第11話 1週間後……
この世界に転生してから1週間が過ぎた。
最初は慣れなかったこともホシキリやエレーナとともに体験していくことで意外とすぐに何とかなった。
さて、そろそろ事件が起きる頃合いだ。
私がたどり着いた答えはただ一つ。
――メアがこの世界に現れたように、原作に存在しない人物が生まれていて、その人がこの世界の黒幕である。
確証はないが身内や私が知っている人物の中に怪しい人物なんかはいない。
入学初日に遭遇した老婆の正体も、一般生徒である私達には伝えられなかったが、彼女が黒幕である可能性も限りなく薄いだろう。
しばらく調査をしてみたところ彼女もまた、原作に登場する人物だということが分かったのだ。
彼女の名はビルギットといい、グランレイセ家と裏の交流があった悪役の一人だった。
しかしそれでもシノア以上の悪役にはなれず物語の中盤でただの魔物によって殺されてしまう。
なぜ学園にいたかは分からないが、きっとシノアの差し向けた者として紛れ込んでしまったのだろう(元から優秀な感じではなかったし)。
「おーいメア! こっちだよ!」
などと頭の中を整理していると、唐突に可愛らしい女の子の声で私は意識を取り戻した。
「あ、ごめん。ちょっと考え事してた。今日はエレーナだけ?」
「そっちこそ。ホシキリはいないんだね。で、朝から呼び出して何事?」
珍しく早朝に会う約束してもらったエレーナは時刻通りに広場の中心に立っている。
ホシキリには別の役割があるから別れてもらったけど、これはかなりリスキーな行動かもしれない。
これから起きるであろう事件に向けて対策を練ってきたわけだが、正直自信はない。……最悪の場合死者が出るだろう。
「散歩がてら私の計画を聞いてもらいたくてね。それも朝じゃないとちょっと都合が悪いんだ」
「ふーん計画ね。もし変な計画だったりしたら断らせてもらうわよ。拒否権はあるんだから」
そう言うと私達は学園に向かいながら計画の内容について話し合い始めた。
「それで、計画ってのはなんなの。ホシキリがいないのは……」
「エレーナじゃないとダメなんだよ。でさ、どうすれば職員室を安全に監視出来ないか一緒に考えてほしいんだけど」
「はあ!? む、無理に決まってるでしょ……あんた好きな先生でもいるの? そうじゃないとやばいって……」
正論中の正論なのだが、本当の目的を説明するわけにはいかないのだから返答に困る。
なので、普通に本音を隠さず話してみようと思う。
「ハレルヤ先生が気になるんだよね、特に朝方の」
「うぇ……ッ! あんた中々言ってることやばいわよ」
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