「大海の悪夢 ロギスタ」
客船の周りを巨大な魔物が回っている。三皇魔の一角で攻撃するタイミングを見計らっているように見える。
「ロギスタだと!」
「そんな何百年も深海で眠っていたはずだ!」
ロギスタのことを知った乗客達がパニックに陥った。アーケオが緊張感を胸に抱いた。
突然、ロギスタが何かを勢いよく噴き出した。いくつもの黒い塊が空中高くに打ち上げられた。よく見るとそれは小さい魔物だ。魔物は徐々に大きくなり、僕と同じくらいの大きさになった。
「キエエエエエエエエエエエエ!」
船のデッキに乗り込んできた魔物達が奇声を上げながら、アーケオに襲いかかって来た。
「させない!」
マシュロが目で追うよりも早い動きで魔物を切り刻んだ。
「きゃああああ!」
「助けて!」
辺りから乗客達の悲鳴と走り回る足音が聞こえる。
「マシュロさん!」
「お任せください!」
マシュロが船客に襲いかかろうとする魔物達を討伐し始めた。
「ここは私がなんとかしますから皆さんは避難してください!」
ナイフで器用に切り裂いて、避難を促していく。その近くでアーケオも魔物達を蹴散らしながら、進んでいく。かつては一体倒すのでやっとだった魔物を複数相手取って、討伐する実力を手に入れたのだ。
「腕が上がりましたね」
「ここ数ヶ月で色々あったからね。キリがないね。ロギスタを倒さないとこれは終わらない」
そうこうしていると再び、ロギスタが潮を吹いた。小さな魔物が空中に飛ばされて、ゆっくりと船に乗り込んできた。ロギスタに目を向けると終始、アーケオのことを見ている。
「もしかしたら」
アーケオの脳裏にとある考えが浮かんだ。襲いかかる魔物を何度も切っていき、自分の持論を立証すべく、アーケオは手すりの方に向かった。
するとロギスタもゆっくりと距離を詰めてきた。アーケオの予想は当たった。
「やっぱり狙いは僕だ。マシュロさん。船内は任せました!」
「アーケオ様!」
アーケオは剣を持って、海に向かって飛んだ。すると待っていたと言わんばかりにロギスタが距離を詰めてきた。水中に入った途端、巨大な姿が力強く尾びれを動かして、迫ってきた。
アーケオは剣を構えた。その時、ロギスタが水中の中で体内から魔物を出してきたのだ。今度はサメのような魔物が五匹ほどアーケオに向かってきた。
いくつも生えた鋭い歯がアーケオを捕らえようと上下する。海の中は陸地とは違って、動きにくい。完全に相手のフィールドだ。
そうなると相手の特徴をよく観察し、戦う方が良い。
「エラがある。鋭い歯。鼻先が欲しい」
アーケオは相手を観察しているとそのうちの一体が遅いかか的た。アーケオはその一体のエラ部分に剣を差し込んだ。魔物がしばらく痙攣して、動かなくなった。
仇討ちと言わんばかりにもう一体が来たので、鼻先に剣を突き刺した。途端に魔物の動きが不安定になった。おそらく大事な器官に支障をきたしたのだろう。その隙を狙って、真っ二つに切った。
残り三体が我先にと襲いかかろうとして来たが、すぐに水中で横になった。
「大丈夫ですか!」
アーケオが三体の頭にナイフを投げつけたからだ。
「大丈夫だよ! それよりロギスタは?」
水性魔物の長を見失った。
「一体どこに行った」
水中に顔をつけた瞬間、巨大な尾びれがこちらに迫っているのが見えた。
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