第13話 混沌の祭典
朝日が昇り、QH学園の敷地全体が活気に包まれていく。今日はいよいよ学園祭。そして、世界中の要人たちを前にしたQ-アルマのデモンストレーションの日だ。
俺は緊張で胃がキリキリする中、制服に袖を通した。鏡に映る自分の顔は、少し青ざめている。
「大丈夫、やれるさ」
自分に言い聞かせるように呟いて、部屋を出た。
学園の中庭に集合すると、既にチームメンバーが揃っていた。
「おはよう、護斑」
「や、おはよう」
俺が返事をする間にも、クロエが明るい声で話しかけてきた。
「ユウヤ、朝ごはんはちゃんと食べた?今日は特別なデモンストレーションだから、しっかり栄養つけないとね!」
その言葉に、俺は思わず苦笑した。緊張で食欲なんてなかったけど、無理やり口に運んだトーストとスクランブルエッグを思い出す。
シャーロットが優雅に髪をかきあげながら言った。
「さて、皆さん。本番まであと2時間です。最後の打ち合わせをしましょう」
全員が頷き、作戦室に向かった。
最後の確認を終え、いよいよデモンストレーションの時間が近づいてきた。俺たちは中央広場に向かい、そこで待機することになっている。
しかし、広場に到着する直前、突如として警報が鳴り響いた。
「警報!警報!未確認飛行物体、QH学園上空に出現!」
俺たちは顔を見合わせた。
「なっ……何が起きてるんだ?」
俺の問いかけに、すかさず彩姫が応じる。
「おそらく、シャドウ・ネクサスの襲撃ね。最悪のタイミングだわ」
その言葉に、俺の背筋が凍りつく。シャドウ・ネクサス。Q-アルマ技術の独占を狙う謎の組織。まさか、本当に現れるとは。
「くっ……まさか今日を狙ってくるとは」
ベティーナが歯軋りする。
「皆さん、落ち着いて!」
シャーロットの声が響く。
「今こそ、私たちの力を示すときよ。世界中の要人たちの前で、QH学園の実力を見せつけましょう」
その言葉に、全員が決意を新たにする。
「そうね」
楓が静かに頷く。
「これも運命かもしれません。私たちの真価が問われる時が来たのです」
クロエが明るく言う。
「そうよ!せっかくのデモンストレーションなんだから、本物の実力を見せちゃいましょ!」
俺は深呼吸をして、仲間たちの顔を見回した。
「みんな……行こう!」
全員が頷き、Q-アルマを展開した。
--- 第三者視点 ---
QH学園の上空、約10,000メートルの成層圏。そこに、突如として異様な歪みが現れた。歪みは瞬く間に広がり、巨大な円盤状の物体が姿を現す。
円盤の表面には複雑な模様が刻まれており、それが不気味に蠢いている。円盤の中央部が開き、そこから次々と黒い人型の物体が落下してくる。
地上では、パニックに陥る一般客と、冷静に対応しようとする学園職員の姿が入り混じる。世界各国から集まった要人たちは、厳重な警備の下、避難所へと誘導されていく。しかし、その表情には恐怖だけでなく、期待の色も見える。これこそ、QH学園の真価を見極める絶好の機会だと。
そんな中、学園の中央広場に6機のQ-アルマが姿を現した。1年生の精鋭たちだ。
彩姫の【
そして最後に、悠哉の【
両軍が対峙する中、戦いの火蓋が切って落とされた。
--- 悠哉視点 ---
空から降り注ぐ無数の黒い影。シャドウ・ネクサスのQ-アルマ【ダークファントム】だ。その数があまりに多くて、一瞬たじろいでしまう。
「くっ……!」
俺は必死に【限槍零式】を操り、迫り来るダークファントムの攻撃を回避する。しかし、動きはぎこちなく、何度も危険な状況に陥る。
「護斑!左側に気をつけて!」
彩姫の警告に、咄嗟に身を翻す。直後、黒い光線が俺のいた場所を貫く。
「ありがとう、氷雨さん!」
お礼を言う間もなく、次の攻撃が襲いかかる。俺は『無限槍製』を発動させ、光の槍を生成して対抗するが、その動きは訓練の時よりも遅く、ぎこちない。
「クソッ……なんで上手く動かないんだ!」
焦りと恐怖で、頭の中が真っ白になりそうだった。
そんな俺をよそに、仲間たちは見事な連携を見せていた。
クロエの放つ幻惑の香りに惑わされた【ダークファントム】を、楓の風の刃が切り裂く。シャーロットの支援を受けたベティーナが、強化された装甲で敵の攻撃を受け止める。そして彩姫が冷徹な計算のもと、的確に敵を撃破していく。
「すごい……みんな、本当に強いんだ」
感嘆の声を漏らす俺だったが、次の瞬間、背後から迫る気配に気づく。
「しまっ……!」
振り向いた時には遅かった。【ダークファントム】の黒い腕が、俺のQ-アルマに迫っている。
「危ない!」
その時、俺の視界が真っ白に染まった。
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