第5話 人助け
ダンジョンボスを倒して奥に進むと、ダンジョンコアと、宝箱があった。ダンジョンコアは、ダンジョンを維持するために必要な物なので、これを壊してしまうとダンジョンが崩壊してしまう。
ダンジョンは大切な資源なので、スタンピードが起こらない、ダンジョンが生まれて1年の間は、ダンジョンを攻略することを協会が禁じている。
「宝箱なんて、久しぶりに見たな」
宝箱は、中に魔道具が入っている。ダンジョンボスを倒すと低確率で現れる。俺は、宝箱に近づき、宝箱を開ける。
「これは…マジックバッグか」
マジックバッグは、ほぼ無限に物が入るバッグのことだ。マジックバッグは、過去に4回しか発見されたことがなく、非常にレアな魔道具だ。
俺は早速、ドラゴンの死体をマジックバッグに入れた。ドラゴンの鱗などは、加工して武器にしたりと使い道があるので、高く売れる。
「おー、あんなにデカかったのに、すっぽり入ったよ」
時間を確認したら、19時だったので急いで帰ることにした。来た道をそのまま戻っていた時。急激に魔力が溜まっていくのを感じた。
「なんだこれ?ここは俺以外いないはずだし、魔物か?」
不思議に思った俺は、魔力が溜まっていく場所に向った。
「ここは…モンスターハウスか。ここの中から魔力が増えていくのを感じる」
モンスターハウスに入ろうとした時、中から人の声が聞こえた。
「……し……たく……いっ」
ここからは、うまく聞き取れなかったが、人がいるのは間違いないだろう。俺は急いでモンスターハウスに入った。
そこには、少女がペタッと座り込んで、嗚咽をあげながら震えていた。そして、少女の前にはコブリンロードと呼ばれる、ゴブリンの最上位種と、それを囲むように100匹以上のゴブリンがいた。ゴブリンロードは、少女に巨大なナタを振り下ろそうとしていた。
俺は身体強化を使い、少女とゴブリンロードの間に割り込み、ゴブリンロードが振り下ろしてきたナタを木刀で受け止め、ゴブリンロードを蹴り飛ばした。そして、少女と目線を合わせるようにしゃがみ込んだ。少女は、恐怖で目をつぶっていた。
「大丈夫?」
声を掛けたら、少女はゆっくりと目を開けた。
「え…、あ、あなたは……」
「俺?俺は、花川恵。とりあえず、怪我はなさそうだね」
ここで、俺は気づいた。今、フードを被ってないので、黒歴史が他人に見られてることに。ま、まぁ、いつまでも隠し続けるわけにはいかないし、人命もかかっていたし、仕方ない。俺は開き直った。
「じゃあ、あいつら倒すから、少し待っててね」
「た、倒すって、む、無理ですよ!相手はコブリンロードですよ!そ、それにゴブリンの数だって尋常じゃない!A級の私だって無理ですよ!」
コブリンロードの強さは、従えるゴブリンの数に比例する。ここにいる、コブリンの数は100匹以上いることから、ギリギリS級に分類されるだろう。
それに、普通のコブリンもC級に分類されるので、ここにいる魔物をA級の探索者が相手するのは、だいぶ荷が重いだろう。
「大丈夫大丈夫、これでも、S級だから」
「はっ、え、S級!?」
俺は立ち上がり、氷魔法を使い、少女以外の全てを凍らそうとする。ゴブリンロード以外は凍らせる事が出来たが、ゴブリンロードはなんとか耐えていた。
「まぁ、一応S級だしな」
地面も凍らせたので、機動力を失ったゴブリンロードの懐に潜り込み、ゴブリンロードの首を落とす。
「ドラゴンと比べると、弱かったな」
俺は、口をパクパクと動かしている少女に近づいて行った。
「ほら、大丈夫だったろ。そういえば、なんでこんなとこにいたの?」
「あっ!え、えっと、転移トラップに引っかかって、気づいたらここに」
「珍しいね転移トラップなんて。とりあえず、地上まで送るよ。あっ、そういえば、名前は?」
「わ、私は、葵です。そ、その、お願いします…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます