第6話 金色の髪と高飛車な依頼
翌朝、悠斗とミカは新たな依頼を受けるために冒険者ギルドへと向かった。朝の光が差し込むギルド内は、既に多くの冒険者たちで賑わい、活気に満ちていた。悠斗は新たな冒険に胸を躍らせていたが、その横でミカは欠伸をしながら、まだ眠たそうな表情を浮かべていた。
「ミカ、ちゃんと起きてる?」悠斗が軽く突っ込みを入れる。
「んー、なんとかね。今日はどんな依頼があるのかな~」と、ミカはのんびりした調子で返す。
ギルド内の掲示板には、さまざまな依頼が所狭しと貼り出されていた。二人はそれらを一つ一つ確認し、次の冒険に向けて相談を始めた。しかし、その時、受付の方からひときわ大きな声が響いてきた。
「どうして私がこんな依頼を受けなければならないの!」耳に心地よい、だがどこか高飛車な声がギルド内に響き渡る。その声には、明らかに世間知らずな雰囲気が漂っていた。
悠斗とミカが声の方に目を向けると、受付で揉めている一人の少女が目に入った。金色の髪が陽光を浴びてきらめき、豪華な装備を身に纏ったその姿は、まるで絵画から抜け出したかのように美しかった。しかし、その美しい外見とは裏腹に、彼女は今、受付嬢に対して不満を訴えているようだった。
「申し訳ありませんが、規定によりあなたのご要望にお応えすることはできません…」と、受付嬢は困惑しながらも丁寧に対応していた。
「全く理解できないわ!こんなことが許されるなんて…!」少女は、さらに声を荒げる。
「何かトラブルみたいだな…」悠斗が小声でミカに尋ねた。
「見たところ、あの子はどこかの名家のお嬢様っぽいね。世間知らずのお嬢様がギルドに来ると、ああいうことはよくあるんだよ」とミカは苦笑しながら答えた。
その時、少女は悠斗とミカに気づき、まっすぐ二人の方へと向かってきた。彼女は、まるで自分がこの場を支配しているかのように悠斗を見下ろし、誇らしげに言い放った。
「そこの平民、あんた達を雇ってあげるわ。光栄に思いなさい!」
突然の高飛車な言葉に、悠斗とミカは顔を見合わせ、思わず戸惑った表情を浮かべた。この少女、がどんな問題を抱えているのか、そしてどんな騒動に巻き込まれるのか、二人はまだ知る由もなかった。
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