「私、ピーターパンに会ったことあるんだ」

「何の話？　遊園地で見たって話？」

「いや、本物を見たって話」

「そう。ネバーランドには、行けた？」

「行けたよ。妖精さんはいなかったけどね」

「でも、空飛べたんだ」

「そうだね」

「適当言うね」

「……まあね」

「なにそれ」

「……君はどう？　大人になりたい？」

「んー、どうだろ。そっちは？」

「なりたくないかな。ネバーランドにずっといたかったし」

「僕も同じかな」

「……適当言うね」

「……よくわかるな。そう、確かに大人になりたくないこともないかも」

「ややこしい」

「ただ僕はそれに意欲的なわけでもないんだよ。ただ変わって欲しいだけなんだ。まあ、どうせ大人になったところで僕は何も変われないんだろうけど」

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