第10話 私の幸せって…
「どうして………どうして私達が…!!!!」
一人でに歩く夜道。
私はそう呟きながら、一人で歩く。
「なんで…なんで…!!!!!!!!なんでなの………」
そして、脳裏に浮かぶ、あの女の顔。
憎たらしい…!!!
力を持っているのに…それを行使しない………!!!!!
何故…あいつだけが!!!!!!
生きていられる……!!!!!!?
許せない…!!!!!あいつは…私が殺すべき人間…!!!!!!!!!!
気づくと、その女には憎しみ心しかなかった。
かつては友達とか生半端な事を言い合っていた仲だったけど………
今は違う…
絶対に。殺さなければ行けない人間。
「力…が…力が欲しい!!!!!!応えて…!!!!!私の魔法のステッキ…!!!!!全てはあの女を殺すために!!!!!!」
私は握りしめていた魔法のステッキを空へと掲げると、今まで白く染まっていた魔法のステッキから、黒い液体のようなものをたらし始めた。
その液体は、まるで蝋の様に、ドロドロとしていて、負の感情によって作られたような、禍々しい雰囲気を漂わせていた。
その魔法のステッキは、夜の闇に溶け込むかのような、黒い色をしていて、まさに、魔法少女が使うステッキよりかは、魔女が使う魔法の杖の様だった。
私は、その、もう一本の魔法のステッキを握りしめた。
すると、私の心臓が、いきなり、大きな鼓動を鳴らした。
体を全て蹂躙するかの様な痛みを煩わせるが、そんなのはどうでも良い…
「ぐ…ぐはっ!!!!!!ッん!!!!う…うぇぇ…!!!がはっ…!!!!!ふぅ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
吐き出す、大量の血液。
そして、そして、頭からは何か角の様な物が、生え始めた様な気がした。
通路に移るサイドミラーには、もはや、人間ではない、少女の悪魔の姿が映っていた。
その少女の目は、片側はまるで血の様に赤く染まっていたが、もはやそんなことはどうでも良かった。
そして、目の前に、ステータスウィンドウが現れる。
『死離滅裂。獲得』
そして、少女はそれを見て、笑った。
「あは!」
頬を両手で押さえて、甲高い声で笑う。
「あはははははははははははははは!!!!!!!!!!!!!!!」
サイドミラーには、魔法少女ではなく、魔女の姿だけがあった。
「これで…!!!!!これで復讐できるね!!!!!!隆一くん…!!!!!!!」
少女、アズリアは、夜空の空に向かってそう嘆いた。
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「残念だったな。お前の仲間たちは全滅だ。まあ、お前が4人だけのRIの組織だったらの話だけどな。」
無惨に。
しかしながらも、少しばかりの笑みを含めた頭だけのカントウが、転がっている。
それはまさに、やり切った様に優しく微笑んでいる。
「お前…!!!!!!!」
殺意が湧いてくる…俺の仲間を…あんな風に!!!!!!
「許さねぇ!!!!!!絶対!!!!!」
俺から放たれる圧。
そして、俺を包む黒い煙の様な物が、俺の体から湧き上がる。
まるで俺を包むようにその黒い煙は纏わり付くと、その煙は、まるで一つの獣かの様に、手には爪の様なものを生やし、まるで、鎧の様に、漂う。
「なんだそれ…」
「お前には関係ないだろ!!!!!」
俺は両手を広げて、爪を曝け出す。
そして、足を思いっきり踏み込み、マグプルへと踏み込んだ。
爪を上から振りかぶり、マグプルは、それを避ける。
コンクリートの上には、爪痕が残り、3mほどの斬撃の跡。
「ま、まじかよ…」
マグプルはそう言いつつ、拳に炎を宿し、俺に向かって突き出す。
確かに速度は、速いが避けられない訳ではない!!!!
俺は、その拳を振り払う。
その反動を流しきれず、一度マグプルは、空中で一回転し、着地。
体操選手の様な動きを見せるが、俺はそんな事を気にせずに、黒煙で包まれた拳を振り下ろす。
うまく着地したマグプルはその攻撃は、横にずれて、避けることができた。
「よっと!!!!」
そして、俺に蹴りを入れるマグプル。
マグプルの腰からは、「10ポイント!!!!」と音がなった。
あと90!!!!
攻撃に当たらなければ良いだけ!!!!!
蹴られた方向に転がり、そして、受け身を取りつつ立ち上がる。
「まあ、なかなかやるじゃねえか。」
「ッ!!!!!!」
いかにも余裕そうな声で振る舞うそいつ。
俺はRIメンバーの仲間の命をこんな容易く奪ってきたのかと腑が煮え繰り返る。
「お前!!!!!!!!」
拳を握りしめ、マグプルと距離を詰める。
一瞬で距離が1mほどまでに縮むと、俺は、マグプルに精一杯の拳を振るう。
反動で、足元のコンクリートがにヒビが入るが、そんなことはどうだって良い。
足場がと体制が崩れるが、目に居たマグプルは、吹っ飛び、壁に突き刺さる。
「ぐは!!!!」
相当痩せ我慢をしていたのか、マグプルは壁から抜け落ちると、膝を地面に突く。
「くそ…!!!!お前…!!!!」
マグプルが、膝を持ち上げ、よろよろとしながら立ち上がる。
「絶対に殺す!!!!!!」
殺意に満ちたマグプル。
「俺のセリフだぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
俺は、拳を振りかざし、こちらへと走ってくるマグプルに向かってぶつけた。
マグプルも、同様に、拳を突き出したが、マグプルの方が、パワー負けし、吹っ飛ばされた。
「くっそっが!!!!!!」
そして、俺が、大きな40センチはある爪を黒煙で形作る。
「これでトドメだ!!!!!」
俺が、足にパワーを溜め、そして、そのパワーを一気に放つと、バアアン!!!!!!という甲高い音がビル群に響いた。
「やあ。ユミーだったっけ?」
そこには聞き覚えのある声。
そいつは、ニヤリと口を曲げると、その金属のパワードアームで、俺の爪を振り払った。
「ヒーロー登場〜〜」
そういうと、シャイニーは、パチンと指を鳴らす。
俺は、その急に現れたシャイニーと距離を取る。
「ッ…!!!!!!!って…な、なんでお前ら!!!!!」
「いやー!やっぱり、人質作戦は有効だと思ってね。」
シャイニーの隣には、手足を縛られ、視界を封じられたVの姿。
まるで誘拐犯にでも遭ったようだ。
「んー!!!!!んー!!!!!!!」
そしてVは、抗う様に、体をモジモジと動かすが、全くもって効果が無い様に見える。
そして、シャイニーはわかりやすく、拳銃を持ち出した。
殺すための道具なら、シャイニーはいつも着ているはずなのに、それでも、拳銃を持ち出し、そして。
「さてと。どうする?お前、能力解いて、降参しないと、俺殺しちゃうかもよ〜」と言って見せた。
「ん…んな!!!!!?」
シャイニーは眉をゴーグルの下で動かしながら拳銃を、Vに突き刺す。
「マグプル。こいつの頭の拘束を解いてやれ」
「お、おうよ。」
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「なんで霧矢くんが…こんなことに…なんで…」
私は先ほど部屋から出たカントウさんを追いかけるべく、部屋を飛び出した。
パーカーを深く被り、誰にも悟られないようにする。
すると、なぜか妙に人気の無い交差点へと出た。
「な…なんでここ…」
すると、その交差点の真ん中。そこに、金属を纏う男と、スーツを纏う男。
そして、V先輩の姿に、煙の様なものを纏ったユミーさんの姿があった。
「さてと。どうする?お前…能力解いて、降参しないと、俺、殺しちゃうかもよ〜」と聞き覚えのある声がした。
金属男の手元には拳銃。
そして、金属男は、その銃をVさんに突きつけている。
「え!?ど、どういうこと…!?」
私はさっと、交差点の真ん中からは見えない位置…歩道の木の影に隠れた。
「わ…わかった!!!降参するし能力も解くから!!!!!そ、その銃だけは…下ろしてくれ!!!!!」
すると、ユミーさんは、纏っていた黒い煙を払い、両手を広げた。
そして、その体制のまま、膝を地面に付けようと____
「やめてください!!!!!!!!」
Vさんの大きな声が響いた。
「そ、そんな事をしたら…!!!!絶対に殺されてしまいます!!!!!!!!!」
すると、ユミー先輩は、にっこりと笑顔を浮かべる。
それも、爽やかな笑顔。
「じゃあな。」
金属男がそう言い放つと、非日常のパアン!!!!という1発の銃声が響いた。
だが、その弾丸は、ユミーさんに向かって放たれたものでは無かった。
上がる血飛沫。
バタンと倒れ、そして、涙を流す、一人の少女の姿。
「逃げ…て……」
彼女の最後に言った言葉は相手を想うために絞り出した言葉。
「は…?」
ユミーさんは、目の前で恋人、V先輩の命の灯火が消え去るのを眺めているだけ。
いや、眺めさせられるだけだった。
「そ…そんな!!!!!V先輩!!!!」
私は、木の影から見守っていたが、もう。
私が行っても手遅れ。
守れたかもしれなかったのに…
「な…なんで………なんで…ヒーローは……一般人を守る役職じゃないのかよ…………」
すると、金属男…いや、シャイニーは、拳銃を握りしめ、そして、不正をして勝ったかの様な快楽に溺れた哀れな笑顔を浮かべ、そして、言う。
「魔法少女には、前提条件がある。それは、人間ではない事。」
に、人間でないこと…!?わ、私は人間じゃないの…?
「魔法少女は、アルメルク放射線によるウイルスに感染している事が条件となる。そして、アルメルク放射線患者は…!!!!人間としての人権を剥奪される!!!!!ある一定の人間が喰らうと、ウイルスが暴走して一瞬で肉体を水みたいに蒸発させる作用があるんだ!!!!だが、それを乗り越えた人間は、魔法少女に成り、大いなる力を手に入れられる。」
アルメルク放射線…10年前に突如として降り注いだという緑色の光…
聞いたことはあった…
でも、私がアルメルク放射線を浴びていたとは…
「要するに…ヒーローは民間人は守るが、Vの様な端くれ魔法少女など、殺してもさほど変わんないんだよ!!!!!わかったかな?」
そして、パアンパアンパアン!!!!!と3発の銃声。
交差点の真ん中で、ユミーさんが血を漏らして倒れていた。
また…守れるかもしれなかった命が…
「さてと。駆除は完了だ。そろそろ…」
「お、おい…シャイニー!!!!あ、あれを…!!!」
「お前らが…お前らがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
そして、シャイニーが後ろを向いた時、もはや人間などの領域ではなく、悪魔を体現させたかのような、大きな煙を纏うユミーさんの姿。
次の瞬間、スーツ男は、一瞬で飛ばされ、ビルに突き刺さる。
「お前らがああああああ!!!!!!!!!!!!俺の全てをおおおおおおおおおお!!!!!!」
「は?」
シャイニーはその言葉を呟く。
そして、次の瞬間、3mほどの大きさになったユミーさんは、腕の様な場所から一本の剣の様な刃を黒い煙で形作る。
「くっそ!!!!!まだ生きてやが___」
と、瞬きすると、シャイニーは、縦に二つに割れていた。
それも、あの全てを弾く様な鉄のスーツが真っ二つになっていたのだ。
「ゆ、ユミーさん…?」
私は、そのまるで怪人と怪獣の中間あたりのその姿に足が震え出した。
「あああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
そして、まるで、さっきまでの私の様に、ユミーさんは、見た目は化け物なのに、人間のままの声で、叫ぶ。
その泣き声は、凄まじく鼓膜が弾けそうだった。
「ゆ、ユミーさん!!!!!!!」
悲惨に満ちた泣き声の主は、どんどんと、巨大化して行った。
そして、大きさが、これまでの怪獣と大差ないくらいにまで肥大化すると、交差点の中央で、あたりのビルを破壊し始める。
「んっ!!!!!!!」
私は慌てて、その怪獣と化したユミーさんの後を追っていくと、その先に、白い車。パトカーが並んだ道に出た。
「う、うわああああ!!!!!全員、撃てぇええええええ!!!!!!」
「そ、そんな!!!!し、仕方ない!!!!!」
パトカーの前には、青い服の警察官。
「ゆ、ユミーさん!!!!!!!」
私は大声で、その、怪獣になったユミーさんの注意を引く。
すると、ユミーさんは、「奏音…!!!!!!!」と呟き、こちらへと少しずつ、歩みよってきた。
「も、もう…!!!!こんなことはやめてください!!!!!あなたの殺したい二人は…!!!!!もう殺せました!!!!!!これ以上怪我人を増やしてしまったら…!!!!!それは、もう、復讐ではなくなってしまいます!!!!!!!」
すると、ユミーさんは、「う、うるさい!!!!!!」と叫ぶと、真っ直ぐ、こちらへと、向かってきた。
そして、私のところへと寄ると、手を空へと掲げた。
「え!?な、何何何何?!?!?!?!?」
私は、そのユミーさんから逃げるように、背を向けるが、逃げ去る暇も無く、服を掴まれ、怪獣のユミーさんの口の前に吊るされる。
「奏音…こ、殺せ…!!!!!」
ユミーさんは、怪獣になり、そして、口をバカッと開くが、どうやら本心は違ったみたいだった。
でも、ここでメルトシンギュラリティを撃ったとしても、私は巻き添えを喰らってしまう…
「ど、どうしよう…!!!!」
口に放り込まれるまで、私はそんな不安があった。
でも…別に死んでも良いじゃん……
唐突にその考えが浮かんだ。
もう…残す物なんて…私にはないじゃん…
霧矢君が居なくなった今…私はまだ、他人のことを守り続けるの?
「そろそろ疲れたよ……」
私は呟く。
「メルトシンギュラリティ。」
魔法のステッキが赤く輝き、私は、目を瞑った。
そして、次の瞬間。
バキュン!!!!!!!!!
なぜか、ビームを放つ様な音がした。
「え?」
目を開くと、そこには、口を開ける怪獣のユミーさんの喉を一直線に貫いていた。
そして、右に浮かんでいたステータスウィンドウ。
『ぺネトレーションシンギュラティ獲得』の文字。
どうやら、貫通するだけの技を獲得したらしく、私はそれを無意識に使っていたようだ。
「なんで…死なせてくれないの…!!!!」
「最初…Vもそんなことを言っていた。」
すると、崩壊していく、ユミーさんの身体から声が聞こえた。
「え?」
「Vは、俺に会う前、魔法少女の仕事の責任感が嫌で、死にたがっていたんだ。でも、俺が、死ぬよりも、もっと楽しいことがこの世界にはあるってことを教えたんだ。そして、Vは生きられた…」
「そ、そうだったんですか…」
私はユミーさんの怪獣の手に服を摘まれたまま、答えた。
すると、ユミーさんの怪獣の手は、片手に私を乗せ、そして、床へと下ろした。
頭がないその怪獣は、心優しい怪獣だった。
「俺がRIを作った理由は、Vみたいな、理不尽に振り回される人を、少しでも救いたかったからだ…でも、俺では、もう叶いそうにないから、奏音…俺らを、RI…
そして、怪獣は、指先の爪で、優しく、私の頭を撫でると
「よろしくな…」と言って消えてしまった。
そして、怪獣が倒れたところには、ユミーさんの亡骸があった。
「わかりました…」
私は、ユミーさんの亡骸を持ち上げると、V先輩のいる所へと運び、そして、V先輩の縄を切る。
自由にしてあげて、V先輩の隣に、ユミーさんを並べた後、私は、その場から立ち去った。
天国で…V先輩とユミーさんが笑い合ってくれれば、私はそれで良い…
それだけで良い。
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数ヶ月後…
イギリス
魔法少女連合。
風を切り、私は、魔法少女連合の施設の屋上へと舞い降りる。
V先輩が死んだ後、私の元にはなぜか、V先輩の魔法のホウキが、やってきた。
私は、もしかしたら、Vさんからの贈り物なのではと思い、今では、大事に使っている。
そして今、私は魔法少女連合の管理しているビルの屋上へと来ていた。
そして、この中にはジェーニンがいると聞いている。
私は、ビルの屋上から、ビルの中へと入ると、自分が誰なのか、悟られないために、前髪を下ろす。
少し前から念のためと思って、目元が見えなくなるように、前髪は切らなかった。
そのため、今は立派な変装のアイテムの一つ。
私はスーツを来て、ビルへと侵入。
そしてビルの中では、まるでお城かのように、豪華なライトが吊るされており、ドレスを着る女性や、タキシードを着る男性などが居た。
私はその中から、ジェーニンの姿を見つけ出す。
「まあ…あの魔法少女は失敗作という奴ですな!!!フハハハハ!!!!!!」
この高らかな笑い方をする人物が、ジェーニンだった。
私は、豪華な服装の男女を避けながら、そのジェーニンへと近ずく。
そして…
「ジェーニン様。少しこちらへ…」
私はそう声を掛ける。
「おおっと…失礼…」
ジェーニンが、話していた女性達に別れを告げ、私の背中に付いてくる。
「それで…?何の様だ?」
そして、先ほどとは違う厳格な声。
私はその言葉を聞き、パーティー会場の様な場所から出た。
「私の事…覚えていますか?」
私は問いかける。
「は?何のことだ?ふざけるのも大概に…」
私は踵を返して言う。
「変身。」
次の瞬間、ドレスに身を包み、魔法のステッキをジェーニンに向けた。
「お、お前は!?か、奏音!?!?し、死んだのでは…」
「まさか…それよりも、あなたを殺します。何か遺言は?」
私は、冷たい目でそう告げる。
「は…ハハハハハ!!!!!!!最初に言ったであろう!?俺が死ぬと、魔法少女が全員死ぬと!!!!!!」
私はため息を吐く。
「アメリカ、ネバタ州。日本、起眞市。フランス、イル・ド・フランス地方、チャド、バタ州。パラグアイ、プレシデンテ・アイェス県。ロシア、オレンブルク州。オーストラリア、南オーストラリア州。これが、何かわかりますか?」
「は…な、なぜそれを…!?」
「魔法少女の首輪の管理クラウドコンピューターの存在する場所です。私の仲間たちが、全てのコンピューターを破壊するプログラムを作ってくれました。もう、あなたのその腕時計じゃ何にもなりませんよ。」
「そ、そんな馬鹿な!?!?」
ユミーさん達が残してくれた物はあまりにも大きかった。
まず魔法少女の首輪を安全に破壊できる装置。
そして、魔法少女の首輪を管理するコンピューターの存在する場所。
全て、RIの皆んなが残してくれた遺産だ。
私は一度目を瞑って、また開く。
そして目の前に立つ男に魔法のステッキを翳した。
「ま、待ってくれ!!わ、わかった!!か、金なら沢山あるんだ!!何か好きな物を買ってやろう!!何でも言ってくれ!!」
私は心の中で「この下衆が…」と呟くと、魔法のステッキを握りしめて言った。
「これまで死んだ人の命。」
「は…?」
「あなたには無理でしょうね…ぺネトレーションシンギュラリティ。」
次の瞬間、ジェーニンの頭は無くなり、首無し死体が、バタリと床に倒れた。
「何でも金で叶えられるわけじゃ無いことを…わかってないんだね。」
私はゴミを見るかのような視線を向けた後、死体すら見たくなくなったので、近くの窓ガラスに向かって、同じように、魔法を放ち、ガラスを破ると、私はそこから飛び降りた。
飛び降りると、屋上にあった魔法のホウキが私の乗せて、空へと滑空し始める。
「もう…全ての使命は果たした…」
私は、呟くと、日本へと帰るべく、箒の速度を上げた。
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『今日は、世界のヒーロー、シャイニーの月命日です__』
ビルのディスプレイに、どうでもいいニュースが流れる。
私は一人でに、パーカーをかぶって顔を見せないようにして、歩いていた。
「もう…この世界なんて…」
私の新しい口癖だ。
あんな悪役の死んだ日なんて、どうでもいいのに、この世界はそれを永遠に覚えている。
ひどい話。
ユミーさんは悪者扱いされるし、この世界に希望なんて一つも___
「小林奏音。」
唐突に、聞き覚えのある声がした。
「え?」
思わず、振り返ると、そこには、緑色の髪をしている少女が、立っていた。
髪は少し長くなっており、そして、片手にはバックを持って、そして、服は学生服を着ている。
「あ…アズりん…!!!」
私は、なぜか泣きそうになった。
なぜ、私は彼女の事を今まで忘れていたのか…
わからなかったけど…それでも、私の唯一の親友が、そこには居た。
「ようやく会えた…小林奏音…」
「え?」
「これでようやく…」
アズりんはそう言いながら、バックから2本の、あるものを取り出した。
それは、魔法のステッキだった。
一本の白く染まった
「変身…」
そして、アズりんは、黒く染まったステッキを真上へと掲げた。
その闇に包まれ、人々が通行する中、アズりんは、その身に漆黒のドレスを纏った。
「隆一くんの仇を…!!!!!!」
「ど、どう言うこと!?」
私が質問する。
周りには、「ヒーローだ!!」と言い、人々が集まってきた。
「隆一くんは…あなたが殺すのを躊躇った怪人に殺された。小林奏音。あなたが殺せた怪人を殺さなかったから…隆一くんは死んだ!!!!!絶対に…!!!絶対に許さない!!!!!!」
「そ、そんな…」
せっかく出会えた、心の拠り所だと思ったのに…
殺されそうになってしまう…
「そんな…!!!!う、嘘だよ!!!!!私は…!!!逃した怪人は…!!!無意味に人を殺すような人たちじゃない!!!!!!き、きっと何かの間違いだよ!!!!!!」
「う、うるさい!!!!!!!!!!!!私は…私は!!!!!!あなたを殺さないと…!!!!気が済まないの!!!!!!!!」
アズりんは、その黒いステッキを握りしめると、目の前に掲げた。
「死離滅れ…」
「す、すいません!!!!さ、サイン良いですか!!?」
と、アズりんの魔法のステッキを遮って一人の少年が走りよってきた。
「は!?い、今は…それどころじゃないの!!!!!死離滅裂!!!!!!」
アズりんは、その遮った少年に向かって、魔法を放った。
魔法は、少年の頭に直撃し、少年は、液体の様に、体が溶け始める。
「な、何ごれえええええええ_______」
そして、骨だけが、個体のまま残り、液体になった皮膚や、内臓は、道端に放り出された
「きゃ、きゃあああああ!!!!!!!!」
その歩道は一気に恐怖が包まれた。
「え…あ、アズりん…?」
「隆一くんの命以外…全てどうでも良い…小林奏音…あなたの命もね!!!!!!!死離滅裂!!!!!!!」
そして放たれた、ビームの様な物。
私はギリギリの所で避けたが、その後ろに居た、何人かの一般人が液体状にドロリと溶けた。
「そ、そんな…!!!!アズりん!!!!い、一般人を巻き込んでまで、私のことを殺したいの!!!!!?」
「もちろん…!!!!逃がさない…絶対に!!!!!!」
アズりんはそう大声で宣言すると、頭から人ではない、角の様な物が生え出した。
そして、アズりんの片目は、赤く染まり、まるでその姿は悪魔に等しかった。
「ど…どうして!!!!!!ホウキ!!!!!!」
私はそう叫ぶと、すぐさま、空から飛んでくるホウキに乗り、空へと逃げた。
「でも…!!!絶対に誤解を解ける筈…」
私はそう思いながら、空を飛んでいると、すぐさま、光線の様なものが、私の真後ろに放たれた。
「え!?」
私は、後ろを覗くと、そこには、羽が生えたアズりんの姿。
羽は悪魔やコウモリの様な羽の形をしていて、すでに人間じゃないみたいだ。
「絶対に逃がさない!!!!!死離滅裂!!!!!!!!」
何回も放たれる、光線の様な魔法。
私を殺したら…アズりんは人を殺すことはなくなるのだろうか…
そう思った。
でも、甘かった。
「死離滅裂!!!!!」
アズりんは光線の様な魔法を放ったが、私には当たらなかった。
しかしその光線は、私こそには当たらなかったが、目の前にあった、大きなビルに直撃する。
そして、大きな爆発と、音を出し、私の目の前に倒れかかる。
「危ない!!!!」
私はそのビルが倒れる前に潜り抜けられたが、しかし、後ろを見てみると、そのビルの中に何人もの人が、居たのがわかった。
人がまだ居たビルを破壊したのだ。
今、何人の犠牲者が出たかは分かった物じゃない。
「このまま…!!!逃げ切るしか…!!!!!!」
私は、そう思い、一気に速度を上げようとしたが、その前にアズりんのその光線が、ホウキの先端をかする。
「え!?ああ!!!!」
私は、いきなり、出力の弱くなったホウキで、少しずつ高度が下がっていく。
私は、ホウキをしっかりと握りながらも、出力が弱くなり、ブーツの踵で、床に擦れさせ、勢いを殺すが、完全にホウキが効力を失うと、地面を転んでしまい、コンクリートの上を、転がってしまう。
受け身を取ったは良いものの…翼を広げていたアズりんも、私の近くに着地する。
「あ、アズりん!!!!!」
「その名前を呼ばないで。反吐が出る。」
私は、魔法のステッキを思いっきり握りながら、アズりんに構える。
もう、巻き添えを喰らってもいい。
「メルトシンギュラリティ!!!!!!!!!」
私の涙ごと、全てを焼き払って!!!!!
私は自分の思いを乗せて、アズりんに向かって放った。
もう、これでおしま__
「ソードブレイカー」
しかし、私の思いは、アズりんの片方の白いステッキによって弾かれてしまった。
え?わ、私の魔法が…弾かれた!?
「奏音!!!!!!!」
そして、アズりんは、左手に二つのステッキを移すと、右手を振りかざす。
次の瞬間、私の鳩尾に打ち込まれる、アズりんの小さな拳。
でも、小さくても、思いの様なものが、いっぱい詰まっているのか、やけにその拳は重かった。
「ぐはっ!!!!!!!!」
私は、そこから、倒れそうになったけど、何とか踏み止ま____
「死ね!!!!!!!!!」
そして、今度は頬に打ち込まれる小さな拳。
痛い…
「消えろ!!!!!!!!!」
怯んで、魔法のステッキが手のひらから滑り落ちる。
「死ね!!!!!!!!!!!」
突きつけられる拳。
痛い…
「死ね!!!!!!!!!!!!」
アズりんは、私がステッキを手放したことを確認すると、アズりんも左手に持っていた二つのステッキを捨て、そして、左手も使って殴る…
痛い…
「消えろよ!!!!!!!!!!!!」
そう言いつつ、アズりんは私に向かって、顔を的確に狙って、殴る。
私は吹っ飛ばされて、すぐさま、地面に打ちつけられた。
そして、アズりんは、仰向けになって倒れた私の上に乗っかると、地面とアズりんで挟まれて身動きが取れなくなった。
「死ね!!!!死ね!!!!死ね!!!!死ね!!!!!!死ね!!!!!!!!!!!!!」
言葉と共に、顔を殴られる。
痛かった。
ヒリヒリとした痛みが、体を襲い、張り裂けそうな罪悪感が、心臓を襲った。
「ご、ごめんなさい…!!!!」
私は、必死になって呟くと、私のドレスに雫が出来る。
「謝れば良いってもんじゃないでしょ………!!!!!隆一くんを…!!!!!返してよ!!!!!!!!」
そして、何回も、殴られる。
言葉の暴力と、物理的な暴力と、二つを浴びせられ、感覚が麻痺してくる頃。
私の体は動いてしまった。
アズりんが殴り疲れていた時、私はアズりんを自分に寄せ、そして、寄せあったまま、そのまま転がり、私が押し倒されていたのを、今度は私がアズりんを押し倒す様な体制にする。
アズりんは、「このクソ女!!!!!」と私のことを見上げながら、殴るが、もはや、最初の様な力はアズりんにはなく、アズりんは私を退かせないままだった。
私はすぐ側にあった、魔法のステッキに手を伸ばし、そのステッキの先端を、アズりんの胸に突き立てる。
「やめろっ!!!!!!!!」
アズりんは、その突き立てた魔法のステッキを、両手で掴むが、さほどの力は無かった。
「ごめんなさい…!!!!ペネトレーションシンギュラティ…!!!!!!!」
ステッキが光を発すると、すぐさま、アズりんの心臓を貫いた。
「この…!!!!クソ女……死…ね……消え……ろ…………」
段々と力が弱くなり、挙句果てには、アズリアの空に突き出した拳は、力を失い、地面に叩きつけられた。
「うぐっ………」
自分でやったことなのに…どうしてこんな…!!!!
こんな感情が溢れ出てしまうのだろうか………
「ひぐっ…!!!!!!うわああ…………あはああ………!!!!!!!!あああああああああああ……!!!!!!!!!」
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「あれぇ?なんか、君…すっごいあの
起眞市の商店街の夜を歩いていると、突然、フードの中を覗く男が居た。
男…いや、男たちか…
「おねーさんさぁ〜ちょっと働いてみない?いい感じの顔立ちしてるし〜何よりも、その希望を失ったような目がさ〜絶対合う様な人いると思うんだよね〜!」
看板を見る。
そこには、ピンク色の店があった。
看板は光でライトアップされており、まさしく大人の世界。
「私…まだ未成年です…」
「ははぁ…未成年…ねぇ…」
男は私の事をマジマジと見つめると、フードを勝手にとる。
「嫌ッ!!!!!やめて!!!!!」
「へ〜良い顔してるじゃん…!体もなんか良さそうだし………やっぱりウチで働かない?どうせ高校生でしょ?ほぼ大人みたいなもんだよ〜」
私は、フードを被り直すと、「私は…絶対に働きません…」と断りを入れる。
「そんなこと言わずにさ〜!別に良いでしょ?ほら!」
そういうと、男の人は、私の胸、目掛けて手を伸ばす。
私はそれを振り払った。
「やめてください。気持ち悪いですよ…!!」
私のここは霧矢くんに触られたままが良いのに……
「そんなこと言わずにさ〜!!!そんなに断ると、こちらも武力行使しないとでさ〜?」
そう言うと、男は、後ろに引き連れていた男に視線を配った。
私はポケットの中に入っている、魔法のステッキを握る。
次に手を出してきたら…………殺す________
「きゃああああああああああ!!!!!!!!」
私が魔法のステッキを握りしめたその時、少し遠くから、叫び声が聞こえた。
私はその方向を向くと、そこには、10mほどの大きな怪獣の姿があった。
「な、なんだあれ……!!!!」
男は持っていたチラシを手放し、そして、腰を地面に付ける。
「あれ…怪獣だね。まさか、こんなところに出現するなんてね…」
「な、何だお前…何か知ってるのか…!?」
私は震える男に目を配ると、うっすらと笑顔を漏らして言う。
「私。魔法少女だから。」
「魔法…少女…?じゃ、じゃあ、あの怪獣倒せるのかよ!?」
「え?うん…そうだね…余裕だろうね。」
男は、先ほどとは余裕のない顔で、「ほんとか!?」と問いかける。
「もちろん。」
「じゃ、じゃあ頼む!!!!!今すぐあいつを殺してくれよ!!!!こ、ここの店は俺の大事な店なんだ!!!!!」
「へー…女の子を扱う店が大事ねぇ……」
私は顎に手を当てて考える…
が、やっぱりやめ。
「良いよ…じゃあ、囮役やってくれる?魔法を発動するのに、ちょっと時間が掛かるんだ…」
私は、にっこりと笑顔で言う…
パーカーの中から。
「ほ、ほんとか!?」
「うん。本当。」
私はポケットから魔法のステッキを出した。
「はい。じゃあ行ってきてー!」
私はその男の人の背中を押すと、その男は、「わ、わかった!!!」と言って怪獣に真っ直ぐ向かって行った。
「グァァァァァ!!!!!!!」
怪獣は大きな雄叫びを響かせると、その走っている男に視線をロックオンした。
「は、早く!!!!早く撃ってくれ!!!!!」
「うーん…やっぱり気が変わっちゃった!精々潔く死んだら?」
「は?」
そして、その男は、次の瞬間。
怪獣によって、商店街のシャッターへと叩き込まれた。
「だ…騙した…な…」
「騙される方が悪いんだよ。」
私はニッコニコの笑顔で言った。
「ま、待ってくれ!!!!頼む!!!!待ってく…」
ぐちゃ。
肉が弾く音。
私の耳にはとてもたまらなく美味しいものだった。
「うん!ああいうのは、殺された方がいいね!」
私はそう呟きながら、その場を立ち去った。
男の助けてという言葉を耳に入れながら。
『魔法少女、魔法が強すぎて無敵すぎた件』
魔法少女、魔法が強すぎて無敵すぎた件 最悪な贈り物 @Worstgift37564
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