第3話 セーフハウスとマーちゃん
その空間に足を踏み入れた瞬間だけ、
その直後には持ち直したのだが、そこは予想に反してのどかな空間で、柔らかい日の光が降り注いでいたが岩で出来たような天井があって太陽が無かった。天井は非常識に高いように思われた。
地面に目を向ければ、踏み固められた土であるらしき地面と芝生に覆われた部分が半々といったところだ。
風は無いが呼吸は出来るし寒くも暑くも無いある意味においては常識的な空間だった。
「ステータスオープン……?」
すると彼女の眼前に透明で文字が光っているプレートが表示された。
「不味いわね。カコヨミでは読んだことがあるけれど、これは異世界転移の
プレートを見てしまった
内容についてはたったの6行でHPやMPに相当するパラメータが無いようだ。
───────────────
年齢:23
ひまわり流護身術
暗殺の心得
セーフハウス
言語理解
───────────────
肝心の能力は4つしか書いておらず、しかも上の2つは彼女が今までの人生で鍛練により身に付けたものである。新たに追加されたものは下の2つのみ。すでに死んだ男たちの言葉が解ったことから気がついた能力と、今この場所が安全であることを示すであろう能力だけだった。
「避難所としてセーフではあるんだろうけど、ここに水も食料も無いのはアウトだと思うわ。屋根は……高い天井があるから良いけど、日が射している以上は雨が降る可能性もありか……」
清子はそこまでを考えて振り返った。後ろに
そこにいたのは宙に浮かんでいる丸まっちいトカゲだった。
身体は80センチぐらいで、同じような長さの尻尾が垂れていた。身体の色は全体的に青かった。
頭には丸くて茶色い瞳が2つあって何かの意志があるようにこちらを見ている。頭の上の方から緑の茎が生えていて、20センチぐらいの8枚の葉っぱが放射状に並んでいた。
そして意味はなぜか理解出来るが未知の言語で話し始めた。
「黒目に黒髪の女性とは。服装は懐かしい習俗のものだが……ひょっとして
この言葉は分かるかな? 私はマンマデヒクという。マーちゃんと呼んでほしい」
「
キヨコは他人と話すのが苦手だったが、相手がトカゲの場合には不思議と
それにこのマーちゃんからは得体の知れないオーラを感じるが、敵意というものは皆無だったのも大きい。
そしてマーちゃんは柔らかい感じのアルトボイスだった。出来る管理職のような雰囲気はあったが嫌味が無かった。
「良かった! 話が通じるのは助かる。ここにいる理由は話すと長いのだ。
色々とやらかしたお陰で閉じ込められてな。多分、神とかそういう類いの存在にだ。
それで、時々はこうしてどこかと繋がるようになったのだが、最近は誰かの保有する空間と繋がることが増えたな」
色々とやらかした内容と、色々な場所に繋がった経験があることは気になったが、キヨコはマーちゃんが嘘を付いていないと判断した。
また、今回はキヨコの特殊な能力が有する空間とマーちゃんの居住空間が繋がったように思われた。
キヨコとしては神に閉じ込められたことは本当に気の毒に思えたし、この丸っこくてそこまで大きくも無いトカゲが危険だとも思えなかった。
それにこのマーちゃんなら、地球と接続して戻る方法について知っている可能性があるとキヨコは考えた。
「マーちゃんは地球と繋がったことはある? 私はあそこに戻りたいのだけれど……どうも違う世界に連れてこられたみたいで困ってるのよ」
「ウーッム……キヨコ、そこは申し訳ないのだが、私にとってあの惑星を観察していたのは50億年も前の話なのだ。接続も切れてしまって久しい。
それ以外で出会った地球人は全員が転生者だった。全て異なる世界でのことだ。私の経過年数を基準にすると、そろそろ太陽の寿命が尽きるのではないかな?」
キヨコとしては珍しくショックを受けた。ツイストナイフの記事が全部デマだったことを知った時以来のショックだった。
どうして目の前のトカゲさんと自分にはそこまでの時間的な
====================
※お読みいただきましてありがとうございます。この作品について評価や感想をいただければ幸いです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます