第3−1:愛情と友情
「俺、葵のことが好きなんだ」
勢いに任せて言えたのはいいが、そのあとは何も考えてない。
「…………」
葵は何も言わない。
返事を考えているのかもしれない。
と思ったら、ふと涙を流し始めた。
「えと、どうかしたの……?」
「え、や、
その返事は「はい」という事で間違ってないのだろうか。
「それはYESってことでいいってこと?」
「うん! これからよろしくね!」
「おう!」
こうして一旦落着になった。
「じゃあ、今度こそ家に帰ろっか」
「おう」
そのまま家に帰宅した。
その道中に俺が変な世界にいた時に起きた不可思議なことを話した。
「……で、そんなことが起きて、その紙を貼り付けたらブワーって桜が舞って……」
「そっかそっか。いろんな出来事が起きたんだね」
ずっと話を聞いてくれる。
葵——もとい彼女の存在がいかに大事か理解することができた。
「どうする? 今日はうちに泊まっていく?」
「は?」
ウチニトマッテイク?
「……ちなみ、親は?」
「いないよ?」
「…………」
それは、誘っているのか……?
「それって、その、誘ってるんですか……?」
「?????」
葵は何言ってんだこいつって顔で見ていた。
あ、これはないですね。
「や、なんでもない」
「そう?」
「ごめん」
「よくわかんないけど、うん」
一呼吸を起きつつ、次の話題を出す。
「今日は夕ご飯だけお邪魔しようかな。お泊まりはいろんな意味で理性が危険で危ない」
「わかった。じゃあご飯作るからそのまま上がっちゃっていいよ」
「お邪魔します」
葵の家は親と葵の三人家族のため、そこまで広くない家である。
それでも、ある程度の広さはあるので、大体家でやりたいことはできてしまう。
それのせいがあるのか、彼女と二人、この広さは少し気まずさがあったりする。
「適当に漫画でも読んでていいよ」
「流石に全部任せっきりは俺の善人が許さないからなんか手伝うよ。何かすることある?」
「ん〜〜じゃあ、そこのジャガイモ茹でてるから吹き出さないかみてて」
「うい」
なんか、急に新婚になった気分。
ラブラブな新婚ってこんな感じなんだろうな。
こんな生活がずっと続けばいいのに。
しかも今日のご飯は俺の好きな食べ物ばかりだ。
「俺が好きなものばっかりだね」
「狙って作った」
こやつ……できる……!
なんかそんなくだらないことをしながら、夕ご飯を食べる。
今日のご飯はまた格別に美味しかったような気がする。
平和な日常って、とてもありがたいんだなと思った。
「あ、そういえば」
「?」
「明日って暇だったりする?」
「明日は暇してるけど」
「よかった。よかったらさ、明日お互いに予定がない日だからさ、ウィンドウショッピングとかどう?」
「お、いいね。じゃあ、明日の夕方ごろにまた家に来ればいいか?」
「ううん。明日は一日私に構うのです」
「なんだこの可愛い生き物」
「わかりましたか。はいかイエスで答えてください」
「拒否権がないだと」
「もちろん。私を甘やかさないなんて選択肢は認めません」
とにかく可愛い生き物がすぐ隣にいると思うと理性が崩れそうになるがグッと堪える。
この生き物と常にいると理性がとても危険で危ない……!
堪えろ……俺……。
「じゃ、じゃあとりあえず明日な」
「うん。おやすみ」
「おう」
そう言って自宅に帰宅する。
そのまま布団にダイブする。
「ああああああああ
自問自答が止まらないが、今付き合っている子があの子だと思える現実にニヤケが止まらない。
「とりあえずは……明日のウィンドウショッピングだな」
明日で
夏休みも残り一週間。
来年は受験戦争なので遊んでいる暇はない。
今のうちに遊んでおかなければ。
そう考えているうちに眠りについてしまった。
明日は、何も起こらないといいな。
——そんな希望は、叶わない。
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