【日曜日のお昼寝】



(コンコン、というノックの音)

(ドアの向こうからワイドショーの音が聞こえる)


「はーい」(ドア越しの声)


(がちゃり、とノブを回す)

(ワイドショーの音声が途切れる)


「いらっしゃい」

「……え? 何してたか、って……?」

「ううん、別に何も。日曜のお昼だから、面白い番組やってないなー、って」(眠そうに)


(足音)

(主人公、声に近付いていく)


「それよりもね、昨日も全然眠れなかったの……」(すぐ隣から)

「それなのに、お母さんは『早く寝なさい』って言ってさ……」(少し不機嫌そうに)

「あ、君に怒ってるわけじゃないよ!? 君には感謝しっぱなしだから!」(急いで)

「隙あり、とりゃー!」


(二人でベッドに寝転がる)

(くすくすという笑い声)

(声の位置が近くなる)


「……びっくりした? ね、びっくりした?」

「可愛いなあ、もう。かわいーんだ!」(打って変わって上機嫌そうに)

「お姉ちゃんが撫で回しちゃうぞー! えいえいー!」(楽しそうに)

「……あ、怒った? 違う? 恥ずかしいんだ」

「可愛いなあ、君は」

「じゃあ、今日もお昼寝に付き合ってくれる?」


(一拍置いて、)


「……良かった。じゃあ、一緒にお昼寝、しよっか」

「それとも、」(言葉を溜めて、)

「……またこうやって、耳元で何か言っちゃおっか……?」(耳元で囁くように)

「あ、赤くなった。かわいーんだ!」

「嘘だよ、嘘嘘。意地悪しないから、一緒に寝よ?」(可愛らしく)

「それよりも今日、日曜日なのに、私に付き合ってくれて良かったの?」

「遊びに行かなくて良かった?」


(数秒待つ)

(主人公の発言パート)


「……そっか。友達より、私を選んでくれたんだ」(含み笑いをしつつ)

「嬉しいなー」

「じゃ、後でゲームして遊ぼっか……」

「トランプ、は、二人じゃつまらないよね……。なに、しようか……」(段々と眠そうに、ゆっくりになっていく声音)

「たのしいこと、たくさん、しようね……」


(数秒)

(主人公の発言パート)


「……うん。君の声、落ち着くな……」


(一拍置いて、)

(「すー、すー」という規則正しい寝息が聞こえる)


(十秒ほど待って、次のトラック)

(スマートフォンのアラーム)


「……ん……っ。あ、もうこんな時間か」


(ごそごそ、というスマートフォンを探す音)

(アラームが止められる)


「……ふふっ」

「今日はお休みだから、まだ時間があるね」(嬉しそうに)

「こうやって二人でごろごろしてよっか」

「……恥ずかしい? 今更?」

「かわいーんだ、もう!」(本当に嬉しそうに)

「ほら、お姉ちゃんが捕まえて、撫でちゃうぞー! なでなでー! なでなでー!」(声が右に左に移動しつつ)

「可愛いなあ、本当に。なでなでー」


(数秒待って、)

(主人公の発言パート)


「……え? もう子どもじゃないから、頭を撫でられるの、恥ずかしい?」

「ませてるなー、もう」(微笑みながら)

「私にとってはずっと君は子どもだし、君にとって私はずっとお姉ちゃんなの!」

「だから、ずっと甘えてくれていいんだよ……?」(誘惑するように)


(一拍置いて、)

(主人公の発言パート)


「……え? 私の頭を?」

「撫でたいの……?」(困惑した様子で)

「うん……。いい、けど……」

「……っん……。なんか、くすぐったいね……」(恥ずかしそうに)

「……ん、ぁ……」

「んんっ……!」


(数秒経って、)


「……ストップ。ストップ、ストップ、ストーップ!」

「これ以上は恥ずかしいから……じゃなくて、とにかく、ダメ!ダメなんだから!」

「私? 私が君を撫でるのはいいの!」(開き直り)

「ふふっ。ふふふふっ」

「いつもありがと、大好き」



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