第5話 依頼人は女の子

「ねぇ。あなた、探偵でしょ」


 声がした方を見ると、女の子が僕を見上げていた。


 場所は町の中心街。人通りが多く、たくさんのお店とアパートが並ぶ、円形の広場だった。


「頼みたいことがあるの」


 女の子はどう見ても、十歳くらいにしか見えない。


(これって、仕事の依頼か?)


 判断しかねていると、


「遊びじゃないわよ。ちゃんとした事件の依頼よ」

 

 女の子はムッとした。


(事件?)


 僕は女の子の頭からつま先まで観察した。


 高そうな服。ぴかぴかの靴に艶やかな髪。高級な腕時計をしている。


(どこかの金持ちか…)


 僕の頭は素早く計算して、


(話を聞いてみるぐらいはいいか)


 そう結論を出して、探偵調査募集中と書かれてある看板を地面に下ろす。

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