ロマンチズムの専制
一ノ瀬 薫
曳航
遠くに行こう
忘れられない君の記憶と
雨の日の舗道をたどって
僕の冷たい腕に腕を絡めて
太陽は今日も
君のために輝いているか
海は君の恋人の想い出を
その青い色に沈めて
君の恋人は
まっすぐな足をした影ばかりの少女と
戯れている
今日は
君の乾いたメッセージを
昨日見つけた壊れたブラウン管に映そう
それは、
夕暮れの疲れた浜辺の砂に埋めて
僕は
振り返らないで帰ろう
遠くに行こう
僕の想い出と共に
君の
苦しげな笑顔と
我が儘な衣装を葬るために
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