第4話 攻撃準備
☆
私は先輩を守る為に強く居たいって思えた。
先輩は私を女の子として見てくれる。
その代わりと言っては何だが先輩を大切に想っている。
私は...先輩が全てだから。
先輩が私を心から助けてくれたあの日から。
「先輩」
「ああ。どうした?」
「私、先輩が好きです」
「ゴメン。見たら分かるぞそれ」
「ああ。いや。そういう事じゃ無いんです」
先輩の手を握る。
それから私は寄り添った。
先輩は「お、おい」と慌てるが。
構わず寄り添った。
そして先輩を見上げる。
「私は強い女の子です。でもか弱い精神です。だからその時は先輩が支えて下さい」
「...!」
「私は...まだまだ未熟者ですから」
「...そうか」
先輩は赤面しながら「お前と居ると気が狂うよ。マジに」と苦笑した。
それから先輩は「俺も未熟者だぞ。ロクなもんじゃ無い」と話してくる。
私は「そんな事、無いです」と頬を朱に染めた。
「先輩。私は貴方を好いて良かったです」
「...まあそう言ってくれるだけ有難いよ。...俺は恵まれている」
「...先輩は私の事、どう思います?」
「どう思うかといえばまあ...お前は特異なやつだけど良いやつだよ。俺はそう思う」
「...決して悪い所は言わないですよね。先輩って」
「何だよ。悪い所を言わないって。言った方が良いのか?」
先輩は苦笑する。
決して先輩は悪い事を言わない。
これが先輩の優しさなのだろうけど。
良い人だ。
だから私は好きになったんだろう。
「まあでも。無断で女の子に接するのは認めません。私を介して下さい...」
「...いや。怖いんだけど」
「先輩が悪いです。私は至って真面目ですよ?私はあくまで先輩を大切にしているだけですから」
「お前...」
私はニコッとしながら先輩を見る。
それから私は駆け出した。
そして先輩に振り返る。
「先輩」と言いながら、だ。
「私は...この先もずっと先輩を追います。だから私を見ていて下さい」
「...お前なあ」
「先ずは先輩には女子慣れしてもらいます。私の部屋に来て下さい」
「...へ?」
「私のお部屋に来て下さい。というか私は先輩に来てほしいです」
そう言いながら私は先輩に近付く。
それから先輩の手を握った。
先輩は「まっ、ちょ!」と真っ赤になる。
私はにぎにぎした。
「えへへ。先輩の手、暖かい」
「良い加減にしろ。オイ」
「ふふっ。私、やっぱり先輩が好きです」
「...ったく」
私は先輩の手を引いた。
それから先輩の胸に収まる。
暖かい。
安らぎが得られる感じだ。
本当に心地良い。
「先輩。私ね」
「あ、ああ」
「先輩が好きな分。許せません」
「それは薮三の事だな。確かにな」
「私は愚かなんでしょうか。こういう事を考えるのは」
「...違う。愚かじゃ無い。俺もそういう考えだしな」
「...」
私は「復讐しましょうよ。先輩。私は奴等が幸せなのは許せない」と目からハイライトを消した感覚で先輩を見る。
「どうやってだ。犯罪はゴメンだぞ」と先輩は言ってくる。
私はその言葉に「違います。犯罪はしませんよ。ただ私は彼女の絶望した顔は見たいですが」と公園にやって来る。
「...ああ」
「...私は彼女の幸せを奪います」
「...」
「このままじゃ駄目ですよ。絶望感を味合わせてやらないと」
「...だが...」
「...私は今もずっと幸せをぶっ壊したいって思っています。私は...浮気されましたから。家族に。そんな汚れたものは排除しないと」
私は深刻そうな目をする。
確実に始末しておかないと駄目だ。
先輩は甘っちょろい。
私が先輩から許可を得てから始末する。
これは私がやらなければならない事だから。
「...分かった。だが暴力とか危害は加えるなよ。マジに捕まるぞ警察に」
「私はあくまで幸せを求めているだけですよ。そんな事はしません」
ジャングルジムに登る。
それから空に手を伸ばしてから空を掴んだ。
私は確実に許さない。
邪魔をされない様に再起不能にしてやる。
精神を壊すのは犯罪じゃ無い。
これはれっきとした正義だから。
夢、希望。
全て潰えさせてやる。
「あはは...」
私は先輩に聞かれない様にそう笑う。
それから私は空を見上げてからニヤニヤする。
凄く興奮する。
誰かの幸せを奪い精神を破壊するとはこんなにも愛おしいのだな。
☆
俺は彼女を見る。
ジャングルジムに登ってニヤついている彼女を...複雑な顔で、だ。
正直、俺は彼女のストッパーにならなくてはならないだろう。
牧田はきっとやりたい放題をする。
確かに俺は認めたが。
彼女が何をするかまるで分からん。
だからこそ止める時は止めないとな。
そう考えながら俺は牧田を見る。
「...牧田」
「はい?」
「確かに俺は藪三に関して復讐は認めたが。だけどお前がやりたい放題し始めたら止めるからな。それだけは守ってくれ。例えば誰か見知らぬ人すら巻き添えにするとかな」
「任せて下さい。そんな事には...なりませんから」
「...」
俺は牧田を見据える。
それからニコニコしている牧田から目線を逸らす。
だけどこうして俺は許可を出したのは。
きっと俺も復讐心があるからだろう。
馬鹿だな俺も。
幼稚だわ。
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