第2話 僕を取り巻く人々
ここで僕の家族を紹介しよう。
現ラドクリフ男爵で僕の大好きな父様は、レイナード・ラドクリフというんだよ。
四十を過ぎたころから渋さが加わって、男振りが上がっている。
メッチャ優しくて力持ち、武人としての父様は頼りがいがあるんだ!
だけど事務仕事はちょっと苦手みたい?
そして僕にはふたりの兄様がいる。
長兄は次期当主のレン兄で、これまた父様似の男前だ。
今はカミーユ村新屋敷で、仕事の引き継ぎをおこなっているところ。
現在ローテ男爵のご息女ソレイユ様と婚約中で、今秋か来春には結婚し、落ち着いたら代替わりをすると父様が言っていたよ。
次兄のリオル兄はキラッキラの王子様みたいな外見だけど、性格はちょっと……ねぇ。
僕に対してはツンツンツンデレくらいの比率で、ちょっとだけ優しい。
ちょびっと!
今は父様の補佐をして、いずれはルーク村の代官を務めるそうだ。
もうちょっと性格が良くなれば、かわいいお嫁さんが見つかるかもね!
母様は僕が小さいころに亡くなっていて、代わりに育ててくれたのが母様の侍女だったマーサだよ。
ちょっぴりぽっちゃりさんだけど、温かくて大好き!
マーサはいつまでも僕を子ども扱いして、かわいい服を着せようとするんだよね。
素直な僕は用意されるままに、レースヒラヒラのブラウスを着るよ。
マーサには逆らっちゃ駄目絶対!
あの腹黒メエメエさんですら、マーサには逆らわないからね!
このマーサとバートンが、僕と精霊さんたちの面倒を見てくれるんだ。
もうひとり主要人物を忘れちゃいけないね。
母方のおじい様で前ラグナード辺境伯のジル様は、現在僕の植物園に住み着いているんだよね。
ジルじいさまだから、僕はジジ様と呼んでいるの。
ジジ様は孫の中でも僕が一番大好き!
七十を過ぎてもまったく衰えを見せず、筋肉隆々で若々しいよ。
王国でも名の知れた武人で、代替わりしてからしばらく経つのに、いまだに北の剛勇と恐れられているんだ。
無敵で楽しいことが大好きなんだよ。
その従者のカルロさんは物静かな人だけど、ジジ様に引けは取らない剣の腕を持っているそうだ。
いつも無言でジッと見つめてくるから、最初は怖いおじさんだと思っていたけれど、つき合いが長くなるほどに、ちょっとした口の上がり方や、目の動きで表情がわかるようになってきた。
僕の観察眼も鍛えらているね!
役に立つのか疑問だけどさ。
ほかの家人も紹介しよう。
我が家に仕える従士は、現在九人。
従士長のヒューゴに副従士長のケビン、イザークとルイスとキースはルーク村勤務となっている。
新設されたカミーユ村屋敷には、従士長テオとその弟ライリー、もうすぐ双子のユノとノアが配属される。
いずれはカミーユ村屋敷が正式な当主屋敷になるので、今後新たな使用人が増えていくことだろう。
レン兄を中心に新しいラドクリフ家の時代が始まるんだ。
一方、領主家としての役目を終えるルーク村屋敷には、馬屋番のトムと、その配下のビリー・ノエル・エリックの孤児院出身三人組がいるよ。
ビリーたちは準従士ではあるけれど、屋敷の警備と内向きの雑用がメインの仕事になっている。
さらに腕利きの料理長ジェフと、現執事のビクターとその妻、侍女のリリーが住んでいる。
ちなみにビクターとリリーの子ミケーレは、レン兄の執事に従事している。
ざっとこんなものかな?
そのほかの人たちは、追々紹介していくね!
そして忘れちゃいけない、僕の仲間の精霊さん!
グリちゃんたち七人のほかにも、まだまだ仲間がいるんだよ。
僕のスキル植物園を維持する時空精霊は、シマエナガのトキちゃん(仮名)。
植物園の管理人は、腹黒闇精霊の黒羊メエメエさん。
植物園であらゆる新製品を開発するのは、研究員で無属精霊の兎ラビラビさん。
植物園でお酒を作り出す、まんまお酒精霊のレッサーパンダはルルフルさん。
植物園のスキル倉庫の管理人は、いまだ謎に包まれた陰キャ精霊ソウコちゃん(仮名)。
この五匹が特別な精霊獣になるみたい?
僕も詳しくは知らないよ。
自分のスキルなのにね!
植物園から派生したのが、離れの門番兼僕の守護獣。
黒猫のクロちゃんは、巨大なクロヒョウに
白猫のシロちゃんは、巨大なユキヒョウに変化し、僕の騎獣を務めてくれるよ。
この二匹は属性を教えてくれない。
「秘密ニャ!」
「内緒ニャ!」
いつも素っ気なくかわされるんだ。
ほかに雪猫という種族の、縞模様のない子虎ニイニイちゃんは雷属性だ。
エゾモモンガの姿をした氷精霊のモモちゃんは、クーさんのペット扱いだね。
ニイニイちゃんは毛玉に変化して、僕のポケットに入っていることが多い。
モモちゃんも反対のポケットに潜り込んでくるよね。
二匹とも狭いところが好きなのかな?
そして星の数ほども存在する、中級精霊のミディちゃんたち。
彼らはいくつもの部隊に編成され、いつでどこでも僕を助けてくれるんだ。
中級精霊さんたちは体長三十センテで、グリちゃんたち上級精霊よりひと回り小さい。
ほかにルーク村周辺で暮らす、自然界で生まれた下級精霊たちは、実体を取れないものが多いそうだけど、彼らもまた僕らの仲間に違いない。
すべての属性精霊さんたちがラドクリフ領全域に生息し、領の発展と安全な運営に寄与してくれている。
心から感謝しなくっちゃね!
そんな精霊さんたちの命の拠り所になっているのが、僕の異空間植物園なのだ。
僕のユニークスキルであるこの植物園は、黙っていればドンドン広がり続けるんだよね。
もとはガーデンニングをするための土地だったはずなのに、今では異世界と呼べるほどの空間になってしまっている。
原因は僕の魔力量にあるんだけど、あまり広がるのもどうかと思うよね。
この植物園内には、みんなが大好き温泉施設&お食事処&遊技場のほかに、さまざまな商品を販売する工房街や、大き過ぎる湖やサイクリングコースなどもある。
まぁ、それは登場するときに説明するね!
さらに、僕が植物創造スキルで作り出した新種植物と新精霊獣たちが存在するけど、それもまた今度にするね。
ここまでで、結構長くなったでしょう?
気になる人は、長いお話だけど本編を読んでみてね!
もうひとつ、僕の秘密を教えちゃう。
実は僕には前世の記憶がちょっとある。
かなり偏ってるけど。
いつどこで、どんな風に生きて死んだのか、前世の名前さえ思い出せないけれど、大好きなガーデニングの知識だけは残っていて、ときどき変なことを唐突に思い出したりするんだよ。
僕の前世の記憶を読み取って、いろいろ開発を進めているラビラビさんが言っていた。
「個の記憶は転生に必要無かったのでしょう。しかしながら、前世で見聞きした知識が残されたお陰で、ハク様の知識を辿ってお味噌とお醤油を作り出すことができました!」
白衣を着た白兎のラビラビさんは、そうやって自転車やゴムや、さまざまなものを作ってくれたんだ。
「ハク様の記憶を読み解いて、自転車を独自開発した私は天才です!」
調子に乗ってピョンピョコ飛び跳ねているよ。
謙遜を覚えないのは、僕の精霊獣の仕様らしい。
ラビラビさんはときどき不気味に「ケケケ」と笑う、ワーカーホリックな兎さんだ。
メエメエさんとかラビラビさんとか、実は僕の精霊獣は変なのが多い。
人型のグリちゃんたちやミディちゃんたちは素直でかわいいのに、この差はなんだろう?
「個性は大事です!」
「メエメエさんと一緒にしないでください!」
僕を押し退けて前に出ないでよッ!
ちょっとは遠慮を覚えてよ!
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