第10話 猫のスレ民

異世界・南コムニシュート大陸

クーバーン大平野(ホリバール帝国・帝都から1500キロメートル離れた距離)

日時不明


くノ一の猫女さーしこはありとあらゆるファンタジー系忍術をマスターしていた。

ケンタウロス軍団に対して、素早く、そして効率良く、捌いていた。


「分身の術・十身の式!!」


さーしこの分身体10体が瞬時に現れた。その分身体全員が本体同様の肉体的能力を持っていた。独自の意識がなかったものの、忍術、体術などを自動操縦式で行えるものだった。


本体は5体のケンタウロスと同時に戦っており、圧倒していた。


「壁抜けの術、心潰式!!」


彼女の右手のみがケンタウロス1体の旨を貫き、心臓を握り潰した。

ケンタウロスが口から血を吹きながら、地面に落ちた。


さーしこの分身体は自動操縦式のため、各自の状況にあった術を使用していた。


「火遁の術、炎息吹式!!」


分身体の1体は2体のケンタウロスを瞬時に炎で灰にした。


「雷遁の術、雷刃式!!」


もう1体は雷の剣でケンタウロス団員の首を切りながら、体を焼き尽くした。

その他の分身が個々は淡々とケンタウロス団員たちを軽く処理していた。


彼女はゲーム、幻想世界アシャンティ内では【一人軍隊】の異名を持っていた。

幾度に渡り、プレイヤー狩り、ゲーム内ギルドとの抗争を生き残り、連戦連勝だった。


彼女の本体は残った4体のケンタウロスを手裏剣で殺した。


150体ほどのケンタウロスを蹂躙したところ、黒い鎧の老ケンタウロスが現れた。

白い顎鬚、険しい顔、憎しみのこもった目をしていた。


「そこまでだ、汚らわしい異世界人め。」


猫女さーしこはケンタウロスを見た。


「汚らわしい?何を言ってんの?バカじゃないの?」


半分見下し、半分からかい目的でケンタウロスに対して言い放った。


「汚らわしい侵略者の異世界人め、我が名はファイデル・キャストーロス・ロース第四副長だ。葬ってやるから覚悟しておけ!!」


「出た、出た、雑魚がよく言う台詞だニャ。」


さーしこはあえて猫っぽく話した。


「おのれ!!我を愚弄するな!!」


「バカにバカと言って、何が悪いニャ?」


老ケンタウロスが巨大で鋭利な大剣を構えたと思ったら、素早くさーしこへ突撃してきた。軽々しく大剣を振り回し、目にもとまらぬ速さで上段から切りかかってきた。


「おのれ!!!死ねえ!!異世界人め!!」


老ケンタウロスのファイデルが猫女さーしこの体を頭のてっぺんから股間まで真っ二つに切った。


「見たか、汚らわしい異世界人め!!」


その後、老ケンタウロスは異変に気付いた。切ったはずの人体が葉に代わった。そして血しぶきもなかったことを。


「変わり身の術だニャ。」


老ケンタウロスの耳元にさーしこが囁いた。


ファイデルが反応する前にさーしこが脇差で彼の頭を胴体から切り離した。

パクパクしながら、信じられないような目線で老ケンタウロスの頭が地面に落ちた。

老ケンタウロスが最後に見た光景は胴体から吹き出る血と馬の部分に乗っていた異世界人が脇差を構えて、笑っている姿だった。


「猫女さーしこさん。敵を素早く片付けたみたいですね。」


スライム体から人間体へ擬態した暴飲暴食のラムが声をかけた。


「ああ、思ったほど強くなかったニャー。」


「猫語ですか?」


ダビンチが軽くツッコミを入れた。


「失礼、失礼、お二人さんも敵を軽く片付けたように見えるけど。」


「ああ、あの第三副長がかなりのバカだった。」


ラムは先ほど葬った相手を本気でバカと思っていた。


「とんでもないバカだったよ、ラムさん。」


ダビンチが更に付け加えた。


「で、何かわかったの?」


「とりあえず皆を集めて、情報共有をしましょう。我々はこの世界について、何一つわからない。」


「わかったわ。」


「さーしこさん、ラムさん、首狩りシーンムラーとオニキリ丸がいるところへ行きましょう。」


「行こう、メッセージで戦闘が終わった人たちへここに呼び寄せた。」


「流石暴飲暴食のラムだニャ。」


鮮血ハニー子、悪のホネカワ太、仁義なき竜ノ助とバーサーカーゆいなが3人のいるところへ歩いて向かっていた。


皆が驚いたのは竜ノ助は女性のケンタウロス戦士と手を握って歩いているのとバーサーカーゆいなは嬉しそうに屈強な男性のケンタウロス戦士の背中に乗っていたことだった。


「一体何があったんだ?」


この9人のリーダーになりそうなラムは困惑していた。



少し遡る

元の世界

2033年08月21日 03:50


大沢幹夫はパソコンの前に座っていた。彼はあの消えた掲示板のスレッドに参加したはずだが、自分のキャラクターを書き込む前、スレごとが消えたことに気づいた。


「何があったんだ?怖いけど知りたい。絶対に知りたい。」


デスクトップパソコンのパソコンがまぶしく光った。そして男性の声が聞こえた。


「預言者ライカンループスよ。こちらの世界で貴殿の力が必要だ。」


大沢が驚いたが、自分はゲーム内で使用していたアバター、ライカンループスの名前が出されて、好奇心が刺激された。


「誰だ、何故俺の使ったアバターを知っている?」


「余は魔王、魔王タローウンだ。貴殿の力が必要としている。」


「先ほど何があった?なぜスレが消えた?あんたは何者?」


「急ぐでない、預言者ライカンループスよ。余は貴殿を転生させるぞ。」


「ちょっと待ってよ、これがどういうことだ?」


画面が更に強く光った。


独身の大沢幹夫が部屋から完全に消えた。

彼の失踪は3日後、会社の無断欠勤で発覚した。



次回:戦闘狂のスレ民

日本語未修正

















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