告げた答えは


 夕方。

 彼の家に行き、ルーカスを呼んだ。人目のないところで、話をするために向き直る。

 まっすぐ彼を見つめ──答えを告げた。


「ごめん。やっぱり、俺は行けないよ」


「……そうか。いや、いいんだ、そうだと思っていた」


 諦念を滲ませて彼が笑う。どこか吹っ切れたような表情で、爽やかさすら感じさせた。それが逆に申し訳なくて、また「ごめん」と謝罪を口にした。

 びし、と額を軽い力で弾かれた。


「いいって言ってるだろ。今生の別れでもない、またすぐに会いに来る」


「……そっか。嬉しいよ」


 胸が温かくなる。「だけど、理由を聞いてもいいか」ルーカスに問われ──言葉に詰まった。


「……恩返しがまだっていうのもある、けど」


 ええと、と言葉を探しながら。気恥しさがどうしても拭えぬままに、訥々と言葉を重ねた。視線を伏せる。もう、ありのままに言うしかないのだ。


「その、ハイトさんと付き合うことになって……」


「は?」


 低い声。……あれ、なんかこの展開見たことがあるような。

 恐る恐る顔を上げる。目が据わった幼馴染は、剣の柄に手をかけて、嫌に綺麗な笑みを口もとに浮かべた。


「待ってろ。すぐにあの男をシメてくる」


「まってまってまってまって!!!」



 それから。


 ルーカスをなんとか諌め、物騒な考えを阻止し──渋々といった様子で彼は交際を認め……まではせずとも、一旦受け入れてはくれたようだった。

 ジェイバーくんにも伝えれば、ほんの少し呆気には取られたものの。おめでとうございます、とはにかんで祝ってくれた。優しい子だ。


「だけど、もし僕が今よりもっと立派になったら──伝えたいことがあるので、待っててください!」


 そう言って微笑み。何を伝えてくれるのかはわからないが、楽しみにそのときを待つことにする。

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