第7話 世間知らずの姫君冒険す。

「改めて自己紹介をしないとね。私の名はリリィ・フォン・エルドリア。名門の家系に生まれ、貴族の中でも一際高貴な血筋を持つ者よ。貴方たちは私の援助を受ける光栄に預かるのよ!」


悠斗とミカは驚きと困惑の表情を浮かべた。ミカは彼女の言葉を冷静に受け止めながら、悠斗の方を見た。


「知らないなぁ。知ってる、ミカ?」


「ええ、有名ね。でも地方の成金貴族って聞いてるわ。なんでこんなところにいるのかしら?」


「おい、言葉を選べよ。殺されるぞ」と悠斗は焦りながら言った。「すみません、リリィ様。こいつは冒険者で、言葉遣いや礼儀作法に関しては犬以下のものです。」


「ええぇ、大丈夫よ。あなたたちどころか、ここにいるものを人だと思っていないのよ。喋れるサルとの認識しかしていませんから、多少の無礼は許しますわ」とリリィはにっこり笑った。


「このガキ!!!いわせておけば…待て待て、私より熱くなってどうするんだ」とミカが慌てて止めに入る。


リリィは少し顔をしかめ、言葉を選ぶように口を開いた。「私がここに来るのは、家族の命令で。依頼をこなすための力を求めているのだけど、ここでのルールがまったく理解できないのよ。」


悠斗は苦笑しながら言った。「つまり、依頼の内容や手続きが分からなくて困っているってことですね?」


リリィは首をすくめながら、「そう…なんだけど、どうして私がこんなことに…」とぼやいた。


「なるほど、それで貴族の方が冒険者としての経験がないのに、どうして依頼を受けようとしたんですか?」悠斗は軽くツッコミを入れた。


リリィは少し顔を赤らめ、「それは家族が私にすべてを任せているからよ。だから、これが何かの試練だと思っているわ…」と説明した。


「ほんと、なんで私がこんなところで依頼とやらを受けなければいけないのかしら」とリリィはぼやいた。「あんたたち、お金あげるから私の代わりに依頼を受けて、私名義で達成してきなさいよ。」


「おまえもか!!」悠斗とミカは思わず声を上げた。


「何よ、いいじゃない。お金払うんだから。依頼料の倍払ってあげてもいいわよ。」


「おい、これはいい提案かもしれないぞユウト。こいつが仲介で依頼を受けたら、酒が飲み放題だ!」とミカは興奮気味に言った。


「うるさい黙れ酒癖女。あのなぁ、自分で受けないとその親とやらの試練とかも認められないんじゃないの?」悠斗は呆れた。


ミカは冷静にうなずき、「それで、どうするつもりなの?依頼を受けるのなら、協力してあげるわよ」と提案した。


リリィは驚きの表情を浮かべ、「協力してくれるの?それなら…助かるわ。私のことは任せて!でも、あなたたちだけでは不安だからもっと強そうな人を金で雇いましょう。何ならお金で依頼を達成ってことにしてもらう?」と頼もしい笑顔を見せた。


呆れた表情で「じゃあ、まずはギルドのルールを学ぶところから始めようか」と悠斗は提案し、リリィの頼みを受け入れることにした。新たな仲間が加わり、悠斗とミカはリリィとの冒険の一歩を踏み出すことになった。

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