第4話 フリルにレースな転校生!
次の日の朝。
学校へ行くと、転校生が来るという噂でクラスは大盛りあがり。
みんなで『ようこそ! 五年三組へ!!』と黒板に書いた。
みんなどんな子なんだろう、男? 女? といろいろ予想を言っている。
そして先生が入ってきて、一気にみんな騒ぎ出す。
廊下で転校生が待っている気配がする!
茉莉もドキドキだ。
「おはようございますー! はい、静かにね」
「転校生!」「転校生万歳!」「先生はやくー!!」
「こらこらぁ騒がない! 緊張しちゃうでしょ! 静かにー!!」
五年三組は結構さわがしくて、にぎやかだ。
「どうぞー! 入って~~!」
「はい」
転校生が一歩教室へ入ってきた。
茉莉はまた、ぐんにゃりとした変な感じがした。
そして一瞬、転校生が真っ黒な霧で見えなかった。
「えっ?」
「なにあれ」
「うっそー」
教室がざわざわ。
でも、みんな霧が見えたわけじゃないようだ。
茉莉も目をパチパチすると、すぐ霧は消えた。
「あの子……」
姿が見えて茉莉も驚く。
顔は凛々しい男の子だ。
背が高くて、体つきもガッチリしてる。
でもその服装が!
フリルのついた白いシャツに、ピンク色のリボンのネクタイ。
サスペンダーにピンクのズボン。
ズボンの裾にレースが付いていた。
そして、艶のある綺麗な黒い長い髪はピンクのリボンでちょうちょ結びをしている。
こんな格好をしてる人は初めて見た!
みんながポカーンとしている。
そして、くすくすと笑い始める男子も出てきた。
『なにあの服』と笑ってる。
茉莉の心もなんだかグサグサ、傷ついた。
「はい、みんな静かに! 御挨拶して」
「はい。
紡は格好は奇抜だが、瞳は金色のような不思議な色。
顔はアイドルみたいに整っている。
そんな紡がこれまた大人っぽいかっこいいイケボで挨拶したので、女子が全員叫びそうになった。
茉莉は、大好きな漫画に出てくる王子様みたいだ……と思った。
「闇土門さんは、長く海外にいたこともあり小学校でわからないこともあるかと思います。みんなで協力してサポートしてあげましょうね。じゃあ、茉莉さんの隣に座って」
「えっ」
気づけば、隣の席が空いている。
空いてたっけ? と思う。
なんだか昨日から色々とおかしい。
なのに、みんなが気付かない……?
ざわざわしている教室を紡は真っ白なランドセルを持って、隣の席に座った。
ランドセルカバーは薄いパールピンクでレースが付いている。
すごく可愛い! ……茉莉は思う。
だけど、やっぱりそれをコソコソと笑う人達がいた。
それが耳に入ると、茉莉もどうしようもなく恥ずかしくなる。
自分の事を言われたわけでもないのに、自分が笑われているみたいだ。
でも紡は、何も感じていないように整理整頓を始めてる。
そして来週に転校生歓迎のお楽しみ会をやる事が決まって、授業が始まった。
茉莉はこっそり、机の上の紡の筆箱を見る。
それはレースのついた細身の可愛い布製だ。
可愛い……!!
何から何まで可愛い……!!
この子……すごい! と茉莉は思う。
でも、きっと嫌な事を言われて傷ついてしまうんじゃないか? と心配になった。
その時は、茉莉が絶対に助けようと決めた。
こんなに可愛いものが好きなんだから、言い返したりできない子なんじゃないかな。
茉莉はそう思ったのだ。
そして休み時間。
普段なら、みんなすぐに転校生のもとに集まってワイワイするのにみんな少し遠目で見てる。
やっぱり格好が変わってるから?
茉莉が自分から話しかけようとしたその時だ。
「なぁー! お前って男なのに!? なんでそんなリボンつけてんだよ~~!」
クラスで人をからかうのが好きな男子が教室の端っこから、大声で言った。
そして、その言葉を一緒に笑う人も数人。
茉莉の心は一気に燃え上がる。
た、助けてあげなきゃ……!!
そう思った時。
「俺は自分の好きな格好をしているだけど、何か悪いかい?」
紡の口からは、か弱い男の子、というよりは真逆の言葉が飛び出した。
教室がシーンとなって、笑った男子が言い返されてポカンとする。
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