【お姉ちゃんの独白】



「私はお姉さんとして君のことが好きで、」

「弟として好きで、」

「でも、それは恋愛的に好きな気持ちと矛盾してなくて、」

「とにかく……」

「私は、君のことが大好きなんだよ」

「ずっと、ずうっと、こんな日々が続けばいいな、って思うくらいに……」

「……ねえ」

「私は三歳も年上だから、進学もすぐだよね」

「一緒に学校に行けることも、ないよね……」

「それが少しだけ、寂しいって思うよ」

「君は、私のことを追い掛けてくれる?」

「私と同じ学校に通ってさ、『数学のテスト、難し過ぎだよね』とか、『今年の文化祭は何の出し物するの?』とか、そんな会話をするの」

「文化祭は一緒に回ろうね。手を繋いで、恋人みたいに」

「……じゃないか。恋人として、手を繋いで、だね」

「クラスメイトに見られたら、こんな年上の子が彼女だなんて、恥ずかしくない?」

「え? 自慢の彼女だって言ってくれる?」

「ふふっ、ありがとう」

「……ねえ」

「大学に行っても、大人になっても、こうだったらいいな」

「私は、大好きな君を、弟みたいに可愛がって、」

「でも、君は時には男の子らしく私をリードして、」

「私は恥ずかしくなっちゃって……」

「今と同じように、毎日のように一緒にお昼寝をして」

「キスだって、たまにはして……」

「そんな日々が続いていけばいいな」

「そんな日々を積み重ねていけばいいな、って思うんだ」

「……ねえ」

「大好きだよ」

「これからもお姉ちゃんとして、彼女として、私を大事にしてね?」

「大好きだよ」

「じゃあ、お昼寝、しよっか」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る