3
ステージは暗いまま、何かを切る音が何度も響く。
「はあぁぁぁっ!」
ミサキがさけび、ステージが明るくなると同時に、真っ二つになったドロヴンの映像が流れる。
ステージの中心に立ったミサキは、はぁはぁと苦しそうに息をしていた。
ミサキ「散らばったドロヴンは、みんなで対応できますわね」
ミサキがひとりごとを言っているとき、背景に大きくコールガが映し出される。
ミサキ「さあ、あなたの相手はわたくしですわよ」
コールガを指さすミサキ。
コールガがうなり声を上げたのをきっかけに、ステージの上手と下手に、大きな触手のシルエットが投影された。
ミサキ「触手の数は8本。 でも、触手の行き先に仲間のラーンがいると、触手の動きは止まる」
ミサキは、自分に向かってくる触手を避けながら走る。
そのあと上手の位置でふり返り、シラミネをスイングして残りの触手を弾いた。
アコヤ「すごい!」
マドノ「コールガの触手を弾くなんて⋯⋯」
ステージの2階に移動して、ミサキを見守るアコヤちゃんたち。
ももえ「スピードを活かし、フィールドをタテに広く使うスタイル。 やっぱり、ミサキくんはうしろよりセンターに向いているわ」
アケミ「しかも、敵を分析して、ラーンは自分の攻撃に味方を巻き込まないという特徴に気づいた」
ももえ教官とアケミ教官は、背景にベゼルを向けながら話している。
ミサキ「みんなはポジショニングと射線に注意してくださいませ!」
自分を取り囲もうとした触手を撃ちながら、ミサキはみんなに呼びかけた。
アコヤちゃんたちは、それぞれ階段やステージ2階の上手と下手に移動する。
同時に、シラミネを構えるミサキに青い光のエフェクトが重なった。
「なんだか、今日のわたくしは調子がいいんです」
いきなりステージが真っ暗になって、ステージの中心にいるミサキの――ミサキが持つシラミネのコアだけが、青く光る。
ミサキ「いま出せるスピードで、コールガを釘付けにしますわ!」
音に合わせて動くシラミネのコア。
その光が消えたかと思えば、ちがう人が持つベゼルのコアが光って動き出す。
光が動いては消えて、また別の所でコアが光るを繰り返して、ステージがまた明るくなったころ、ステージの全体に映し出されていた触手がバラバラになる。
この演出で、ミサキが目にも止まらぬ速さで動き回っていたことを表現してるんだ。
アコヤ「なんか、ミサキがとんでもないスピードで走ってたよ!?」
マドノ「ミサキくん、アビリティを覚えたの?」
コウタ「あれはアビリティじゃないよ。 ミサキは、スピードアップのスキルを最大レベルに強化してあるんだ」
コウタが言ったスキルというのは、ベゼルにインストールできる機能のこと。
コーストガードの隊員は、インストールしたスキルと自分のアビリティを組み合わせて、ラーンと戦っている。
アコヤ「ミサキ、足は速かったもんね」
ミサキは、防御に特化したシラミネに、スピードアップのスキルをインストールしていた。
マドノ「ミサキくんがコールガをうまく引きつけてるから、こっちは自由に動ける!」
コウタ「このままドロヴンの数を減らそう」
アコヤちゃんたちが行動しようとした直後、大きな爆発音がした。
ミサキ「みんな、そこから離れて!」
大声で呼びかけながら、ミサキは上手側の舞台袖に走っていった。
アコヤちゃんたちもミサキの指示に従って、下手側に走り出す。
最後に、巨大化したコールガと触手がステージ全体に映し出され、やがてひとつの塊になっていくところでステージが暗くなったんだ。
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