第22話

 蓮斗へ

 まず、私の彼氏としてずっと側で支えてくれて、ありがとう。癌が発覚し、蓮斗がアメリカに経った頃、私はもう幸せを諦めていました。蓮斗に癌のことを話すことも考えたけれど、もしまた蓮斗に会ったら、死ぬのが怖くなりそうで言えなかった。

 突然帰ってきた時はどうしようかと思った。だけど、幸せにするって、一緒に生きようって言ってくれて嬉しかったよ。短い命だと思うけど、きっと誰よりも幸せだった。ほんとに沢山迷惑を掛けたし、沢山尽くしてくれたと思う。だけど、最後に一つだけお願い聞いて下さい。パソコンに「たった100ページの人生だけど」という題名のファイルがあると思います。私が蓮斗と共にした四年間を小説にしてみました。実は私、小説を出版するのが夢だったんだ。だけど、その小説は未完成です。一番最後のセリフ文がどうしても書けなかった。そこに、蓮斗の言葉を入れて完成させて欲しいです。最後までわがままでごめんね。人生最後の一行は蓮斗の言葉が良かったの。

 最後に、蓮斗はこれからも元気に幸せに、自分の人生を大事にして下さい。素敵なロボットを作るのを私もずっと楽しみにしています。きっと夢叶えてね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る