第4話 家を買おう!
春の麗らかな日、私はサーニャと家で過ごしていた。
「いい加減家探さなきゃだなー…」
「私はいつまで居てくれてもいいにゃ。ご飯作らなくていいにゃし」
「そういう訳にもねぇ…そうだ!」
私はいいことを思いついた。
「なんだにゃ?」
「高級住宅街に下見に行こう!」
「そりゃ凄いにゃ。お金あるのかにゃ?」
「あるよ〜!」
因みにサーニャとケインが住んでいるのも高級住宅街だが、南側にあるので少し離れた高級住宅街なのだ。私達が今から行くのは城下町の北側の高級住宅街である。
この間の競艇にも足繁く通い、今や私の貯金は100億エニーを超えている。
別の金策も考えてはいるので、今度はそちらも試したいと思っている。内容は、普通に冒険者として頑張るということだ。神力を使えば迷宮の最下層に瞬間移動も出来るし、死を直接もたらすなんてチート技もちょちょいのちょいだ。魔物の素材も簡単に運べる。
因みに迷宮はルツェルンの町の西側の森の中にある。
「そうと決まれば、見に行こうか!サーニャも行く?」
「いいにゃよ」
ということで、ルツェルンの街の中心部にある高級住宅街に下見に来た。
大きい家が立ち並ぶ。その中には住宅展示場もあるみたいだった。
「この住宅展示場、見てみようよ」
「行くにゃ」
入ったお家は、白を基調としたロココ調のお家だった。玄関も広い、リビングも広い。吹き抜けのようだ。天井には白いシャンデリアが吊らされている。
観葉植物も置いてあって、白い家の中で緑が目に鮮やかだった。
高級住宅街ということもあってか、傷など特に目立つものはない。扱いが丁寧なのだろう。
お風呂も広くて綺麗だった。
「ここいいな…ここにしようかな」
「まだ1件目だにゃ。他の展示場も見るにゃ」
「それもそうだね」
結局この家を買うことになるのだが、それはまだ知らぬ話。未来予測の神力を使っていないのだ。
2軒目は黒、白、グレーを基調にした家だった。壁は黒いツルツルの石で出来ている。寛げそうなグレーのソファがガラスのローテーブルを囲んでいた。こちらも吹き抜けだ。シャンデリアも吊らされていた。窓から入る日光が部屋を明るくしていて素敵だ。
「この家もいいね」
「そうだにゃ」
3軒目に来た。ここはウッド調の家だ。黒のソファがカッコいい上にフカフカだった。白いアイランドキッチンもお洒落だ。天井は白で、赤の小さい椅子もある。コントラストがしっかりしてて芸術的である。
「ここ素敵だなぁ」
「私が住みたいにゃ」
フカフカのソファに座りながらサーニャが言う。
だがやはり、最初の家が良いだろう。ロココ調の家具が可愛くて気に入った。
「最初の家にするよ」
「いいにゃね、今日買うのかにゃ?」
「うん、買うよ。じゃあ戻ろっか」
そうして私は最初の家に戻り、家具もまとめて購入したのだった。
鍵を貰う瞬間はかなり感動した。私も高級住宅街に家を持つのだ。それもこんなに可愛い家に。
念の為、清掃の魔法と修復の魔法をかけておいた。清掃の魔法は持続するようにしておいた。これで掃除はしなくてもいい。気分次第ではしてもいいけど。
それから、火無効化も付けておいた。放火なんてないとは思うが、念の為。
「にしても、今日で一緒に生活するのも終わりかにゃ」
「寂しいねぇ」
「寂しいにゃ。いつでも遊びにくるにゃ」
「うん!」
サーニャは優しい。良い友達をもったと思う。
家を持ったなら、生活必需品も買わないといけない。タオルとか。食材も。今まではサーニャに予備なんかを借りていたのだ。
「買い物行くけど、一緒に行く?」
「いいにゃよ」
サーニャは快く頷いてくれた。
近くにデパートみたいなものがあるので、そこで買い揃えることにした。
「このタオル可愛い!ピンクでリボンが付いてる」
「可愛いにゃね!この歯ブラシ置きも可愛いにゃ、ハーバリウムだにゃ」
「ホントだ〜!」
女の子同士の買い物は盛り上がる。いい物が沢山あったのでどんどんカゴに入れた。
「結構買ったね」
「見てて清々しかったにゃ」
お会計を済ませ、今度は食材を買いに来た。店名は成城丸井。ちょっと高級なスーパーだ。
「今夜はパスタにするけど、サーニャ食べてく?」
「食べてくにゃ!」
サポーターのサタナに食材をピックアップしてもらいながら食材の買い物も済ませた。買ったものは例に漏れず亜空間に収納した。
「収納魔法なんて使えるかにゃ?」
「うん、魔法生成で作ったの」
「へぇー、便利なんだにゃあ、魔法生成って」
その後は私の家に帰り、サーモンとレモンのクリームパスタを作って振舞った。
「美味しい〜!」
「クリームが濃厚なのにレモンでサッパリしてて美味しいにゃ。サーモンも美味しいにゃ」
「それは良かったよ」
食べ終えたらお皿を片付けて、その日はそれでお別れをした。
「またね〜」
「またにゃ」
後はお風呂だ。見た時もオシャレだったけど、使うのは勿論初めてだ。楽しみだな。
「わぁ〜!」
大理石で出来たお風呂に、金色の蛇口が付いている。蛇口には草模様が形作られていてお洒落だ。全体的に白色がメインの浴室だ。ロココ調なのも相まってとても可愛い。
ちゃぽん…
お湯を張った広いお風呂に浸かると、じんわりと熱が広がって心地よい。
「そうだ、入浴剤を入れよう」
買ってきたものの中に入浴剤もあるのだ。春にぴったりのさくらの香りの入浴剤である。さくら色のお湯になって可愛い。
「あったかぁい…」
いい匂いのする温かいお風呂。とてもリラックスできた。
買ってきたシャンプーとリンスはお花の香りがする。ボトルは薄いピンク色で、ポンプが金色なのだ。
「いい匂い〜!」
使ってみると、洗った先からサラサラになった感じがしてよかった。
「ふんふふふーん」
鼻歌を歌いながらお風呂に浸かる。とても気分が良かった。幸せだ。
お風呂から上がったので、ふわふわのタオルで体を拭いた。
ドライヤーも良いやつを買ったのだ。風量が多くて、尚且つ髪もサラサラツヤツヤになるものだ。
そして、お風呂から上がってきたら、やっぱりコーヒー牛乳だろう。冷蔵庫で冷やしておいたものがあるのだ。
ぐびぐびぐび…ぷはぁ!
一気飲みした。よく冷えていて美味しかった。
アイスも食べてしまう。ハーゲンダッチがあるのだ。
それに、私には神力があるのでダイエットもちょちょいのちょいで、太る心配がない。最高である。
「んん〜美味しい!」
濃厚なバニラ味だ。美味しい。
さらっと食べ終えた。
後は歯磨きして寝るだけだ。フラソフラソで買ったハーバリウムの歯ブラシスタンドが可愛い。
シャカシャカ…。
よし、これで清潔。
寝室に行くと、広いベッドが私を待っていた。フリルもついたロココ調のお布団が可愛い。
ベッドに入るとふわりと私の身体を支えてくれた。極楽…。
お買い物でいっぱい歩いたからすぐ眠れそうだった。
それじゃあ、おやすみなさい。小さく呟いて、一日を終えたのであった。
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