第8話 わがままお嬢様の要求

翌日、悠斗とミカはリリィと共に冒険者ギルドへ向かった。三人がギルドに到着すると、リリィはまたもや不満そうな表情を浮かべていた。


「どうしてこんなに並ばなければならないの?」リリィは、ギルドの受付前の長い列を見て眉をひそめた。


「依頼の手続きはこうやって行うものなんだ」と悠斗が説明した。「最初に依頼を選んで、次に受付で申請する。これがギルドのルールだよ。」


「でも、私が貴族であることを忘れていない?こんな行列に並ぶ必要なんてないと思うわ。何とかならないの?」リリィは不満を露わにした。


ミカがリリィを見て苦笑しながら言った。「ここでは貴族も平民も関係ないのよ。全ての依頼は平等に処理されるわ。」


「うーん、そういうものなの?」リリィは納得できない様子で、まだ渋っていた。


「まあ、ルールがそうなってるから仕方ないね」と悠斗は諦めた様子で、並ぶことに決めた。「もし早く終わらせたいなら、ちゃんと手続きを踏まないと。」


リリィはしばらく不満そうにしていたが、最終的には三人で列に並ぶことにした。待っている間、リリィは退屈そうに周囲を見回し、たまに悠斗やミカに文句を言い続けた。


「こんな時間を無駄にするなんて…もっと効率よくできる方法があるはずよ。誰かに頼んで手続きだけ済ませてもらうとか…」


「これも冒険者としての経験の一部だよ。貴族だって、この世界のルールに従わないといけないんだ」と悠斗は冷静に応じた。


「貴族の私がわざわざこのような手間をかけるなんて、信じられないわ…」リリィはため息をつきながら言った。


ミカはその姿を見て、「まあ、貴族というのはどこか世間知らずな部分もあるのかもしれないわね。でも、一緒にやっていく以上、少しずつ慣れていかないと」と言った。


リリィはふとした瞬間、悠斗とミカの言葉に少し反省したように見えた。「…わかったわ。少しは我慢しないとね。」


やがて、列が進み、三人はついに受付に辿り着いた。リリィは少し不安そうにしながらも、依頼の手続きを進めることにした。


「ようやくここまで来たわね。これで依頼の申請ができるわけね?」リリィは受付の職員に確認した。


「はい、依頼の内容と条件を確認して、必要な情報を記入してください」と受付の職員が説明した。


悠斗とミカは、リリィが無事に手続きを終えるようサポートしながら、これからの冒険の一歩を踏み出す準備を整えていった。リリィのわがままも少しずつ理解し、受け入れることになった三人の新たな冒険が始まろうとしていた。

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