第12話 相違点
「さぁ~て……こっからなら私達バレないんだよね?」
「そうだと思うけどさ……あんた正気なの?」
こそこそと近くの茂みに隠れながら職員室の様子を監視。
学生が登校してくるにはまだ相当時間がある。
原作通りなら登校とほぼ同時に事件が起こるはず。
そしてその対象は、ハレルヤ先生だということ。
原作では、学園に侵入してきた魔物が生徒を襲おうとした際に身を挺して犠牲になってしまうが、ホシキリの【時空救済】で助けるイベントが存在する。
序盤の鬼門として有名だったのもあってホシキリとともに警戒し続けてきたのだが、当日になるとどうしても緊張が収まらない。
ホシキリちゃん、お兄ちゃんの様子を見てもらいに行ったけどイチャイチャして遅れたりしないよね……。
なんて、邪なことを考えるのはやめよう。
そしてここにエレーナが必要な理由もある。原作では、彼女は一度も改変に巻き込まれたことがないからだ。
もっというと、私達に従ってくれる友達は……エレーナ以外には誰もいない。
あと10分もすればハレルヤ先生が学園に到着するはず。
しかし、どれだけ待ってもハレルヤ先生どころか他の教師さえも一向に現れない。
「……なんか、様子がおかしいわね。今日授業とかなかったりするのかしら。もう帰って遊びましょ! 残念だったわね、メア」
「エレーナ。私から離れないで」
嫌な予感がする。もしかしたら私達がここで待機している間に何かあったのかもしれない。
下手に単独行動なんかしたら、どっちかがやられてしまう可能性がある。
安全にホシキリ達と合流できる方法を見つけないと――
「――ヒッ」
背後からエレーナの小さな驚き声が聞こえ、慌てて後ろに振り向いた。
「メアじゃないか。こんなところで何してたんだ?」
「お、おにい……エーデさん!? どうしてホシキリちゃんと会わなかったの!?」
どうしてはこっちの台詞だ。なんでここに……エーデが立っている?
まさかの事態で私達が呆気に取られていると、慌てた様子で遠くからホシキリがこっちに向かって走ってくるのが見えた。
「ホシキリちゃん! 何があったの!」
「メア……違うの。実は……
……何も?
いや、そんなはずがない。だって私はこれから起きるイベントを原作を通じて知っているのだ。
だったら……私の記憶は何なんだ。
メア・アレストロとして生きてきたことが真実で、この世界に転生したという記憶は
ねえ……教えてよ。
「メア。お前たちは何も心配しなくていい。
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