第9話 ロバと暴れるスレ民
異世界・南コムニシュート大陸
ホリバール帝国・帝都キャレイカス市
ミラシェスタ宮殿・地下
フードを被った人物は宮殿の地下に広がる巨大な空間に入った。
その巨大な空間の真ん中に光の柱があった。
フードを被った人物はその光の柱の前でひざまずいた。
「わが主、帝国の重装備ケンタウロス騎士団が異世界の侵入者と交戦中である。」
「頭を上げ、そして面を見せよ、ウイゴス・チェイバス皇帝よ。」
光の柱から威厳と威嚇を含む大きな声がひざまずいている人物に命じた。
「はい、わが主。」
人物はフードを下げた。醜い豚のようなオークの顔だった。
「正体を見せよ。」
オークの頭だけが地面に落ちた。その頭から触手が生えて、目と口のところが空洞になっているのっぺりした顔になった。
「マーテゥロスをすぐに帝都に戻せ、ペエドロ・カーズテジョ・テローナスを含む無能どもを餌と実力はかり道具の役割で十分。」
「仰せの通り、わが主。」
「異世界人はやはり9人だったのだろう。」
「はい、わが主の予言した通り。」
「この大陸から絶対に出すな。」
「はい、わが主。」
「あの異世界人どもは予言の転生者であるはずだ。間違いなく誘導し、神の砦に向かわせろ。それまで我が休む。必ずやり遂げろ、わが分身よ。」
「お任せくださいませ、わが主、魔王タローウン陛下。」
光の柱が消えた後、のっぺり頭が体の元の位置に戻り、オークの体を連れて、巨大な地下空間から出て行った。
異世界・南コムニシュート大陸
クーバーン大平野(ホリバール帝国・帝都から1500キロメートル離れた距離)
日時不明
第三副団長、ペエドロ・カーズテジョ・テローナスは笑っていた。
魔王が作った粘土(クレイ)頭(ヘッド)である自分が戦う必要なかった。本体は頭のみであり、ケンタウロスの人体を乗っ取ていた。元々のケンタウロスの名前など知らなかったが、強靭な肉体を誇っていたので犠牲になった。
名前も適当に魔王陛下に付けてもらった。
「異世界の化け物どもよ、わが精鋭部隊の恐ろしさに恐怖するがいい!!」
彼の配下であった200体のケンタウロス団員が白いゴーレムと紫色のスライムに襲い掛かった。ここの団員たちはペエドロ・カーズテジョ・テローナスが作った粘土(クレイ)頭(ヘッド)戦士だった。
ペエドロ・カーズテジョ・テローナスは自分たちが勝つのを信じて疑ってなかった。これであのオークの振りをしているライバルより自分が上であることを魔王陛下に示せると思っていた。
「【紅の鉛筆】の騎士たちよ、異世界人を殺せ!!」
赤い鎧を着たケンタウロス団員が雪崩のように二人の異世界人を囲んだ。
「後ろに隠れて、偉そうに命令しやがって、ボケが!!」
ダビンチ❤️は珍しく切れた。
「ダビンチさん、こいつらは他のケンタウロスとは違うぞ。」
「確かに!!他に比べると動きが速いだが、機械的でもあるな。」
「取り合えず1騎溶かしてみるよ。」
ラムは1騎を捕まえた。
今まで捕食したケンタウロスとは違い、筋肉が固く、肉体が死んでいるようだったものの、恐ろしいぐらい動きが速かった。
ダビンチ❤️は目の前の1騎の頭を両側から棍棒で叩いた。
固まった土や粘土のようにケンタウロスの頭が崩れた。その後体が動かなくなり、地面に崩れ落ちた。
「こいつらの頭は偽物だ、ラムさん。」
ラムは捕まっていた1体を溶かし始めた、スライムの体で頭を覆った。
その頭が粘土のようだった。そして悪食いで大食いであったラムが珍しく不味いと思うものだった。
「こいつら一体?」
ラムが呟いた。
「わが【紅の鉛筆】の精鋭は他と違うぞ!!貴様らはわが配下の手によって部隊で滅ぼされるぞ。」
ペエドロ・カーズテジョ・テローナスはバカみたいに大笑いしていた。
「何がおかしい?この野郎。」
悪態をついた後、ラムは体の拡大能力を使い、一気に20体以上を飲み込んだ。
「無駄、無駄だ。お前らはここで死ぬんだ!!ははは。」
ロバに見える角の兜をしていたペエドロは更に大笑いし出した。
「おい、ロバ耳野郎、何を勘違いしている?」
ペエドロはダビンチのいるところに目をやった。
「何か言ったか?異世界人よ。」
ダビンチが高速移動を始めた、そして赤い鎧の団員たちの頭だけを潰し始めた。
「俺らを舐めすぎだ、このロバ!!」
ペエドロは今度ラムに目をやった。
スライムは一気に30体ほどを溶かし始めた。
「止めろ、貴様!!」
「てめえ、こっちを見ろ!!」
ペエドロは後ろへ振り向いた。
ダビンチのこん棒がペエドロの顔へ直撃した。
後ろへ飛ばされたケンタウロスが数メートルを飛んだ後、地面に倒れた。
兜の右の角が折れた。
ペエドロの粘土の顔はへこんだが、また元通りに戻った。
「貴様ら、もう殺す!!」
「それはこっちの台詞!!」
ラムとダビンチは同時に返事した。
ペエドロの作り物の顔は青ざめた、気づいたら200体あった団員は半分ぐらいまで減っていた。
「貴様ら、許さん!!」
ペエドロは右腕に腕輪をしていた。その腕輪を触った。
残った団員は約6メートルの長槍を具現化させた後、16列×16列を形成し、ペエドロと異世界人の間に並んだ。
「わが配下の最強形態、ファランクスを見ろ、そして恐怖をするがいい!!」
「ラムさん、やはりこいつはバカだわ。」
「その通り、ダビンチさん、こいつはしょうもないバカだ。」
「我を愚弄するな!!我はペエドロ・カーズテジョ・テローナスだ!!貴様らを殺す者だ!!」
2人のスレ民は笑い出した。
「では一気に片づけますか?」
「ぜひ、同時で行きましょう、ラムさん。」
スライムは大型化し、ファランクスの半分以上を飲み込んだ。
ゴーレムは土に手を置き、土属性の魔法を発動させた。
土で出来た複数の刃が一気に飛び、団員の頭を貫いた。
スライムが体の一部を伸ばし、ペエドロが反応する前に右腕を落とした。
ゴーレムはまた土の魔法を発動させた、地面に落ちた腕と腕輪が切り刻まれ、
金属屑や血肉と化した。
「貴様ら!!!」
残った50体の赤い鎧の団員の目から生気が消えて、動かなくなった。
「やはりあの腕輪はコントローラーだったな、ダビンチさん。」
「はい、ラムさんの鋭い洞察力に脱帽です。」
先ほどラムさんがプレイヤー同士が使えるメッセージ機能はこの世界でも使えることに気づき、ダビンチにテキストメールを送った。ペエドロの大袈裟な芝居かかった声と動きは腕輪を触ることから気をそらすための行動だった。
ペエドロ・カーズテジョ・テローナスは恐怖した。
「な、話そうじゃないか。我はやりすぎた。」
「小者め。溶かす価値もないな。」
「叩き潰す価値もないな。」
「我は捕虜となろうぞ、帝国の情報を渡そうではないか。」
「ならば答えてもらおう、何故我々は異世界から来たのは知っていた?」
ラムが尋問を始めた。
「皇帝陛下の命令で知った。」
「その皇帝は異世界人なのか?」
「いいえ、我と同じ粘土(クレイ)頭(ヘッド)だ。」
「粘土(クレイ)頭(ヘッド)とは何だ?」
「我々の上の存在である、魔王様がお作りになった忠実なしもべ一族である。」
それを言い終わる前にペエドロ・カーズテジョ・テローナスの顔が崩れ始めた。
「そんな、魔王様、タローウン陛下、お許しを。。。」
粘土で出来た頭が地面に落ちた、乾いた土のように崩れ、塵のように風に飛ばされた。残ったケンタウロスの体が恐ろしい速さで朽ち果てた。ミイラのようになった。
残った団員の頭と体がペエドロ同様の末路を辿った。
「この世界には魔王がいるのか?」
「そうみたいだね、ダビンチさん。他のメンバーと情報共有しないと。」
「そうですね、それとまだまだケンタウロスたちがたくさん残っている。」
「メッセージ機能が使えるので全員に今録画した自白を送る。」
「録画機能もあるのか?」
「はい、俺はこのゲームの研究も重ねてやっていたので、ここに来てからずっと試していたよ、ダビンチさん。」
「流石有名な暴飲暴食ラムさん。」
2人は猫女さーしこが戦っている一角に向かった。
「あの猫女忍者、恐ろしいな!!ゲーム内で何度も溶かしてやろうと思ったこと。」
「隠密行動だけではなく、大量破壊もできる。」
猫女さーしこは分身の術を連発し、広範囲でケンタウロスを虐殺していた。
元の世界
2033年08月21日 22:38
【速報】全国数か所で見つかったミイラ化した9人の遺体の身元判明した
1.働く名無しさん投稿日:2033年08月21日 22:38▼返信
ほとんどすごい人たちだった。
小田原ゆかり(元アイドル)
田森義道(政治家2世)
野村権助(左派の人権活動家)
吉田みのり、旧姓:安田みのり(元風俗嬢のエッセイスト)
米山実(キャラクター・デザイナー、有名ゆるキャラのポチもんの製作者)
高橋宗一(会社員、元指定暴力団の〇〇組の組長の息子)
小田秀斗(有名コミケ・コスプレイヤーゆいな)
佐藤工(たくみ)(オスカー俳優、佐藤猛の長男)
細川健治(会社員)
2.働く名無しさん投稿日:2033年08月21日 22:39▼返信
>>1
マジか?
3.働く名無しさん投稿日:2033年08月21日 22:40▼返信
>>2
マジだ。ワイもニュースで見た。
4.働く名無しさん投稿日:2033年08月21日 22:41▼返信
最後の男はただの会社員じゃない。ワイの地元で有名な地主だ!!
次回:猫のスレ民
日本語未修正
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