二話

 どうやら私がいた場所は二階で、そこは他の人たちの部屋があるといういわゆる寮みたいな感じだった。

 私は藍良についていくと、開けた場所には三人掛けのソファが机を挟んで二つ置いてあった。

 そこには、他の少女三人が憂鬱そうな顔をして座っていた。

「はぁーあ、どこにも出口はない」

「そうですね……この階には開かない扉が一つあるだけですし……」

「まったく。意味が分かんないわ」

 藍良と彩香が話をしながら椅子に座る。

「ま、とりあえずそこ座ってよ」

「あ、は、はい……」

 藍良に言われ、対面のソファに腰を下ろす。

 みんな見たことない人たちだ。でも、私とおんなじくらいの歳な気がする。

「で?これで全部?」

「ええ。この子が最後」

「へぇ、案外可愛いね」

「…………ど、どうも」

 褒めているのか何なのか分からず、曖昧な返事をしてしまった。

「この場所、一体何なんだろうね。普通建物って言ったら、窓が無いと建築法違反になるものに」

「はいはい、とにかく。私と彩香はこの階は調べたわ。けれど収穫は無し」

「は、はい……」

 腕を組みながらそう言う藍良と、少し震えているように見える彩香。


「——夕食の時間です。食堂へ来てください」


 すると奇妙な電子音のようなものが聞こえた後、女の人の声が聞こえてきた。

「おっ、ご飯だ。いやー、腹が減って死ぬところだったよ」

 アナウンスが終わると、ポニーテルの少女が席を立つ。

「ちょ、ちょっと待ってください……ッ!」

 下の階へ降りようとしたところを、彩香が止めに入る。

「ん、どうしたの?」

 ポニーテールの少女は立ち止まり、こちらを見てぽかーんとしている。

「あ、あの……素直に従うのは、危険なんじゃ……」

「んー、確かにそう言われればそうだけどさー。ここにいても状況は変わんないしー。アナウンスの正体が分かるかもよ?」

「…………」

 結局、そのポニーテルの少女は下の階へと降りてしまった。

「まぁ、確かにあの子の言う事は分かるわ。私もお腹空いたし」

「……あ、あたしもそうですけど……藍良さん、これが罠って言う可能性は無いですか?」

「ん……考えようによってはあり得るけど……行ってみないと分からないじゃない」

「……分かりました」

 どちらの意見も納得できる。私もお腹は空いているのだ。

 先に行った少女を追いかけるようにして、藍良と彩香は下の階へと降りていく。

 食堂に行くか、行かないか迷ってしまう。

「うーん、どうする?」

「脱出の手がかりがあるかもしんないし、行くだけ行ってみるしかないんじゃ?」

「あなたも行くよね?」

「えっ、あ、はい」

 行けばこのアナウンスの人に会えるかもしれない。この場所は何なのか、私たちはどうしてここにいるのか、色々聞きたいことがある。

 私を含めて残った三人は、食堂へと向かった。



 

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