第4話 攻撃準備


私は先輩を守る為に強く居たいって思えた。

先輩は私を女の子として見てくれる。

その代わりと言っては何だが先輩を大切に想っている。

私は...先輩が全てだから。


先輩が私を心から助けてくれたあの日から。


「先輩」

「ああ。どうした?」

「私、先輩が好きです」

「ゴメン。見たら分かるぞそれ」

「ああ。いや。そういう事じゃ無いんです」


先輩の手を握る。

それから私は寄り添った。

先輩は「お、おい」と慌てるが。

構わず寄り添った。

そして先輩を見上げる。


「私は強い女の子です。でもか弱い精神です。だからその時は先輩が支えて下さい」

「...!」

「私は...まだまだ未熟者ですから」

「...そうか」


先輩は赤面しながら「お前と居ると気が狂うよ。マジに」と苦笑した。

それから先輩は「俺も未熟者だぞ。ロクなもんじゃ無い」と話してくる。

私は「そんな事、無いです」と頬を朱に染めた。


「先輩。私は貴方を好いて良かったです」

「...まあそう言ってくれるだけ有難いよ。...俺は恵まれている」

「...先輩は私の事、どう思います?」

「どう思うかといえばまあ...お前は特異なやつだけど良いやつだよ。俺はそう思う」

「...決して悪い所は言わないですよね。先輩って」

「何だよ。悪い所を言わないって。言った方が良いのか?」


先輩は苦笑する。

決して先輩は悪い事を言わない。

これが先輩の優しさなのだろうけど。

良い人だ。

だから私は好きになったんだろう。


「まあでも。無断で女の子に接するのは認めません。私を介して下さい...」

「...いや。怖いんだけど」

「先輩が悪いです。私は至って真面目ですよ?私はあくまで先輩を大切にしているだけですから」

「お前...」


私はニコッとしながら先輩を見る。

それから私は駆け出した。

そして先輩に振り返る。

「先輩」と言いながら、だ。


「私は...この先もずっと先輩を追います。だから私を見ていて下さい」

「...お前なあ」

「先ずは先輩には女子慣れしてもらいます。私の部屋に来て下さい」

「...へ?」

「私のお部屋に来て下さい。というか私は先輩に来てほしいです」


そう言いながら私は先輩に近付く。

それから先輩の手を握った。

先輩は「まっ、ちょ!」と真っ赤になる。

私はにぎにぎした。


「えへへ。先輩の手、暖かい」

「良い加減にしろ。オイ」

「ふふっ。私、やっぱり先輩が好きです」

「...ったく」


私は先輩の手を引いた。

それから先輩の胸に収まる。

暖かい。

安らぎが得られる感じだ。

本当に心地良い。


「先輩。私ね」

「あ、ああ」

「先輩が好きな分。許せません」

「それは薮三の事だな。確かにな」

「私は愚かなんでしょうか。こういう事を考えるのは」

「...違う。愚かじゃ無い。俺もそういう考えだしな」

「...」


私は「復讐しましょうよ。先輩。私は奴等が幸せなのは許せない」と目からハイライトを消した感覚で先輩を見る。

「どうやってだ。犯罪はゴメンだぞ」と先輩は言ってくる。

私はその言葉に「違います。犯罪はしませんよ。ただ私は彼女の絶望した顔は見たいですが」と公園にやって来る。


「...ああ」

「...私は彼女の幸せを奪います」

「...」

「このままじゃ駄目ですよ。絶望感を味合わせてやらないと」

「...だが...」

「...私は今もずっと幸せをぶっ壊したいって思っています。私は...浮気されましたから。家族に。そんな汚れたものは排除しないと」


私は深刻そうな目をする。

確実に始末しておかないと駄目だ。

先輩は甘っちょろい。

私が先輩から許可を得てから始末する。

これは私がやらなければならない事だから。


「...分かった。だが暴力とか危害は加えるなよ。マジに捕まるぞ警察に」

「私はあくまで幸せを求めているだけですよ。そんな事はしません」


ジャングルジムに登る。

それから空に手を伸ばしてから空を掴んだ。

私は確実に許さない。


邪魔をされない様に再起不能にしてやる。

精神を壊すのは犯罪じゃ無い。

これはれっきとした正義だから。

夢、希望。

全て潰えさせてやる。


「あはは...」


私は先輩に聞かれない様にそう笑う。

それから私は空を見上げてからニヤニヤする。

凄く興奮する。

誰かの幸せを奪い精神を破壊するとはこんなにも愛おしいのだな。



俺は彼女を見る。

ジャングルジムに登ってニヤついている彼女を...複雑な顔で、だ。

正直、俺は彼女のストッパーにならなくてはならないだろう。

牧田はきっとやりたい放題をする。


確かに俺は認めたが。

彼女が何をするかまるで分からん。

だからこそ止める時は止めないとな。

そう考えながら俺は牧田を見る。


「...牧田」

「はい?」

「確かに俺は藪三に関して復讐は認めたが。だけどお前がやりたい放題し始めたら止めるからな。それだけは守ってくれ。例えば誰か見知らぬ人すら巻き添えにするとかな」

「任せて下さい。そんな事には...なりませんから」

「...」


俺は牧田を見据える。

それからニコニコしている牧田から目線を逸らす。

だけどこうして俺は許可を出したのは。

きっと俺も復讐心があるからだろう。

馬鹿だな俺も。

幼稚だわ。

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