第9話 助手誕生

「契約書の通り、前金を払っていただきます」


「わかったわ」


 ミルフィーユが小さい鞄から小切手を取り出して、金額を書いて僕に渡した。


(小切手なんて初めて見た)


 ポケットに大事にしまう。


「探偵さん。条件があるの」


「何ですか?」


「わたしをあなたの助手にして」


(は?)

 

 僕はまじまじとミルフィーユを見つめた。冗談ではないらしい。


 アリンを見ると、知っていたらしく、


「これも、勉強ですから」


 説得されてしまった。


(本当は、ガキは苦手なんだよな)


 僕は少し躊躇したが、それくらい仕方がないか、と気持ちを切り替える。


「わかりました。手伝ってもらいます」


 こうして、僕に初めて助手ができたわけだが、この助手がとんでもない助手だった。 


 後でこの時に、何故、断らなかったのかと、ものすごく後悔することになる。

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