浮気相手との邂逅
第9話 見つからない正解
☆
「まあ何というか。ギリギリだったね」
「そうだな。完全にギリギリだった。お前の介入無かったら厳しかった」
そんな感じで話す。
俺は南子に頭を下げながら感謝の言葉を述べる。
すると南子は「じゃあ私、スーパー行くから」と笑顔で手を振ってからそのまま去って行った。
俺はその姿を見送ってから牧田を見る。
牧田は「...南子さん。良い人ですね」と言っている。
「限りなく良い奴だよ。...俺は好きだ」
「...そうですね。...南子さん来なかったらヤバかったですね」
「...すまないな。怖い目に遭わせて」
「どっちかと言えば不良の方が怖かったんじゃないですかね」
俺の言葉にそう返事をする牧田と歩く。
すると牧田は「先輩」と言ってきた。
俺は牧田を見る。
「やっぱり先輩を好きになって良かったです」
「何だよ」
「...いや。感謝の言葉です」
そして俺に対して満面の笑顔で帰宅した。
それから焼きそばを食ってから笑みを浮かべ合う。
因みに焼きそばだが豚肉では無い牛肉が入っている特殊な焼きそばだった。
珍しいんじゃないか?
☆
翌日になった。
俺は起き上がって支度...オイ!?
牧田が家の中に居た。
何をしている!!!!!
「勝手に入って来るな!?どうやってチェーンを外した!」
「まあまあ。先輩。取り敢えず顔を洗って来てください。それから...」
「質問に答えろ!?」
「まあまあ」
「まあまあじゃない!」
この野郎!!!!!入るなって言ったのに!
そう思いながら牧田を見る。
牧田はニコニコしながら俺を見ていた。
その顔を見てから俺は思い出した。
それは...つまり牧田のキスの件。
「...あ。先輩のエッチ」
「何だよ!」
「先輩スケベな事を思いましたね?とーっても顔がエッチです」
「お前のせいもあるけどな!」
「私、エッチじゃないです」
「嘘吐くな!」
俺は絶句しながら牧田に否定をする。
すると牧田は「まあまあ」とまたニコニコする。
それから「先輩。とにかく時間が無いので急いで下さい」と時計を指差す。
確かに時間が無い。
そう思いながら俺はしぶしぶ牧田の指示に従ってから動いた。
☆
因みに朝食を食べてから俺達は学校にやって来た。
すると学校では撃破された不良達の噂が広まっており。
俺は無視して青ざめていた。
すると目の前に誰かが腰掛ける。
「よお」
「ああ鮫島か」
「見りゃ分かるだろ。鮫島だよ。本人だ」
言わなくても分かる。
鮫島宝(さめじまたから)。
コイツの名前だが。
同級生のクソ野郎の男子だ。
俺の友人である。
短髪にのチャラい感じの男。
その鮫島にこう言われた。
「お前だろ。それやったの」
「何を根拠に?」
「お前の特徴。女子が2名居たそうだが。男子はお前の特徴に一致している」
「んな馬鹿な。俺はそん...」
「いやいや。お前、強いじゃん?」
「俺は強くねぇよ」
「そう言うか?否定するか?山岳救助隊マン」
俺は苦笑いを浮かべながら鮫島を見る。
「まあどっちでも良いけどな俺」と肩をすくめる。
それから「やり過ぎるなよ。お前が消えたらどうしようもねぇ」とニヤニヤしてからそのまま俺を見据える。
俺は「そうだな」と苦笑い。
「...天国の親父さんを背負わないと」
「...チャラい癖にまともな事言うよなお前」
「まともじゃねーけどな」
「嘘吐くな。まともじゃねーか」
「まあ...元不良からの忠告として受け取ってくれ」
鮫島は元不良。
その素性は暴走族だった。
この街のクソ野郎だったと彼は言う。
じゃあ何でそのクソから目覚めたんだ、と聞くと。
彼は軽々しくこう話した。
「くだらねぇと思ったから。...将来、社会福祉を学んで働きたいしな」
という感じで。
俺は衝撃を受けながら彼を見た。
そして彼は「...それ以外にもまあいつまでも泥沼に浸っているのもな。...妹が倒れたし」と笑みを浮かべた。
彼の妹さんだが。
筋肉が衰える難病だ。
「...鮫島らしい理由だよな」
「何がだ?」
「何でもねぇ」
そんなクソ不良と知り合ったのは。
高校1年の時に教室を間違えた事による。
コイツが詳しく教えてくれたのだ。
それで恥をあまりかかずに済んだのだが。
「なあ」
「あ?何だ」
「飲み物奢ってくれ」
「いきなり何でだよ。死ね」
「お前が死ね」
こうしてやり取りをするぐらいの仲にはなった。
それから俺は鮫島の素顔をよく観察している。
彼は...根っから相当に良い奴だった。
だけどそれが何で不良に。
そう思ったが彼は答えなかった。
聞いても答えない。
こう俺に対して言葉を発する。
「そんな事細かな理由話しても意味無いしな」
と、だ。
俺は良く分からないまま聞けないまま。
今に至っている。
まあでも話したく無いならそれでも良いんじゃねーかって思う。
だってまあどっちにせよダチだしな。
「まあ冗談はさておき。...鹿野。今度家に来てくれるか」
「?」
「妹が会いたいそうだから」
「ああ。それなら喜んで行くぞ」
「...それから。...お前浮気されたか?」
そう言われて俺は「...」と考え込んだ。
それから「だな」と苦笑した。
そして「浮気された」と話した。
すると「そうか」と複雑そうに鮫島は答えた。
「...やっぱりか。その風の噂も聞いてな」
「...そうか」
「気を強く持てよ」
「持ってる。...後輩のお陰でな」
「ああ。牧田三毛さんだっけ?可愛いよな」
「そうだな」
「...キスとかしたの?」
噴き出した。
何でそうなる。
そう思いながら「はえーよ」と突っ込まれた。
そしてけたけたと笑われた。
ったくこの野郎。
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