

「いや、お前はこうしないと理解しない」

 俺らがギャーギャーと騒いでいると先生から指示があり、移動が始まった。

 その後、30分の校長先生の話を気き、教室に戻ってきた。

 その際に、葵が近づいてきて、何気なく手を握ってきた。

「葵さん? ここ学校ですよ?」

「ん、知ってる。知っててやってる」

「まさかの現行犯だった」

 それでも恋人に手を繋がれて嫌な思いをする人はいないだろう。

 なので、そっと手を握り返すことにした。

 ちなみに、その場を目撃されていたため、その噂は学校内に速攻で広がることになった。

 そりゃそうか。

 その後、新学期が始まったからなんだ、荷物がどうだ、とかいう重圧なプリントをもらい、学校初日が終了した。

「葵ちゃーん、今日クラスみんなでカラオケに行こうって話が出てるんだけど、くる?」

「んー、どうしようかな」

 葵がしせんで会話をしてくる。

(……どうする? 私は早く帰りたい)

(葵の好きなようにすればいいと思うぞ)

(わかった)

「ごめんね、今日は疲れちゃったから不参加で」

「わかったよー! また明日ね!」

「うん」

 そう言ってクラスメイトが全員出ていくことを確認して、葵がこちらを観ている。

「じゃ、帰ろっか」

「おう」

「あ、でも」

「?」

「みんながいないので、恋人らしい事を所望します……」

 顔を真っ赤にして、声をすぼませて言っているところがとても可愛いと思います。

「例えば何を希望しますか?」

 エロゲの選択画面みたいな質問をしてしまったが、それでも質問に答えてくれた。

「き、キスとか……」

 キスと行った瞬間、沸騰するんじゃないかと思うくらいには顔を真っ赤にしてうつむいている。

 キス一つで顔を真っ赤にするぐらいには初心うぶなんだなと思った。

 この間は自分からキスしたのに可愛いな。

「じゃあ、失礼します……」

 そう言って少しの間のキスをした。

「にへへ」

 一瞬のキスだったが、満足したらしく、ニマニマしている。

 かわいい。

「じゃあ、今度こそ帰ろう?」

「おう」

 そう言って荷物をまとめ、手を繋いで帰路に入った。

「そういえば今日遊びに行かなくてよかったのか?」

「うん。葉涙と一緒に帰りたかったからよし」

「ならいいか」

「うん」

 そう雑談をしながらお互いの家に帰って行った。

 まだ夏の暑さなのに日の長さはどんどん短くなって、もう夕暮れになっている。

「今日こそはうちに泊まっていく?」

「う〜〜〜ん……」

「今日両親いないから」

「誘う事前提なの」

「逃がさない。彼氏連れ込むって言っておいた」

「事前準備が徹底すぎる」

「じゃあまあそのままお邪魔しようかな」

 そう言ってそのまま葵の家にお邪魔し、葵がサキュバスという事を忘れ、コッテリ搾られた。

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